どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

寿命延ばしの話

2017年01月14日 | 昔話(日本・外国)

チャン・サンと閻魔さま(子どもに語る中国の昔話/松瀬 七織・訳 湯沢朱美・再話/こぐま社/2009年初版)

 死神はどちらかといえば西洋風で、東洋では閻魔さまでしょうか。

 冥土の閻魔さまのところには、生死を記した閻魔帳があって、そこには「よい人の寿命は短く、悪い人の寿命は千年」と記されていました。

 閻魔帳に45年と記されていたチャン・サンのところへ、使いのものをいかせますが、2度3度と、チャン・サンにひどいめにあわされてかえってきます。
 それではと閻魔さまが、自らでかけますが・・・・。

 死神や閻魔さまは、みるからに怖い存在ですが、お話の世界では、道化役のようです。
 
 チャン・サンと閻魔さまの知恵比べを楽しめる話。


寿命延ばし(日本の民話6 土着の信仰/瀬川拓男・松谷みよ子・編/角川書店/1973年初版)

 同じ寿命延ばしの日本版。

 長い間、子どもにめぐまれなかった夫婦に一人の娘が授かります。
 長じて娘が十八のとき、乞食爺から八月にはこの世を去るといわれ、これをのがれるには、白酒と料理を娘に持たせ、目隠しをしながら東のほうに歩かせるよういわれます。

 娘が東へ東へあるいていくと、洞窟の中にいきつきます。
 洞窟にいたのは三人の坊さま。
 坊さまはひとりが帳面をもちあげて何やら読み上げ、一人はそろばんをパチパチはじき、一人は何やら書いています。
 娘は、ものもいわず坊さまに近寄ると白酒と重箱の料理をすすめます。

 坊さまは酒もよければ料理もうまいものだから、しだいにきげんがよくなって、酒もみるみるなくなってしまう。
 ここで娘は、三日目に死ぬ寿命といわれました。まだ死にとうありません。どうか助けてくださいと坊さまに願い事を話します。

 坊さまが帳面をみてみるとたしかに、三日目に死ぬ命とありますが、坊さまがちょいと八の字を書きくわえ、娘は八十八歳まで生き延びます。

 坊さま、何か死神を思わせますが、人間の寿命が帳面に記されて、それが書き換えられるというのは、話になりやすいようです。

 命を酒と料理で買収したことになりますが、こんな買収は許してもらえそうです。


 この話は<読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 上/筑摩書房/2002年>にもありました。

 人間の寿命は帳面しだいでしょうか。

 テレビをみていたら「ちょうめん」を知らない若い人がいてびっくり。なかには麺の一種?という人もいたり。
 ノ-トというとわかりやすいのですが、昔話ではやはり帳面でしょう。当たり前に使っている言葉も、いつも通用すると考えない方がよさそうです。

 「おかって」も若い人には通用しないんですね。


この記事についてブログを書く
« 死神・・福島 | トップ | 世界のだっことおんぶの絵本 »
最新の画像もっと見る

昔話(日本・外国)」カテゴリの最新記事