wrote on 2015/1/30

折り返しが見えた。最後の折り返しである。

折り返しが見えた途端、精神的な苦痛から解き放たれる。あそこで反転すればゴールまで一直線だ。13kmポイントなので、あと3kmとなる。まさしくレース終盤だ。気力が湧いてくる。

折り返しを廻る。あとはE島までまっしぐらだ。気分が乗ってくる。知らず知らずの内に脚に力が入り、スピードが上がる。いける。いけそうだ。踏み込みが強くなり、スライドが広がる。その時である、右膝に微かに痛みがはしったのは。

走りながらゲッと思う。冷や水を浴びせられたような気分だ。

ほんの僅かな痛みであるし、この程度の痛みは15km以上を走った時に感じたことはある。しかし、この痛みが私を我に返させた。待てよ、この大会って慣らしだよな、2ヶ月後にフルマラソンだよな、と思い出す。この微かな痛みが恐怖のアキレス腱痛みたいになっては取り返しがつかない。暫く様子を見よう、と思う。スピードを上げるにしても もっと後でいい。そう考え直して加速しかけたスピードを再び落とす。折り返し前の巡航速度に戻して走り続ける。

E島が近づいてきた。スタッフが2週目ランナーは道路の左側に寄って下さいと繰り返す。1週目ランナーは道路の右側に移動し富士山方面へと折り返す。一方 2週目ランナーは折り返しを通り抜け、直後に右折してE島の桟橋方面へと向かう。昨年はここで多少混乱が発生したので、早めに左側に寄り右折に備える。

折り返しポイントを通過する。通過直後に右折してE島の桟橋へと突入する。昨年はここでかなりの疲労を感じていたのだが、今年はそれがない。一瞬感じた膝の痛みも消えた。ゴールまであと1kmもない。スパートかけるのは今しかない。

E島桟橋を駆け抜けながら頑張って加速する。終盤で減速しているランナーをどんどん追い抜く。風を感じる。呼吸が荒くなる。が、辛くはない。我ながら結構なスピードだ。アドレナリンが身体中を駆け巡る。

桟橋を渡り終え、沿道の歓声が湧き上がる中、更に7~8名を追い抜いて、勢いよくゴールを駆け抜ける。直後に腕時計のストップウォッチを止める。時計の盤面を見てあっ、と小さい声をあげた。

1km当たり5分で走れば1時間20分。
盤面はその1時間20分を30秒過ぎていた。

続く

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コメント

  1. 平田彰宏 | SGSLKF2g

    多分若い頃なら

    何かスパートかけようとして止めたり最終的にかけたりとジタバタしてますが、これは止むなしです。

    多分若い頃なら多少膝に痛みが走ろうが何だろうが気にせず走りきったでしょうね。学生の頃なんて全て勢いで行動してましたから(笑)

    ところがですね。歳取るととそうはいかないんです、これが。残念ながら無理がきかないんですよね。というか、そこで無理しちゃうとしっぺ返しくらっちゃうんです。後で痛い目を見るというか...。かと言って「全く無理はしない」というのも駄目なんですがね。

    歳取るとそこらへんのバランス感覚が肝だと思います。時々崩れちゃいますが。これ、ランニングをして身を以て会得した哲学です。

    ( 08:41 [Edit] )

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