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先日、八雲へ行った際に「木彫り熊資料館」へも寄ってきました。
今でこそブームは下火のようですが、少し前までは北海道の観光土産品のトップは木彫り熊で、どこの観光地へ行っても実演販売していたように思います。私が子供の頃の大沼でも店先にロープに繋がれた小熊がいて、奥の方では顎髭を伸ばしたおじさんが一心に木を彫っていた光景を思い出しています。

そんな木彫り熊ですが、ここ八雲町が発祥の地であることは意外と知られていないようです。八雲町は今の名古屋・尾張藩と深い結びつきがあり、その起源は1878年10月に旧尾張藩士族の移民11戸50人を乗せた開拓使汽船ケプロン丸が遊楽部(ユーラップ)に到着したことに始まります。のちの旧徳川農場へと発展するのですが、現在の八雲の近代酪農の礎になったことは間違いありません。木彫り熊は、ここの農場主で尾張徳川家第19代当主の徳川義親公が大正10年(1921年)に渡欧した際に、スイスで購入した熊の民芸品をもとに農民へ制作を奨励したことがきっかけだといわれています。義親公は、町民から「徳川さん」と呼ばれて親しまれたようで、名誉町民第一号となっています。

そのような風土が後押ししたこともあり、八雲には優れた木彫り作家が多く輩出されることになります。ここ「木彫り熊資料館」には、名だたる作家による作品が数多く展示されており、見応えがあります。北海道の木彫り熊の系譜を知る上でも、ぜひ来館されることをお勧めいたします。
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下の3体は、だいぶ前に八雲の友人からいただいた木彫り熊です。作者は引間二郎ですが、作家名を「木歩(きぼ)」といいましたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。木彫熊講座の3代目講師を務められて、後進の指導に尽力されたことでも知られています。作品は太く短い毛を纏ったいわゆる毛彫りという作品と下の写真のような面彫り(カット彫り)という二つの異なる作風の作品を作っていました。

私が手元に所有している3体はいずれも面彫りの作品で、材はエンジュ(槐)というマメ科の落葉高木です。とても固い材質で、20cmほどですが、ずしりとかなり重いものです。35年ほど経過していますから、程よく色づいていい感じです。

「木彫り熊資料館」を訪れて、この熊たちも仲間と一緒の方がいいかなとも思っています。引き取ってくれるものかどうか、近いうちに打診してみようかなと思っているところです。
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