シードルの宴レポート(後編)

 

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from北の大地のワイン好き主催
 道産"食"と"シードル"の宴


後編です。実は、この会が終わったと同時に更に別のワイン会の企画・打合せなどが重なり、なかなかブログを書く時間が取れずに居ました・・・こちらの方も追ってご報告出来たら良いな、と思っております。前編の方にはかなり多くのアクセスがあった様で、こんな拙いブログを読んで頂いている皆様には改めて感謝致します!


 
アイテム&料理一覧と解説・その2

 

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写真左より
5、3、1、4、6、8、7、2、11、10、9


 6:農楽蔵 アルティザナル
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この味のあるラベルを見てピンとくる方も多くなりました。ご存知「農楽蔵(のらくら)」です。北海道のワイナリーとしては、ドメーヌ・タカヒコ並みに入手困難なワイナリーですね。今回はそちらのシードルをご用意させて頂きました。函館市内の観光地、八幡坂の中腹から少し中道に入ったところにある「街中ワイナリー」。適切な管理をしてもらえる、目の届く範囲にしか卸さない、必要以上の手を加えないでありのままの味わいを届けたい、函館・道南を感じてもらいたいなどの哲学を持っていて生産数も少なく、希少な1本です。



 7:千歳ワイナリー 北ワイン ピノ・ノワール ロゼ

すみません、こちらも写真を撮り忘れです・・・(汗)
千歳市にあるワイナリーですが使用原料は余市町登地区。日本で一番古くからワイン用ブドウ「ピノ・ノワール」を本格的栽培していた「木村農園」のピノ・ノワールを使用するという贅沢な一品。木村農園は多孔性の赤土土壌で水はけ良く、国内最高、最良のブドウを生産しそのブドウはココ・ファームなど、各地の著名なワイナリーで使われています。木苺やサクランボを感じるチャーミングなロゼワイン。


C:蝦夷鹿のラグー フィットチーネパスタ

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一言で言うと、すっげー美味い。(おぃ)
ラグーというのは煮込んだソースという定義で、ミートソースなんかも同義です。今回は北海道の食材として近年、流通量が増えてきた「エゾシカ肉」をソースにしてフィットチーネパスタと合わせました。




 
エゾシカ肉の有用性、安心・安全・美味・栄養豊富!

エゾシカ肉というのは、家畜ではなく野生のもの、いわゆるジビエです。北海道では農業や林業への食害であったり、車や鉄道との衝突による交通事故であったりと害獣扱いとされています。特にJR北海道では年間に3000件近くの遅延障害の原因となっており、昨年の10月に自分も十勝池田町からの帰りのJRで、エゾシカと衝突した影響の為に札幌駅到着が1時間以上遅れたという実経験もあります。

エゾシカの野生での繁殖力は凄まじく、明治時代に奥尻島に6頭を放った後、20年で3000頭に増殖したというハムスター並みの繁殖力。というのも人口増加による環境の変化は勿論の事、天敵となるエゾオオカミや大型猛禽類の減少・絶滅であったり、狩猟を行うハンターの高齢化や減少も影響。国や道でも駆除対策を行い、狩猟免許取得の助成などの事業を行ったり食肉利用も推進しています。

エゾシカ肉は高タンパク&低脂肪で鉄分は牛レバーよりも多いというメリットがありますが、今までは「と畜場法」とは別でハンター個々人が処理をして枝肉として僅かに流通していた程度。しかも、処置にガイドラインなども無く、寄生虫であったり病原体などに汚染された肉も流通し、E型肝炎、トリヒナ症に感染した事例がありました。

現在では食品衛生法で定められた施設のある食肉処理業、食肉販売業を通す事や、「と畜場法」に適合しない為に自治体で策定したガイドラインやマニュアルに準じる事が義務付けられており、平成17年度より「エゾシカ有効活用検討委員会」、翌年には「エゾシカ衛生処理マニュアル」および「エゾシカ有効活用のガイドライン」 が策定され、有効活用の推進によって個体数・獣害を減らす事を目指しているとの事です。



色々と検索していると、どんなに施設や法律があっても危険だ!と不安を煽るブログもありました。全くもって勉強不足の間違いだらけな内容であり、その言い分で考えたら世の中に流通している食肉全てが危険という事になります。私たちが普段の生活で口にする食肉とまったく同じであり、安心安全な食材であります。



ちなみに、北海道といえば羊肉(ジンギスカン)が有名ですが、実は北海道内での自給率は0.5%。殆どがオーストラリア、ニュージーランドからの輸入であり、本当に北海道の肉として楽しむのであればエゾシカ肉なのでは?とも思います。ちなみに経済効果は旨く行けば100億円以上になるとか・・・!

