温暖化は野生動物との闘いでもある

 

急激に暖かくなったと思ったら、急激に寒くなりました。

屋外で作業する身には、非常に堪える天候です。

 

ワイン造り人になって4回目となり、自分の思い通りの樹形を作れる様にはなりましたが、この場所では元々植わっていた樹を調整しながら整えていく作業が主体となります。元々、風が強い丘陵地でもあり礫も多く、ブドウを作るには色々とハードルが高い場所という事もあり、この場所を拓いた苦労には頭が下がります。

 

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そんなブドウ畑、最初から壁にぶち当たりました。

 

野生動物(恐らく、エゾシカ)が樹を齧りまくっています。

これがちょっとやそっとのレベルでは無く、広範囲に広がっているので大ダメージ。予備枝も残っていない株に至ってはあきらめる事も。やはり自然豊かな長沼町「馬追丘陵」です。目の前の山から沢山の野生動物が虎視眈々とブドウを狙っている様子。

 

総合的なワインの作りにおいて、私の師匠(勝手に師匠とお呼びしています)というか目標とする人が居りまして、その教えの一つに「10年後の気候や情勢を予測して育てる、苗を導入しましょう」と教わっていました。仰る通りで、年々平均気温が上がっている事は予測出来ていたのだから&夏場の高温で山の食べ物が不作=ヒグマなどの野生動物が多発・・・まで見えていたのに、どうして野生動物の食害まで頭が回らなかったのか。雪の解け始めの時期に枝が見え隠れしていたら、そりゃ食べに来ますわな・・・自分が携わる前の段階とはいえ、これは対策が急務。

※昨年秋の収穫時期において、北海道内のブドウ生産者は過去に例を見ない程の鳥害(食害)に遭いました。

 

温暖化する事で、ブドウの品種が変わってしまう~という話題は、生産者も消費者も意識している事ですが少なくとも自分はもっともっと環境変化について対応するべきだったと、前年秋以降について考え直しています。更に温暖化が進むのであれば、生態系だって変化するんだろうし、もっと色々な情報を得て対応策を揃えておかねば、と猛省しきりです。

 

 

様子を観察してみると、タヌキ(アライグマ?)やキツネの類も多く生息しています。とりあえずは電牧柵で対応しますが、いよいよとなれば知り合いのハンターを呼ぶか、あるいは自分で狩猟免許を取得するか・・・(罠くらいでも良いので)

 

私が携わっているマオイの畑については、創始者が開拓した区画には主にヤマブドウ系が植わっており、現在の醸造所&蒸留所の建屋側に向かう方向で新たに開拓して醸造用品種を植えた圃場です。広さは10ha以上あるとの事でしたが、実際に稼働しているエリアは人手不足等の理由もあって多くありません。電牧柵も広範囲に設置する事は可能ですが、忌避剤とか様々な方法を試してみないとダメですね。

 

10年後の気候を考えた時、今は積算温度がやや低く成熟が遅くなりがちのココが、将来は超絶適した環境に化ける可能性があると信じています。

 

 

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前のワイナリーで作っていたブドウ。

 

苗木を4月に植えて3カ月半でここまで成長しました。他のブドウ畑を見て歩いていますが3年目の苗木くらいに成長しています。生育が良いのは問題無いのですが、これは樹勢が強すぎます。

 

理由は富栄養な土壌で単純に肥料を与えすぎです。むしろ肥料なんて必要無かったとも考えています。節間もやや伸び気味になり、このままでは成り疲れを起こしてしまいますし、北海道の場合は凍害の影響を受けやすくなり、実際に根頭がん腫病も多く発生していました。方針として「収量重視」だったので口を出せませんでしたが・・自分でやる際は反面教師として活かしたい教材としています。

 

 

馬追丘陵から眺める夕日は最高の景色です。

これを見ると、一日の疲れも吹っ飛びます。

 

明日も頑張るぞー