全ての管が抜けた術後8日目の夜8時過ぎ、
寝る前にお腹のさらしを巻きなおしてもらい
さらしの下にかゆみ止めも
たっぷり塗ってもらった。

これから消灯までは、たぶん誰も病室に来ない。

術後ずっと、なんだか少し怖くて
自分で胸を見ていなかったけれど、
どきどきしながら、左胸を上からのぞいてみた。


…胸がある!


傷の上には、昨日の記事で書いたように
テープがずらりと貼られている。

術後すぐなのでまだ少し張っているけれど、
右と同じようなふくらみがあった。

そっと両手で包んでみる。

エキスパンダーの時のように、
ぷよぷよと水が入っている感じではなく、
筋肉も入っているからか、
右よりも硬めで弾力がある。
(これは徐々に筋肉が減っていき、
もっと柔らかくなるらしい)

全摘をしているから、それ以来皮膚の感覚は
ほとんどないことには変わりがない。


けれども、

温かい…。


右胸と同じ、自分の体温だ。


ぽろぽろと涙が出た。

病室でひとり、
「先生ありがとう…」とつぶやいた。


もうなくしたまま生きるのかな、と
一度はあきらめた胸が戻ってきた。

このために、わたしは今
がんばっているのだな。

お腹に傷はできた(さらしを巻いているので、
まだ見ていない)が
胸があるのは、やはりうれしい。

がんになって、失ったものもあるけれど
こうしてまた手に入れられたものもある。

おかえりなさい。

これからも、あきらめず
とりもどしていこう。

術後初めて泣いた、
8日目の夜だった。




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