今日は、皆さまからお問い合せのありました信用補完制度の改正について少し丁寧にblogを書きたいと思います。

 

信用補完制度とは、一般的に中小企業は信用力に乏しく、民間金融機関だけで資金繰りを円滑に進めることは困難なので、各地の信用保証協会が、事業者の民間金融機関からの借入れに対して保証を行い、返済が滞った際には、代わって債務の支払いを実施する制度です。

 

現行の信用補完制度は、以下の2つの保証制度を柱としています。一般保証:融資額の80%を保証し、20%を金融機関が負担(任共有制度)。ただし、小規模事業者や創業者等に対する保証は100%保証。セーフティネット保証:自然災害時や構造不況業種を対象に、一般保証とは別枠で融資額の原則100%を保証。

 

今回の改正の背景には、信用補完制度は中小企業の資金繰りを支える重要な制度であり、中小企業がライフステージの様々な局面で必要とする多様な資金需(小口、創業、承継等)や、大規模な経済危機、災害等により信用の収縮が生じた場合における資金需要等に一層対応できるようにしていくことが重要だということ。

 また、信用保証への過度な依存が進んでしまうと、金融機関にとっては、事業性評価融資やその後の期中管理・経営支援への動機が失われるおそれがあるとともに、中小企業にとっても資金調達が容易になることから、かえって経営改善への意欲が失われるといった副作用が指摘がされていることがあります。

 

このため、中小企業の資金需要に一層きめ細かく対応するとともに、信用保証協会と金融機関が連携して中小企業への経営支援を強化することで、中小企業の経営改善・生産性向上を一層進める仕組みを構築することが必要であるという考え方の下、今般の見直しがおこなわれました。

 

見直しの概要ですが、中小企業の多様な資金需要に対するきめ細かな対応として①危機関連保証の創設(従来の保証限度額とは別枠で最大2.8億円の保証)②小規模事業者への支援拡充。特別小口保険の付保限度額を拡充(1250万円→2000万円)創業関連保証の付保限度額を拡充(1000万円→2000万円)④特定経営承継関連保証の創設経営改善・事業再生の促進、再チャレンジ支援等円滑な撤退支援信用保証協会における出資ファンドの対象拡大等が柱となっています。またこれとあわせて、信用保証協会と金融機関とが連携した支援策が図られます。

 詳しくは、下記URLでご確認ください。

http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/hokan/index.htm

 

今回の改正では、中小企業の経営状況を最も熟知しているべき金融機関と信用保証協会とが各企業に応じて適切なリスク負担の割合を決定しなければならず、両者の力量が問われることになります。さらに、このスキームが有効に機能するためには、金融機関と信用保証協会の間で保証企業(特に、経営環境が厳しい状況にある企業)の情報が共有され、両者の信頼関係を一層深めることが求められます。

 

あわせて、業績悪化の見込まれる中小企業に対して、信用保証付き融資を拡大し、プロパー融資を減らして、自らの与信リスクを軽減する誘因が働くことが懸念されるため、金融庁が金融機関を適切に監督していくことも不可欠だと思います

 

最後に、今回の改正が、中小企業・小規模事業者にとって、金融の使い勝手が向上し、経営改善につながるよう、私石﨑とおるも、財務金融委員として、注意深く見守ってまいりたいと思います。

 

衆議院議員 石崎徹