心が浄化されるとき… | 記憶の中の宝探し 限りなき時間遡上

記憶の中の宝探し 限りなき時間遡上

珠玉の思い出を引き出して楽しんじゃおう!

 


皆様は
心が安らぎ清められるときが
あるとすれば
どんなときであろう。
 
私が最高潮に感じる瞬間とは
強烈に凄まじく懐かしい ビックリマーク
 
といった想いが
甦るときなのである。
 
その主なセンシティブとは
 
視覚 聴覚 臭覚に
 
強くうったえられたとき
なのであるが~
 
年齢を増すごとに
特に臭覚で
快感に溢れる思いになることが
しばしばあったりする。
 
それはまったくもって
予期せぬところで起きるのだ。
 
 
先日のこと
スーパーで買物中
人とすれ違ったおり
 
そのとき
ほのかに香ってきた芳香に
思わず
立ちすくんでしまった。
 
それは 私の産みの母親の
香りであった。
 
体臭ではなく
すれ違いざまに感じた
香水の匂いが
酷似していたためだろう。
 
私を生後5ヶ月で手離した
実母のことを
突如急加速で想起しはじめ
止まらなくなってしまった。
 
売場の通路の真ん中で
想いにふけていても邪魔だから
売場の隅っこの壁に
疲れを癒す振りをして
もたれ留まった。

赤ん坊のときの記憶は
もちろん無いが
高三の春のころ再会したときの
シーンと同じ香りに気持ちが
吸い込まれた。
 
この時の香りが
未だに強く印象に
残っているということだ。
 
 
時は40年近く前の3月中旬。
 
津軽半島の最北端
竜飛崎の少し手前
小泊という小さな漁村に
母は漁師の夫と再婚して
住んでいた。
 
再会した瞬間
お母さん ビックリマーク
 
という第一声で
呼ぶことはできなかった。
 
母との記憶がないのだから
仕方がない。
 
外は海峡から吹き付ける
強い西風に小雪が混じって
歩くのもままならない状態。
雪の結晶
 
母が暮らす家の室内は
都会の冬に灯す
小型の石油ストーブとは桁違いに
大きなセントラルヒーターが
 
赤々と暖気を放ち 家
おもての白一色の寒々した景色とは
まるで別世界であった。
 
お昼時であったのか
 
負い目がちな表情の母は
私に
 
何か食べたいものあるか はてなマーク
と穏やかな口調で話しかけてきた。
 
私は
かつ丼がいいな~
と応えた。
 
今でも相変わらずそうだが
お昼にかつ丼が
食いたくなるのである。
 
実に18年振りということだったが
共通の話題などあるはずもなく
お互い沈黙が続いた。
 
当時、テレビのバラエティー番組で
 
【それは秘密です】
 
といったタグイの
生き別れになった人を
テレビ局側が探し出し
カメラの前で涙のご対面という
テレ番なんかがあったものだ。
笑い泣き
 
それと同じ場面が目の前で
展開している。
 
しかも
自分がその主人公なのである。
 
しかし、涙は一滴も出なかった。
 
私は、この人か~
 
俺を産んだのは !!
 
と硬い形相で
ただ黙ってしみじみと
見つめていたのを思い出す。
 
そのとき
何だかわからないが
ぼんやり薄っすらと
懐かしさをも感じていた。
 
事情はどうであれ
やはり血のつながった親子という
根本にある血縁が
そうさせたのかも知れない。
 
 
 
 
 
 
 
記憶ってのは~
一つのことを思い起こすと
関連して複数の事柄が
呼び覚まされることも多い。
 
TBS系金曜ドラマ
 
【赤い嵐】
 
 
次週いよいよ最終話という
そんな頃であったことも
付随された。
 
柴田恭兵 演じる交番巡査が
劇中で何度も言う
 
しのぶちゃーん !!
 
の臭いセリフが話題であった。
 
巷のレコード店や
ラジオなどからは
オフコースの
 
【さよなら】 
 
ばんばひろふみの
 
【SACHIKO】 
 
なんかが
頻繁に聴かれた。

買物で入店したスーパーで
ふと、かいだ一瞬の香りであったが
40年近く前の
実母との劇的対面シーンまで
記憶が遡上したのである。
 
同時に
心身の汚れが浄化されるが如く
言葉ではとても形容しがたい
 
不純物が拭われる 
 
みたいな!?
心地良さに包まれた。
 
こんなにもごく平凡な
日常の買物に於いて
超高級リラクゼーションを
施されたように
心身清められるのだから
 
私的に 臭覚は
あなどれないのだ。
 
 
濃厚な香水の匂いは
あまり好まないが
 
ノスタルジー感覚
 
に酔いしれる効果ある
フレグランスがあったら
 
愛用したいものである…
 
 
 
ご拝読いただき
ありがとうございました。
 
 
 
 
 
.