むかし、ねずみが・・/作・絵:マーシャ・ブラウン・作絵 晴海 耕平・訳/童話館/1994年
マーシャ・ブラウンの色数をおさえた木版画が落ち着いた印象を与えてくれます。
ある日のこと、インドの行者が
おおきいこと ちいさいことについて、思索にふけっております・・と、哲学風な出だしです。
思索にふけっている行者の前をネズミが走り抜けていきます。
ネズミがカラスにつかまりそうなので、森の自分の住まいへ連れて行き、牛乳と米粒で元気づけてやります。
ところがネズミはネコにつかまりそうになり、行者はネズミを強そうなネコに変えます。
行者は、それだけでなく大きな犬に、どうどうとしたトラに変えます。
トラになったネズミは、わがもの顔で森を歩き回り、他の動物たちに威張り散らします。
行者は、お前はあわれなちいさいネズミだったと諭しますが、トラは恥をかかされたと思い、行者を殺そうとします・・・。
一人で大きくなったのではなくても、自分を立派な人間と思い込む人も同様なのかも知れません。
行者がでてくるのもインドらしい昔話です。