新日本プロレスが誇る真夏の祭典、「G1クライマックス」が文字通りクライマックスに差し掛かってきた。
両国3連戦も2日目が終わり、優勝戦進出は内藤哲也とケニー・オメガ。昨年の公式戦最終試合にして、私が挙げる2016年度のベストバウトの再戦となった。
その展望の前に、この2日間の公式戦を簡単に振り返ってみたい。
まず初日(11日)。
長年新日を支えてきた永田裕志の「G1最終試合」と謳われたバッドラック・ファレ戦。
まだまだ体力・気力とも第一線でやれる永田サン。まったく見劣りのしない闘いっぷり。
「散り方を考えるならもう辞めてしまえ。何が起きても、何があっても、もがけ。暴れろ。闘え。生きる方法を考えろ。見苦しいから?カッコ悪いから?美しい終なんて存在しない。生きる姿だけが本当の自分。闘え。」
これは鈴木みのるのツイートで、誰に対してとも、何も明言していないが、間違いなくみのる流の永田に対するエール。永田にはまだまだ老け込んで欲しくないものだ。
最後のファレの一礼は、ちょっとホロッときてしまった。あれで、グッと来ない奴はちょっとどうかしてる。
石井智宏とザック・セイバーJr.の試合は、観ていて「痛かった」。関節技はもちろん、打撃も“石井標準” のゴツゴツぶり。細く見えるザックだけに、壊れちゃうんじゃないかと思えるほど厳しい攻めだった。しかし、最後は複雑な複合関節技で、G1では記憶にないレフリーストップ。
あっぱれ、ザック。アナウンサーは「サッカーボール・キック」と言っていたが、フロントネック・チャンスリー・ドロップからロープに飛んでのそれは、間違いなく「PK」。ザックなりの柴田勝頼へのエールと捉えたい。
Aブロックの天王山、「勝てば優勝戦進出」の「内藤哲也 vs 棚橋弘至」は凄まじい消耗戦だった。
40歳を過ぎようと、やはり棚橋はまだ終わっちゃいない。むしろ、時代の流れに抗うその姿は史上最高級に心を震わせるものがある。
勝った内藤はもちろん見事だったし、試合内容的にも非の打ち所がないのだが、主役は完全に「斜陽の棚橋」だったかな。哀愁を纏った棚橋から目が離せない。
個人的に最注目だった飯伏幸太は、まぁ、良くも悪くも「期待通り」。やはり、期待せずにはおれないんだけど、プラスαを見せてはもらえなかった。残念だけど、結果的にブランクを払拭出来なかったと言うしかない。
翌12日。
同じく公式戦のみ振り返るが、マイケル・エルガン vs ジュース・ロビンソン」は予想以上。ここまでジュースが頑張るとは。実は、この日のベストバウトかも。
Aブロックの飯伏と並んで期待していたSANADAは、結果も内容もイマイチ。ポテンシャルの高さを生かしきれていないのは、政治的な・・・ムニャムニャ。
そして、以前にも当ブログで取り上げたが、鈴木みのるにとって矢野通はやはり天敵。どうしてもペースを掴めないようだ。
レスリングをベースにした地の強さに、当代随一とも言えるインサイドワークで、常に精神的に優位に立たれてしまう。そんなに長くない試合の中で楽しめる要素が盛りだくさんの内容だった。
そして、最終公式戦、「オカダ・カズチカ vs ケニー・オメガ」。
EVIL戦からのオカダの“負けフラグ” があからさまだったとはいえ、凄まじい、それはそれは凄まじい試合だった。オカダの価値が落ちず、遂にケニーがオカダから勝利を挙げた。見事なストーリーだ。
終わってみたら、順当な感じがする。
優勝戦の予想は、いわば来年の1・4東京ドームのメインを占う一戦ということになるわけだが、内藤とケニー、どっちが出ても盛り上がることは間違いない。
人気ナンバーワンの内藤哲也。
オカダに土を付けたケニー。
まったく予想が付かないところが、さすがだ。
個人的には、オカダの年内の防衛戦はあと2〜3回、と考えると、1人はEVILで間違いない。あとは公式戦で引き分けた鈴木みのるも、ありだ。
ここで、もう1回防衛戦があるなら、公式戦で負けたケニーになるが、ないとしたら、ケニーとの決着戦がドームということも十分考えられる。
ただ、今が“旬” で無冠の内藤が挑戦しないで、何が「頂上決戦」か、とも言える。
ということで、どっちが勝ってもおかしくない優勝戦。当ブログの予想は・・・
内藤哲也!