ぽーと 高校 の 同級生 の K さん は
腸のがん の ため
2 9 歳 で 亡くなりました。
ぽーは K さん が 亡くなった と 連絡 を うけて
K さん の ご自宅 を たずねました。
K さん は 仏壇 の まえで
きらびやかな おふとん の 中 で
横たわっていました。
顔 には 白い布 が かぶせて ありました。
ぽーは K さん の ご家族 に ごあいさつ を しました。
ぽーは K さん に 両手 を 合わせました。
よく がんばったね
体 が 楽 に なって よかったね
いたみ から 解放 されて よかったね
と 心 の 中 で K さん に 言いました。
そして K さん の 顔 の 白い布 を そっと とりました。
K さん は うっすらと お化粧 を して
安らかな 寝顔 を していました。
きらびやかな おふとん の 下 には
冷たい 冷たい ドライアイス が あって
K さん の 体 の 上 に のっかって いました。
K さん の お母さん が
「 体 が くさるんだって・・ 」
と 言いました。
K さん の お葬式 には たくさんの 参列者 が ありました。
だれかが 連絡 して くれたのか
高校 の 時 の 同級生 も 大勢 来ました。
K さん は 黒縁 の 写真 の 中 で
はにかんで えくぼ を つくって 笑って いました。
ぽーは 久しぶりに K さん の 笑顔 を みました。
ぽーは K さん の 笑った お顔 を みたら
ぼろぼろ と 涙 が でました。
K さん もっと もっと 生きたかったよね
こんなはずじゃ なかったよね
赤ちゃん だって ほしかったんだよね
K さん だって
K さん だって がん に ならなかったら
今ごろ すてきな 恋愛 を して
結婚 を して
子供 を 生んで
お母さん に なって ・・・
幸せ に なる はず だった のに
がん に なった ばっかり に
なんにも のぞみ を かなえられないで
死んでしまった。
ぽーは お葬式 の 間中 ずっと ずっと 泣いていました。
ぽーは ご霊前 で ご焼香 を しました。
K さん は 白い布 で つつまれた
小さい 箱 の なかに おさまって いました。
そばに K さん の ご両親 が いらっしゃって
ぽーを みて うん うん と うなずいて くれました。
ご両親 の 姿 を みたら
ぽーは さらに ひっく ひっく と 泣きました。
後日 ぽーは K さん の ご自宅 を あらためて うかがいました。
K さん の ご両親 は 疲れ切った お顔 を していました。
仏壇 には お葬式 の 時 に かざって あった
黒縁 の 写真 が ありました。
K さん は この時 も えくぼ を つくって 笑って いました。
K さん の お母さん は
「 K は 腸のがん に なって
病院 で 抗がん剤 の 治療 を していたら
もしかすると もっと 生きた かも しれないけど
K が 民間療法 を 信じたい って 言ったから
本人 の したいように させたの。
これで よかった と 思って いるのよ。 」
と 言いました。
そして K さん の お母さん は
「 私 の つくってきた 食べ物 が 悪くて
K が がん に なったんじゃないか って
それが 一番 心残り なの。 」
と 言いました。
K さん の お母さん は よくしてくれた お礼よ と 言って
ぽーに 赤い さいふ を くれました。
ぽーは 申しわけなく 思いました。
K さん の お父さん は
ずっと そばで 黙って 座って いらっしゃいました。
最後に K さん の お父さん は
「 娘 が がん に なって
父親 と して どうしたら いいのか わからなくて
自分 は 娘 から 逃げて いました。
あなたに いろいろ してもらって 嬉しかった。 」
と 言いました。
ぽーは K さん の お父さん の 言葉 を 聞いたとたん
ずっと こらえていた 涙 が あふれました。
K さん の ご両親 は ぽーの 姿 が みえなく なるまで
玄関の前 で ふたり ならんで ぽーのこと を 見送って くれました。
それから 何年か
K さん の 命日 が ちかづくと
ぽーは K さん の ご自宅 を たずねました。
年々 仏壇 に ある 写真 の K さん の えくぼのある 笑顔 は
ぽーが 年齢 を かさねるにつれて 若く みえるように なりました。