発声「見えなくて難しい」から「見えなくても楽しい」へ | 稲幸恵 Voce Voce Voce

稲幸恵 Voce Voce Voce

ボーカルコーチ。
日本人唯一のEstill Voice Training- Estill Mentor and Course Instructor。
レッスン、イベント告知、徒然日記など。

こんにちは!東京は桜が満開で、とってもいい天気のお花見日和でしたね。

春は、私の一番好きな季節です。新しい事がスタートするワクワクする感じ、空気が緩んでいく感じがすごく好きです。

 

声のことを書くのは余り得意ではないのですが、今日は最近ちょっと思うことを書き留めたいと思います。

先日個人レッスンに来てくださる方と「歌って、見えないものだから難しいですよねぇ。」というお話になりました。歌や声に関わる方が、よくおっしゃるのを耳にしますね。

実は私も、長い間その様に思っていたのですが、EVTを学び、指導する様になってから少し考え方が変わって来ました。”見えなくて難しい”というよりは、「見えなくても楽しい」ものかなぁと。

皆さんもご存知の様に、現在では科学や研究が進歩し、長い間「見えないし、謎が多い」と考えられていた発声に関する不思議は、解明されつつあります。音声医学をベースにしたボイストレーニングメソッドも数多く存在しますし、様々な意見を個人で発信していらっしゃる声楽やボイスの先生もよく見受けられますね。

 

その中でも先駆的存在であるのが、EVTエスティルボイストレーニングではないかと思います。(手前味噌ですみません。)

EVTは、25年以上の研究を元に、”最も効率的に機能するのではないか”、と考えられたエクササイズが作られ、世界中で同じ方法で教えられています!EVTは、アメリカの声楽家ジョー・エスティル氏が確立したメソッドですが、研究は現在進行系で世界中で続けられており、最新の研究では、エコーを使用して横隔膜と呼吸の関係についての見直しがされているほか、筋電計を使用した計測で、筋肉と発声の関係などが明らかにされています。

 

地声や裏声とは、声帯の厚さや筋肉注力を考察すると簡単に分類できること、オペラ歌手や赤ちゃんの声が、遠くまで飛ぶ理由についても、発声に関わる器官の動きによるものである事などは、イタリアはじめ海外ではスタンダードとして話されています。

 

もちろん、まだまだ解明されていないものも残っています。ミュージカル俳優やポップス歌手が多用する、ベルティングに関しては、EVTでは生理学的にはきちんと定義づけられているものの、筋肉の動きに関しては仮説がある状態です。

でも、わからない部分がある事って、なんだか素敵なことの様に思えませんか?

 

発声器官は、確かに「見えない部分」ではあるのですが、科学者、音声医学関係の研究者達のたゆまぬ努力のお陰で、その「見えない」謎が少しずつ解明し、より豊かな音楽や表現をするための技術を支える基盤や環境が整いつつある様に感じています。私たち音楽家にとっては、本当にありがたいことです。

またエスティルのエクササイズのお陰で、発声のコントロールが以前より簡単になった事で、私にとっては、発声を学ぶ事/教える事は「見えないけれど面白い〜見えなくても楽しい」ものになりつつあります。

 

最後に・・・・今日のお花見の写真です。

外でおむすびを頬張って、日光浴をしたので、すっかり元気になりました!