ヨーロッパを終えて、ナイトなシンガポール、スコールのマレーシア、秋の鈴鹿と再びアジアにF1が戻ってきます。
《国の基本情報ほか》
国名称:シンガポール共和国
  人口  :561万人(世界第113位)
  面積  :719㎢(世界第176位)
  設立  :1965年にマレーシアより独立
主言語:英語、中国語、マレーシア語、タミル語
  首都  :なし(シンガポール)
  通貨  :シンガポール・ドル

F1開催期間と数:2008〜(10回目)
開催サーキット:マリーナ・ベイ市街地
F1ドライバー数:0人
F1チャンピオン:0人
現役ドライバー:0人
著名ドライバー:なし

シンガポールは元々次戦のマレーシアと同じ国でした。その昔はイギリスの植民地の一つで、第二次世界大戦中は日本が占領していたこともあります。1963年にイギリスから独立を宣言、1965年にマレーシアの議会で追放されて独立国家となりました。観光された方ならご存知かもしれませんが、マレー半島の先っぽにありながらも、実はマレーシアとはジョホール海峡で隔てらた島国です。また変わった点として、日本のような県や市の概念はなく、厳密な首都もありません。街=国みたいな感じでしょうか。
地形的にもアジアとヨーロッパを行き交う貿易船が通ることで繁栄、世界屈指の港を有し近年は金融、工業などでも潤う高所得国となっています。F1観戦中にも三棟のビルの最上階にある船型のプール「マリーナベイ・サンズ」が象徴的ですよね!人口は一見少なそうにみえて国土面積も小さいため、人口密度は2013年のデータで国単位では世界第2位となる7,713人/㎢(参考までに国の1位はモナコ公国の18,915人/㎢、日本は346人/㎢。2017年のデータで東京都は6,224人/㎢で県の1位、豊島区が22,660人/㎢で行政区の1位、埼玉県蕨市が14,300人/㎢で市の1位)また国民の75%が中国系、マレー系が15%、インド系が10%の割合となっています。このあたりがバーレーンやアブダビなど新興国によくある感じです。
シンガポールといえば赤道直下の国で乾季のほとんどない「熱帯雨林気候」に属し、5月の平均最高気温は32℃で最低でも25℃、最も涼しい12月で最高30℃とほとんど差がありません。特に冬期(という表現が正しいかどうか)にあたる10月から2月は200mmを超える雨が降るため、少しだけ気温は下がります。と考えると、毎年秋口に設定される9月のF1は「夜になれば少しは涼しく、雨も多くなる前」といえます。いずれにせよ、いつ行っても暑いし、いつでも雨は多めです。
《マリーナ・ベイ市街地》
  所在地 :シンガポール
標準時差:UTC+8:00(日本から-1:00)
  F1開催 :2008〜(10回目)
一周距離:5.067km(2008)
                  5.073km(2009〜12)
                  5.065km(2013〜)
初代優勝:F・アロンソ(ルノー)
最多優勝:S・ベッテル(4回)
最多P.P. :S・ベッテル、L・ハミルトン(3回)
最速P.P. :1分44秒801 F・マッサ(2008)
                  1分44秒381 S・ベッテル(2011)
                  1分42秒584 N・ロズベルグ(2016)
最多F.L. :F・アロンソ、D・リカルド(2回)
最速F.L. :1分45秒599 K・ライコネン(2008)
                  1分47秒976 F・アロンソ(2010)
                  1分45秒504 S・ベッテル(2013)

常設サーキットでなく街中を封鎖、1,600基の投光器が32m間隔で備えられ、合計3,000ルクスの明るさで照らす中を走る「F1初のナイトレース」として2008年に初開催となりました。ヨーロッパとの時差、そして気温を考えた効率的なアイデアです。コースレイアウトは2012年まで使用された5.073km(赤線)と2013年からの現レイアウト(黒線)を描いてみました。違いは現レイアウトのターン10手前で小さく左折し、シケイン状となっていたところで、コーナーも24箇所ありました。ただご存知の通り、中低速なレイアウトで規定の「トータル300km」を走破しようとすると、こちらも規定の「2時間以内」をクリアできなくなります(本来は61周レースでトータルは308.965kmのところを2015年優勝のベッテルが2時間1分22秒。2012年は59周でも優勝タイムは2時間0分26秒かかっている)赤旗が出たり天候不良でさらにペースが落ちると完全にアウトです。少数派の左回りで幅員も狭く、エスケープゾーンもほぼないことで毎年出動するセーフティカー、さらに高温多湿が拍車をかけるなどドライバーの集中力や気遣いは普段のGPとは異なり、見た目以上にハードです。

シンガポールと同様に日本から近い位置にあるマレーシアGPは今シーズンが最後の開催。そしてそんなシンガポールGPも来シーズンの2018年をもって終了するかもしれません。