‘ macoさん緊張してますか? ’
‘ いえ、緊張ではなく、慎重になってます ’
‘ 慎重さは大事ですね ’
341鞍目の馬場レッスン
今日は黒鹿毛の牝馬、ヒメに騎乗
忘れもしない、前回ヒメに乗った313鞍目の馬場レッスン
雨あがりのぬかるんだ馬場に、ムシムシとした陽気
汗ばんだヒメに寄ってくるたくさんの虫を気にしてヒメはかなり神経質になり‥
ヒメがお腹に止まったアブを尻跳ねで追い払いながら
駈歩大暴走しそうになるのを、慌てて止めようとすると
ヒメは嫌々と体をよじりながら大きく内に切り込み
その瞬間にドロに肢を滑らせステンと転倒‥
不幸中の幸い、ドロのクッションで大事には至らなかったものの
ヒメも私も左半分がドロに染め上げられレッスンを切り上げることになった
ヒメはテンションがバビューンと上がりやすく、
駈歩が止まらなくなる、気勢のコントロールが難しい馬
今日は‘ 精一杯の優しい乗り方 ’で気勢を上げ過ぎないようにとレッスンに臨んだ
まずは手綱を楽に鐙に体重を乗せて
ヒメの背中を刺激しないようのんびり常歩をしてもらう
のんびりさせ過ぎると虫を気にして止まってしまうため、
舌呼も使いながら歩くことに集中してもらう
軽速歩はゆっくりゆっくり、とヒメと自分に言い聞かせながら
立つ座るを繰り返す
‘ そうそう、そのペースでいきましょう ’と、指導員。
今日は2騎だけのレッスンで、前方のドンの気勢がやや弱かったため
そのペースに合わせようと意識する方がヒメには丁度良かったよう
速歩で‘ 順次に巻き乗り ’の号令がかかり
前のドンよりも大きく回りながら馬間が詰まらないよう意識する
良いペースのまま、いよいよ駈歩を求める時間となり
その空気を察してヒメの鼻息が荒々しくなる
‘ 身体の前であと10cm手綱を張って、外方手綱をもう少し張って ’
と細かなアドバイスを受けながら
ヒメの前に飛び出したい勢いを引きとめるのに
やはりハミの引っ張り合いになってしまう‥
1回目はやや走られるようなダイナミックな駈歩となり
いったん停止させようとすると
ヤキモキ、イライラしたヒメにパッと内に切り込まれてしまう‥
いつもより鐙に体重が乗っていたたため
とっさの動きにもあまり怖さは無かった
再度、蹄跡に戻り常歩でヒメの呼吸を整えながら、2回目の駈歩発進
今度はゆったりとした駈歩を出すことが出来る
‘ そのペースで続けて~ ’
と、指導員から声がかかった。
3回目はヒメが手綱を少し張ろうとするだけで
駈歩をしようとする状態に出来上がってしまい‥
‘ 今日はここまでにしましょう。
中に入ってゆったり常歩させながら輪乗りをしてて下さい ’
という指示に従った。
レッスン後、洗い場に戻るとバケツの水をゴクゴクと飲み干すヒメ
鼻筋をよしよしとなでながら、ありがとうリンゴをプレゼントすると
サクサクと良い音を立てながらりんごの甘酸っぱい食感を味わっている
ヒメと‘ 精一杯の優しさ ’で向き合ったつもりだったが
ハミ受けをさせられず
馬の気勢をおさめることが出来ない私が乗るにはまだ早く、難しい馬
それでも人馬転のレッスンを乗り越え
ヒメとしっかり向き合いながら
私なりに‘ 優しく ’乗れたことで今日は良しとしようと思う
次、ヒメに乗る時はより優しく、気勢をおさめながら乗ることが出来るよう
もう少し扱い易い他の馬たちにもお付き合い頂きながら
練習に励みたい