西洋医学におけるアレルギーを、東洋医学の視点から捉えてみたいと思います。

 

ご存知のように、アレルギーとは免疫の働きが何らかの原因で異常をおこし、通常なら反応しない物質に対して過剰に反応してしまうことで、とても不快な症状をひきおこしてしまう状態ですね。

 

例えば花粉症。

 

アレルギーの一種である花粉症は、直接的にはスギやヒノキ等の花粉が原因ということになりますが、東洋医学的にはどのように捉えられるのでしょうか。

 

約二千年前に書かれた『黄帝内経(こうていだいけい)』という医学書の中に、同じ環境にいても病気になる人とならない人の違いは何なのかという問いに対して、「同じ鉞(まさかり)でも切りやすい木と切りにくい木があるのは木の状態に違いがあるからだ」という例えで答えている一節があります。

 

これを花粉症に当てはめて解釈すると、それまで共存共生してきた花粉に対して、突然拒絶反応をおこすようになるのは、花粉が悪いわけではなく、自分の心身の方に何か根源的な原因があるから外の要因に影響されるようになったのだよ…というくらいの意味合いになります。

 

つまり東洋医学的には、花粉に影響を受ける方と受けない方の違いは、様々な不摂生の積み重ねによって五臓六腑の生理機能を乱し、花粉に対して過剰反応してしまうだけの身体を少しずつ作ってきた結果においておこるものだと捉えられるのです。

 

それでは、花粉症の場合、どのように五臓六腑の正常な働きが乱れるのでしょうか。

 

東洋医学では、身体を健康に保つ生命エネルギーを「気」と呼び、逆に「気」の働きを邪魔して病気をもたらす毒素の総称を「邪気」と呼びます。東洋医学における病気の発病の仕組みは、簡単に言えばこの二つの力関係によって説明されます。

 

「気」が不足した場合は、身体の生理機能が低下することによって病気になり、「邪気」が「気」の働きを邪魔する場合には、正常な生理機能が阻害されてやはり病気になります。

 

実は東洋医学では、花粉症等のアレルギーも「気」と「邪気」が攻めぎ合う現象の一つとして捉えるのです。

 

そして、気は勝手気ままに流れているのではなく、五臓六腑の正常な働きに従った運動形式というものがあります。それは「昇・降・出・入」の四文字で表されます。

 

気が身体の上部へ昇ったり、身体の下部へ降りたり、身体の外へ出たり、身体の中に入ったりするという一定の正常な流れ方、動き方のことです。

 

例えば、日中であれば、気は上へ昇ることが多く、身体の外を巡ります。逆に、夜間は下に引き降りて体内を多く巡ります。

 

花粉症のようなアレルギーを含め、病気にはこのような正常な気の昇降出入の乱れが特に大きく関与してくるのです。

 

                        つづく

 

 


東洋医学ランキング