エゾシカ肉に関しては、また後日に詳細をまとめて記事にしたいと思っております。






8:十勝ワイン ツヴァイゲルト

池田町で1975年から導入栽培しているオーストリア原産のブドウ、ツヴァイゲルトレーベ。フレンチオーク樽を用いて2年の樽熟を行うといった本格的な作りを経て出荷されているワイン。2014年は稀に見る好天に恵まれてグレートヴィンテージになると予想されているが収量が少なく、前年比50%程と希少。


 9:ニッカ アップルワイン

言わずと知れた、余市蒸留所。竹鶴政孝がウィスキー作りに着手し始めた頃、熟成期間の収益を確保する為にジュースやシードルアップルワインを作りました。残念ながら、現在は弘前工場で生産されていますが生まれ故郷の余市のお酒、という事で食後に甘口のアップルワインを飲むのは如何でしょうか。水割りでも、ロックでも炭酸でもOK!


D:滝川産合鴨ロースの赤ワイン煮 治部煮仕立て

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合鴨肉は全国で生産されていますが、狩猟制限もあり極めて少量であり輸入に依存しているのが現状です。国内生産を都道府県別で調べると滋賀県が多いそうですが、北海道産の合鴨肉は美味とされ、人気が高いという事でした。欧州では定番の食材でワインなどとの相性は抜群。旨味も強く、脂の芳香が良いので様々な料理に用いられ、近年は鴨出汁のカップ麺なんかもスーパーで見かける様になりました。

そんな鴨肉を石川県の郷土料理「治部煮」の技法を用いて、レアな状態でも味をしっかりと乗せる事で肉本来の旨味を活かしています。参加者大好評の一皿でした。



 10:増毛フルーツワイナリー シードル DOUX

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写真一番右の赤いラベルのシードルです。
日本最北端の酒蔵「国稀」のある増毛町は果物の生産も豊富で桃、リンゴ、梨、とバラエティ豊富。そんな果物を利用しようと設立した増毛フルーツワイナリーのシードルです。DOUXは甘口の意味。その時に出来たリンゴや割合をその都度変える為に同じものは存在しません。(ロットNO有)有名パン屋でも取扱いがあるので、気軽に手に入るのも魅力。

 11:多田農園 ポワール

上記の写真、真ん中のボトルです。
多田農園では梨を原料にした醸造酒「ポワール(ポワレ)」も生産しています。シードルと同じ果実を原料とした醸造酒でシードル同様に発泡性。リンゴほどに主張をしないので、ドライに感じつつ、ボリュームの厚さが旨味をしっかり支えているので飲みごたえのある1杯。ここまで、沢山のお酒を飲んできましたがそれでもこの1本の力強さはぼやける事無く感じられました。梨のお酒も、もっともっと探してみたいですね。








以上、11アイテムのご紹介でした。
実際にはあと1アイテム、料理も2品ありましたが参加した方々だけのお楽しみ、という事でシークレット(というほどでもありませんが・・・)とさせて頂きたいと思います。

今回、思いつきから開催まで一か月という短期決戦であり、シードルがメインでありながら本数を確保できない分アイテム数を増やす事や、道産食材に重点を置いた事でコストパフォーマンスがやや悪いかな、という不安がありました。それでも当初の予定よりも多くの方にご興味、ご参加頂けました事を重ねて御礼申し上げます。



来月には、別主催ではありますがワイン会のプロデュースをさせて頂いたり、セミナー開催の予定などもあります。今後とも、当ブログfrom北の大地のワイン好きをご愛顧いただけます様お願い申し上げます。




 

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