・チャン・サンと閻魔さま(子どもに語る中国の昔話/松瀬 七織・訳 湯沢朱美・再話/こぐま社/2009年初版)
死神はどちらかといえば西洋風で、東洋では閻魔さまでしょうか。
冥土の閻魔さまのところには、生死を記した閻魔帳があって、そこには「よい人の寿命は短く、悪い人の寿命は千年」と記されていました。
閻魔帳に45年と記されていたチャン・サンのところへ、使いのものをいかせますが、2度3度と、チャン・サンにひどいめにあわされてかえってきます。
それではと閻魔さまが、自らでかけますが・・・・。
死神や閻魔さまは、みるからに怖い存在ですが、お話の世界では、道化役のようです。
チャン・サンと閻魔さまの知恵比べを楽しめる話。
・寿命延ばし(日本の民話6 土着の信仰/瀬川拓男・松谷みよ子・編/角川書店/1973年初版)
同じ寿命延ばしの日本版。
長い間、子どもにめぐまれなかった夫婦に一人の娘が授かります。
長じて娘が十八のとき、乞食爺から八月にはこの世を去るといわれ、これをのがれるには、白酒と料理を娘に持たせ、目隠しをしながら東のほうに歩かせるよういわれます。
娘が東へ東へあるいていくと、洞窟の中にいきつきます。
洞窟にいたのは三人の坊さま。
坊さまはひとりが帳面をもちあげて何やら読み上げ、一人はそろばんをパチパチはじき、一人は何やら書いています。
娘は、ものもいわず坊さまに近寄ると白酒と重箱の料理をすすめます。
坊さまは酒もよければ料理もうまいものだから、しだいにきげんがよくなって、酒もみるみるなくなってしまう。
ここで娘は、三日目に死ぬ寿命といわれました。まだ死にとうありません。どうか助けてくださいと坊さまに願い事を話します。
坊さまが帳面をみてみるとたしかに、三日目に死ぬ命とありますが、坊さまがちょいと八の字を書きくわえ、娘は八十八歳まで生き延びます。
坊さま、何か死神を思わせますが、人間の寿命が帳面に記されて、それが書き換えられるというのは、話になりやすいようです。
命を酒と料理で買収したことになりますが、こんな買収は許してもらえそうです。
この話は<読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 上/筑摩書房/2002年>にもありました。
人間の寿命は帳面しだいでしょうか。
テレビをみていたら「ちょうめん」を知らない若い人がいてびっくり。なかには麺の一種?という人もいたり。
ノ-トというとわかりやすいのですが、昔話ではやはり帳面でしょう。当たり前に使っている言葉も、いつも通用すると考えない方がよさそうです。
「おかって」も若い人には通用しないんですね。
最新の画像[もっと見る]
- へんてこ たまご 2日前
- たんぽぽのたね とんだ 3日前
- たんぽぽのたね とんだ 3日前
- たんぽぽのたね とんだ 3日前
- わらのうし 4日前
- あぶくたった 6日前
- 橋の上で 7日前
- そらのほんやさん 1週間前
- しっぺいたろう 1週間前
- わたしを 描く 2週間前