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「LAのすし店カツヤ」ハードボイルド作家マイクル・コナリーの作品に登場

2018-03-31 16:49:22 | 読書

 2013年に上梓され2017年10月講談社から発行された「罪責の神々リンカーン弁護士 The Gods of Guilty」の中にそれはある。アメリカのフォード・モーターの一部門であるザ・リンカーン・モーター・カンパニー によって販売されている高級車ブランド「リンカーン」の後部座席を仕事場にする刑事弁護士ミッキー・ハラーをリンカーン弁護士と呼ぶ。

 殺人容疑者の弁護を引き受けたミッキー・ハラーは、調査の段階で知った元エスコートで現ヨガ・スタジオを主宰するケンドール・ロバーツを誘い出して食事をする場面がカツヤになる。

 『ケンドール・ロバーツは、正面のカウンターで終業作業に追われていた。髪の毛は頭のてっぺんでお団子にまとめられ、そこに一本の鉛筆が刺さっていた。最後のレッスンの生徒たちが丸めたゴムマットを小脇に抱えて、三々五々出て行こうとしていた。私はスタジオに足を踏み入れ、ケンドールの関心を惹き施錠が終わったあとで話せるだろうか、と訊ねた。彼女はためらった。私が来ることを彼女には伝えていなかった。
「腹は空いているかい?」私は訊いた。
「四クラスを立て続けに教えたの。ペコペコよ」
「ここの通りの先にある<カツヤ>に行ったことあるかい? とても美味しい店だ。寿司屋なんだ。好きならいいんだが」
「寿司は好き。だけど、そのお店に入ったことはないな」
「先に行って席を押さえておくよ。ここの片づけが終わってから来るのはどうだい?」ケンドールはまたもためらった。まだ、こちらの動機を計っていることのようだった。
「遅くならない」私は約束した。ケンドールはようやくうなずいた。
「分かった、そのお店に行きます。十五分ほどかかるかも。シャワーを浴びてさっぱりしないと」
「ゆっくりどうぞ。酒は好きかな?」
「大好き」
「燗それとも冷や?」
「あー、冷やで」
「じゃあ、待ってる」 

 で、ケンドールがやってきて注文したのは「三種類のスパイシーツナ」ミッキー・ハラーは「胡瓜のカリフォルニア・ロール」』寿司屋で二人のデートが始まる。読んでいて二人の行く末が気になる。

 マイクル・コナリーの作品には実在するお店や建物や固有名詞が出てくるのでそれを確かめる楽しさもある。お店もそうだけど大学の名前も実名だ。日本人作家のようにY大学などは一度も見たことがない。あの三島由紀夫ですら新潟県小出町をK町と書く。その点、川端康成には見られなかった。

 ヴェンチュラ通りスタジオ・シティのこの「カツヤ」にはホームページがあってそれには多彩なメニューがある。

その中の一例。
レギュラー・ちらしずし14ドル、ちらしずし14ドル、ミックス・刺身14.8ドル、鍋焼きうどん9,8ドル、ビーフ・テリヤキ12.5ドル、ミックス・てんぷら11ドルなど。箸の使い方も慣れている人も多いようだ。

 ネットの情報ではセレブ客も多く、週1回来るという常連にはキャメロン・ディアス、シャーリーズ・セロン、ヒラリー・ダフなどという。ロサンゼルス方面の観光なら立ち寄ってセレブに拝顔もいいかもしれない。
  
 マイクル・コナリーには、ボッシュ・シリーズもあって、こちらは刑事でジャズ大好き人間。小説の中で蘊蓄を披露する。アマゾン・オリジナルで「BOSCH」シーズン3まで公開されているから映像でも楽しめる。
カツヤのホームページはこちら

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