90代の超高齢の母を介護する70代姉妹


親の介護をしている子の関係では、母と息子、父と娘などいろいろなパターンがあります。
どのパターンが良いのかは一概には言えませんが、母と娘の関係は介護には向いているように思います。

先日亡くなった女性のグリーフケアに伺いましたが、その方は娘の介護を受けていました。息子も居たのですが、数十年前から自分の介護は娘にして欲しいと宣言されて、別の所に住んでいた娘夫婦を自宅の隣に呼び寄せました。
娘さんが「私が先に死んだらどうするの」と聞いたら孫娘に面倒をみてもらうと言っていたそうです。
その方によれば、息子は役に立たないだろうし、結局嫁に面倒をみて貰う事になるのが気に入らなかったそうです。

介護となると、下の世話も出てきます。母としては息子に自分の下の世話をして貰いたくない気持ちもあるのでしょう。

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さて、今日はそんな母と娘のパターン、超高齢の母を介護している高齢姉妹のお話です。

現在までの様子

母は90代後半で認知症の末期です。寝たきりですし、時折うっすら目を開けるくらいで、会話も出来ません。排泄はオムツです。幸い嚥下機能は保たれていますので、食事は注射器の大きいものに、ミキサーでつぶしたものを入れて、口の中に流し込む様にして摂っています。

生活サイクル

自転車やバイクだと約30分位の同じ市内に、長女さんと次女さんが住んでいて、週末土曜日から月曜日までを交代でお母さんの面倒をみています。月曜日から土曜日までの平日はショートステイを利用することで、生活サイクルが上手く回っています。

大正生まれで、戦争を生き抜いてきた方なので、芯が丈夫なのでしょうか。
これまで、幾度となくもうダメという状態になっても、その都度復活します。

急変

先週のことです。ショート先から呼吸状態が悪いと往診依頼がありました。
訪問すると胸の音が悪く、呼吸状態が確かに悪い状態でした。脈拍も早くなって苦しそうな様子でした。もともと、施設で何かあってもそのまま看取る事で方針が決まっていました。
流石に今回はもうダメだろうと判断し、娘さん達には「週末までもつかどうか分かりません」と伝えました。そうすると電話口で娘さんが「案外またケロッと復活するかもね」と言っていました。

復活

それは無いだろう思いながら翌日も訪問診療に伺うと、何と呼吸状態が良くなっていました。食事や水分はとれていませんでしたが、明らかに前日と比較して全身状態は良くなっています。これならば、回復する見込みがあると判断し、採血をして抗生剤による肺炎の治療を行いました。

3日目には、当初の予定通り自宅に戻りました。普段は介護に関わっていない3女さん、4女さんも一堂に会してお母さんの様子を伺いながら色々話をされたようです。
その横でお母さんはいつも通りに復活していました。

「こんなことでも無いと4人姉妹が集まることは中々ありません。母から良いプレゼントいただきました。」と仰って、にっこりと笑っていらっしゃいました。

このお母さんはきっと100歳まで、いやそれ以上生きてゆくと確信しました。

大正生まれの母は強し

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