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「ノクターナル・アニマルズ 夜の獣たち」失った愛の代償は計り知れない 

2018-05-17 16:09:05 | 映画
             
 美術関係で大成功を収めセキュリティ万全の大邸宅に暮らすスーザン・モロー(エイミー・アダムス)の夫婦関係は、氷のように冷たく息苦しい雰囲気が漂う。夫は週末も忙しく席を温める暇もない。とはいっても実は不倫に忙しくしているにすぎない。それを知ってか知らずか、夫を見るスーザンの目が冷たく悲しい。

 そんなある日の朝、スーザン宛てに分厚い封書が届いた。差出人はエドワード・シェフィールド(ジェイク・ギレンホール)。“スーザンに捧ぐ”と献辞した「夜の獣たち」という長編小説だった。それは20年ぶりに届いたかつての恋人からだった。

 添えてある手紙には「小説を書いた。出版は春だ。君といたころとは作風が違う。君との別れが着想となった。校正刷りを読んでほしい。仕事で水曜までLAにいる。ぜひ会いたい。連絡を待つエドワードより」とあった。スーザンの心にさざ波が立ったようだ。

 校正刷りの内容は、すさまじい暴力に満ちているが、悲しいくらいスーザンへの思いも伝わってくるようだ。

 それはトニー・ヘイスティングス(ジェイク・ギレンホール)が妻ローラ(アイラ・フィッシャー)と娘インディア(エリー・バンバー)を連れてナイトランも恐れず一気に目的地を目指した。広大な荒野の一本の直線道路。街灯もない漆黒の闇をヘッドライトの光芒が切り裂く。生意気盛りのインディアは、携帯をいじくって電波が届かないと不満を言う。それをたしなめながらローラに微笑むトニー。ローラはスーザンに実によく似ている。トニーの思いというよりエドワードの心奥なのだろう。

 そして前方に二台の車。進行方向に一台、対向車線にも一台、二台並んでゆっくりと走っている。追いついて追走するが、業を煮やしたトニーはクラクションを鳴らす。一台が場所を開けてくれたが、追い抜きざまインディアがバックシートから中指をたてて「ファックユー」。

 猛然と二台の車が迫って来た。進路妨害の挙句、急ブレーキでトニーは追突。これが発端で妻と娘は連れ去られ、トニーは荒野に置き去りにされる。

 ようやくたどり着いた保安官事務所。親身なって捜査をしてくれるのがアンディーズ保安官(マイケル・シャノン)。結果は絶望が襲う。妻と娘は殺されていた。犯人逮捕までこぎつけたが、証拠不十分で不起訴になる。

 アンディーズ保安官は、トニー聞く「法を犯す覚悟はあるか?」アンディーズ保安官は、肺がんで余命いくばくもない。トニーに異論がある筈がない。

 トニーは、犯人を追いつめ射殺したが自らも殴られて瀕死の重傷を負う。枯れ草の中に倒れて命脈が尽きるのを悟る。

 校正刷りを読み終えたスーザンのスマホが鳴る。「スーザン 火曜の夜 時間と場所は君に任せる」とエドワードから届く。スーザンはかつてエドワードと愛し合った場面を思い浮かべている。レストランでオンザロックを二杯飲み終えてもエドワードは現れなかった。これで映画は終わる。

 小説を映像化したトニーは死んだが、エドワードは生きている筈。なぜ来ない? 切なさが漂うが、これは監督のトム・フォードに語ってもらうしかない。「スーザンへの怒りの小説だ」という。それなら分かるが、そのようには見えなかった。

 スーザンによく似たローラと結婚してしいるし、命を張ってまで犯人を射殺しているし、怒りとは思えなかった。20年も恨みを晴らそうとしていたエドワードのキャラクターなら、もっと陰湿なほうがよかったかもしれない。

 それにしてもエイミー・アダムスの横顔がキレイだ。私は最近横顔を注意深く見ているのだ。これで美醜のレベルが分かろうというもの。ここで話ががらりと変わる。MLBの試合エンジェルスとツィンズ、大谷翔平が投げていた。彼の横顔も整っていて美男子に入る。2016年制作 劇場公開2017年11月
     
監督
トム・フォード1961年8月テキサス州オースティン生まれ。グッチ、イヴ・サン=ローランのクリエイティヴ・ディレクターを務め、ファッション・デザイナー、映画監督、脚本家、映画プロデューサーの顔を持つ。

キャスト
エイミー・アダムス1974年8月イタリア、ヴィチェンツァ生まれ。
ジェイク・ギレンホール1980年12月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
マイケル・シャノン1974年8月ケンタッキー州レキシントン生まれ。
アーロン・テイラー=ジョンソン1990年6月イギリス、イングランド生まれ。
アイラ・フィッシャー1976年2月オマーン、マスカット生まれ。
エリー・バーバー1997年2月イギリス、イングランド生まれ。

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