東大2017年物理第2問のIIIの定量的解法 | 受験で実力を得点に変えよう(家庭教師の心がけ)

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家庭教師歴約25年。医学部東大など難関大学受験生中心に教えてきました。ちょっとした工夫でケアレスミスを防ぎ実力が点数に反映させる実践的方法や受験生の質問の多かったポイントや過去問などのブログにする予定です。ご連絡あればkatekyo424-public@yahoo.co.jpまで。

さて、いよいよ東大2017年第2問の最後の問題の定量的な解法に入ります。まずは、人に見せるように実際解いた過程でなく、この問題を解く上で出題意図に寄せるように交流電源の位相を設定した簡易版です。


今もまだ定性的に捉える方法を考えているのですが、出題者的にはもしかしたら振幅に抵抗の項がないのは(2)から出せるから当然と考えさせたかった可能性もあります。ただ、ω≒ω0の近似がなければ振幅に抵抗の影響が出るので、定性的に深く考えるとわかっている人ほど、「ほんとに抵抗の影響でないのかなー」と悩むはずなので(その辺はまた次回に詳しくやります)、それを瞬時に判断させるのはあんまりじゃないかと思うんですよね。。。


では交流電源を加えて再度キルヒホッフを組み立て、運動方程式と連立し、微分方程式をつくります。この辺は交流電源が加わるだけで前回と全く同じです。初期位相を-π/2にしたのは、最終的な答えが十分に時間が経った後θ=βsinωtという出題に合わせるためにやっただけなので、あまり気にしないでください。


{4AE960DF-5E0F-465E-A015-C3A7CD137130}

この方程式を解くために前回解いた微分方程式の解と、この方程式で成立するある特殊解の和を利用して一般解をもとめます。定数が2つ以上出てくるのでちゃんと一般解になるのですが、この問題ではt→∞を考えているので、減衰振動の分は結局無視できます。理解できなくてもこんな感じで解くんだ程度で大丈夫だと思います(実際はもちろんこんなにちゃんとやりません)。

{9F62A493-DCF9-41CE-B1C8-689924F7186C}


ここから、ちゃんとt→∞でθが問題に与えられている振動になることを示し、そのβがわかりました。これで解けます。
{E47DE442-7810-496C-A653-9556E6B2E780}

といった感じで、Rの影響がないことが、わりとスッキリすると思います。ただ、実際はt→∞だけを考えて、その答えのθ=βsinωtが与えられているので、僕は式7の微分方程式を立てた後以下のように軽く確認しただけです。


{6A893D15-9D3F-471D-B49E-EBB61DC27084}
これでβがRに依存しないことは同様にすぐに示せます。


物理の試験において、定性的に解くべきか定量的に解くべきかは、今も見解が色々分かれているようですが、この問題は定性的に割り切るのがかなり難しい珍しい例かもしれません。かなり昔にこちらの記事でそのバランスについて書きましたが、この問題を見ればその意図が伝わるでしょうか??


実際の試験の時はどこまでやる時間を確保すべきかは化学とのバランスもあるので非常に難しいと思います。僕自身90〜95%位は定性的に解きます。単振動や共振や過渡現象といった限定した範囲では定量的な理解をサポート程度に使い(情報を整理するための立式のみとか)、定性的に素早く丁寧に考えることを軸にする感じでしょうか?


そもそも位置エネルギーなんて、本当はただ各方向に偏微分してマイナスつければそれぞれの方向の保存力になる座標依存の関数ってだけなので、エネルギー保存をいちいち定量的に積分使ってやるのって、例え正しくてもどうも物理の思想から外れている気がするんですよね。


運動方程式もいずれ運動の過程を示すものから、運動量とエネルギーが主役になりその状態をざっくり決める形式に変貌して、それが量子力学につながります。細部にこだわる姿勢は素晴らしいですが、偏微分やるまではエネルギーという概念は結局割り切らないといけない側面がでてくるので、割り切って感覚的に解くのは時短のためにも有効だと思います。


といったわけで、積分でわかっていないと駄目だという風潮はちょっと違和感あります。積分で理解した方がいいのはもちろん僕もその通りだと思っています。とはいえ、それは定性的に解く時のベースがより強固になるに過ぎないということを教える側が謙虚にうけとめ、それを踏まえて演習しないと、なかなか結果につながりにくいというのが、今までの経験から辿り着いた僕の一応の結論です←変わる可能性あります(^_^;)


次回は最後に近似を使わなかったらどういう解になるかについて触れて、この問題の検討を終わります。


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