ミハイル・プレトニョフ 小野美咲(メゾ・ソプラノ) 東京フィル(10月17日、新国立劇場オペラパレス)
マーラーの「亡き子をしのぶ歌」を歌ったメゾ・ソプラノ小野美咲が良かった。現在ドイツ、レーゲンスブルク歌劇場と専属契約を結んでいる。昨年10月新国立劇場でのワーグナー「ワルキューレ」で、ワルキューレの一人シュヴェルトライテ役で観ていたはずだが、覚えていない。表現の幅と深さがあり、ホールの隅々まで余裕を持って声を届かせる。プレトニョフ東京フィルもマーラーの世界をえぐるように、赤裸々な演奏を展開した。
カーテンコールに小野がなかなか出てこないので、プレトニョフが袖まで迎えに行ったが、何があったかわからないが、だいぶたってから小野が登場した。
プレトニョフはハイドンの交響曲第49番「受難」と、シューベルトの交響曲第5番と第7番「未完成」を指揮したが、テンポが遅く、粘着力のある演奏は好みが分かれるかもしれない。特に「未完成」が重々しい。オーボエ、クラリネットのソロは見事だった。
写真:(c)プレトニョフ(c)上野隆文