「AさんとBさんの速さの比は5:4です。
同じ時間にAさんとBさんが進む距離の比を答えなさい」
もはや、問題と呼ぶことさえ怪しい、常識的な設問です。
正比例と反比例は、思いのほか理解度に差がある単元だということは以前も書きましたね。
そして、この問いに4:5と答える不届きな生徒がいました。
とりあえず逆にすればいいという、「逆比病」にかかってしまっています!
こう言う時の物言いは、自然と厳しいものになります。
「一瞬でも考えて答えなきゃ!
落ち着いてみれば、絶対にありえない答えだから!
それを恥ずかしいと思わないと!これは恥だよ、恥!」
しかし、この生徒はすぐに何でも言い返してくる生徒でした。
「いいんですよ、別に!
もう気づきましたし。別に問題ないです。
それに僕、しゅうちしんがないんですよ!」
そう答えが返ってくると、思わず感心してしまいます。
「ほぉー、羞恥心なんて言葉が出てくるなんて、すごい!
そんなことば、聞いたこともない生徒が多いだろうし、パッと出てくるのもいいね」
叱られるかと思ったら、突然褒められることになり、彼はまんざらでもない表情を浮かべています。
「ちなみに、それって漢字で書けるの?」
そう何気なく尋ねると、その表情が困った顔に変わり、そしてまた何かを閃いたように目が輝きました。
「うーん、どうだったかなぁ……!
あっ、先生、とりあえずトイレに行ってきますね」
そしてトイレから帰って来た彼は、席に座りながらこう言いました。
「あぁ先生、羞恥心の漢字、やっと思い出しましたよ」
「………………。
ほぉー、なるほどね。
ところで、君のスマートフォンはいま…………どこにある?」
「(ギクリ)え?ス、スマホですか?
あ、あぁー、どこだったかなあ、今はきっと家にありますよ!」
「ウソつけ!!
じゃあ、そのポケットのふくらみは何だ!!
羞恥心なさすぎでしょ!」
算数の時間だから冗談で済みますが、国語の時間だったらレッドカードなエピソードですね(笑)
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