「おまえは外に出れば自由だ。でも、侑佳さんは…常に自由じゃないんだ。」
直道の顔を見ながら、そして外の景色を見ながら惠。
「おまえと侑佳さんの関係は…、父さんと母さんは、一切関知はしない。おまえたちの考え方、そして気持ち次第だ。」
直道、
「……。」
「何が気に入らない…???…単なる不貞腐れか…???」
志摩子が惠の前にお茶を…。
立ったままの直道はそのままソファを回り、外を見る。
「一つ言っておくが、おまえは…、会社の経営者だ。そして、何より、人をしあわせにする仕事をしてるんだ。そういう人間が、自分を愛して着いてきてくれる人を…、しあわせに出来ないでどうする。」
志摩子、
「直道…。」
束の間の沈黙。
振り返り、
「仕事に…戻る。」
志摩子、
「直…。」
惠、
「ほっときなさい。」
そして、ドアが閉まる。
「…ったく…。柏木のお母さんとお父さんに、面目も何も、あったもんじゃない…。」
海辺の旅館で前日と同じように水平線に落ちる夕陽を眺めながら、
「あ~。勿体ない。これが日本海で見る夕陽…さいご~~。」
そしてそんな夕陽に向けてスマホを…。着信音。
そしてその電話番号を見た途端、いきなり…、目頭が熱く…。胸が痛む。
「浩……。」
電話には出れなかった。数回のコールで、コールは止まる。
「浩……。ごめんなさい。」
椅子に座りながら夕陽を眺めて、目尻から伝う涙。
「ふぅ…。」
頭の中で、今までの事が走馬灯のように…。
そして、今度は、自分からスマホの…、指が…。また…着信。
休憩室で浩一、スマホを耳に…。
「……はい。汀です。」
浩一、
「……、ゆう…か…???」
少しの沈黙…。
そして…、
「はい…。汀…侑佳です。」
一度、鼻水を啜りながら侑佳。
浩一、
「ゆ…う…か…。」
夕陽を見ながら侑佳、
「こう……。」
「…ん…???」
「久し振り~~。」
「うん。」
そして、また鼻水を啜り、
「へへ…。電話して…、ごめんね。」
「…あっ、いや…。…でも…、びっくりして…。」
「だよね~~。私から電話するなんて…、有り得ないもんね…。」
「う…ん…。それも…、全く…知らない…。ば…ん…ご…。」
「うん。結婚してから、電話番号も…アドレスもみんな…替えちゃったから…。」
「おま…。いま…。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 きっと大丈夫
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
マキシシャツ★≪メール便送料無料≫
3,990円
楽天 |
リネンマキシシャツ
5,990円
楽天 |