「この本は、私が33歳の時に「子ども欲しいかもしれない、でもやっぱり子どもいなくてもいいかもしれない、どうしよう⁉︎」と思い悩みはじめ、34歳で妊娠して「妊娠しながら仕事大変、どうしよう⁉︎」とまた思い悩み、35歳で子どもを産み「子ども産んだけど、どうしよう⁉︎」とまだまだ思い悩みながら、たくさんの方にお話を聞きまくったり、アンケートをとったりして書いた本です。」
(2頁 はじめに)

本書ははっきり言って、引用の通りの内容である。

結婚したけれどまだ子どものいない友人たち、妊娠中の周囲との距離感に悩む妊婦たち、子どもが産まれて保育園問題と仕事復帰に悩むママたち、専業主婦のママたち、子どもを持たない人生を歩んだ先輩方など、いろんな立場の女性たちの本音を著者・犬山紙子さんが率直に聞きながら、自分と照らし合わせて(著者も制作途中で妊娠・出産を経験している)丁寧にまとめあげている。

2017年、さまざまな育児支援が普及され、新たなサービスが導入され続けている東京都内であっても、働く女性が仕事と育児を両立させることはとても大変で厳しい状況であるようだ。

特に保育園問題(待機児童問題)は働く女性の多い東京都ならではの深刻な問題だ。
他にも妊娠中の経済的問題(仕事がセーブされることによる)、職場復帰できるのか問題、育児との両立(体力的問題)、二人目問題など、"仕事と育児の両立"を前提にすると数え上げるとキリがないほどの問題が山積みになる。

さらに辛いのは、妊娠初期のデリケートな時期に身体に負担をかけて仕事をしてしまう・身体に負担をかけてしまったことで罪悪感を覚えさらなるストレスがかかる・・・という悪循環に陥りやすかったり、
周囲への理解が得られない/間違った方向で理解し持論(本書では"クソバイス"と呼ばれている)を押しつけてくるなど周囲からのストレスにも対抗せねばならなかったりして、社会的問題だけでなく身体的問題も大きすぎるのだ。

そりゃあ「どうしよう⁉︎」とならざるを得ない。

(謎の上から(?)目線だが、たけしま自身は「まだ20代だから」と考えることを避けてきた、見て見ぬ振りをしてきた問題である)

本書にはなかなか聞けない妊娠・出産・育児の「本音」がかなり具体的に書かれていて、独身の人、これから子どもを産もうと考えている人、身近に妊娠中の人がいる人などどんな立場の人が読んでも参考になると思う。

わたしも同じ女性であり、できれば仕事と育児は両立したいと思う人間であるため、著者が取材してきた女性たちそれぞれの本音が痛いほど染み入り、こんな問題もあるのか・・と驚き、将来に備えなければとある種の危機感を感じた。

著者の妊娠・出産レポートはものすごく参考になったし(無痛分娩にものすごく興味が湧いた)、妊娠中に人から言われてストレスを感じたことのアンケート結果には心から気をつけようと思った。

そして最終部には著者が子どもを産んで感じたこと、取材を通して気付けたことを語っているが、著者自身の子どもを産み育てることへのよろこびと多様性を受け入れる自由さ・心の豊かさを感じ、こんな女性になりたいなぁ・・・子どもを産むって本当にすごいことなんだな!と納得し、安心することができた。

私、子ども欲しいかもしれない。と
言いたくなる一冊だった。



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身近に少しずつ妊娠している友人や子どもを産んで育休中の友人が増えてきたなかで目に留まった一冊で、タイトルの絶妙な距離感に惹かれて読んでみた一冊です。





この時の自分の判断、間違っていなかった!