アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「ドライヴ」感想 雰囲気だけのオシャクソ映画とこの映画の違いを教えます

 

どうも、お洒落なだけでストーリーもクソもないオシャクソ映画はこの世からなくなれと願う僕です。
お洒落かなんか知りませんけど 
相性の悪い男女が2時間喧嘩して最後にチューして終わりって、やってることはダチョウ倶楽部のネタと同じです。
かいつまめば5分で終われる事をお洒落でごまかしてダラダラやるな

といつもムカついてます。

さて、今回ご紹介しますドライヴ、クッソお洒落です。
オシャクソ映画とクッソお洒落な映画の違いが判らなければこの映画を観て下さい。

 

2012/アメリカ
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:ライアンゴズリング、キャリーマリガン、ブライアンクランストン、ロンパールマン
上映時間:100分f:id:hagane-mk:20160821010858j:image

83点

ざっくりあらすじ

男には3つの顔があった。
1つ目の顔はハリウッドのカースタントマン。
2つ目の顔は車工場で働く整備士。
そして最後の顔は犯罪者の逃走を請け負う逃がし屋である。
男は寡黙で孤独を愛していた。
しかし同じマンションに住む人妻アイリーンを愛し彼は変わり始める。
そのアイリーンとの出会いが後に男を闇社会の渦に巻き込むこととは知らずに...

 

Beautiful beautiful beautiful beautiful boy

今回はこの映画が「どれほどオサレで美しいかを伝えたい!」が趣旨なのであらすじを追うことはしません。
特にオサレさんでもない僕が僕なりに感じるオサレポイントを生意気にもあげていきます。
それより内容が知りた~いって方は、そういうブログに行って下さい。

ライアンゴズリングが美しい...オサレ

なんといっても主演のゴズりんですよね。
もう立っているだけで美しい。
名作ラブアゲインで半裸のゴズりんを見たヒロインが
「何それ?フォトショ加工済み?」
と驚き聞いたのもうなずけます。
しかも今回は裏の仕事もする寡黙なドライバーって設定。

そのアウトローな感じがオサレで美しい...反論は認めません。

で、こいつがいつも運転中、楊枝を口の端に噛んでるんですが、もうそれがやさぐれ感を醸し出してていいんですよ。
きっと大リーガーのガムみたいな感じで集中力を高めてるんですね。
決してお昼に半チャンラーメンセットを食ったおっさんの爪楊枝シーハーとは違う訳です。

そして彼がいつも着ているサテン生地のスタジャン。
シルバーでバックにスコーピオンの刺繍入り!ワイルドだぜ~

これもオサレ!...かどうかは人の好みによるな...僕はオサレだと...思うんだけど。

ちなみにこのスタジャン、ネットで調べてみたらレプリカが売ってました!
でもお値段高いんでしょ?
ご安心下さい!販売価格!なんと!

¥32,800‐(税込み) 

高っ!!

そしてインナーに着ていた薄汚れたヘンリーネックのTシャツ
¥12,800‐(税込み)

高っ!!!

 

オサレは金がかかります…

 

一番きれいな色ってなんだろう?
一番ひかってるものってなんだろう?

この映画は映像が美しい…オサレ
でもその美しさは特別な景色を映したものでもなければCGを使ったものでもありません。
僕たちの日常の中でもふと感じることの出来る美しさをフィルムの中に閉じ込めてます。

例えば冒頭、逃し屋として犯罪者を車に乗せ夜の街を走るシーン。
警察に追われ、時に闇の中に潜みます。
当然車中は闇に包まれます。
そしてチャンスを見てまた公道に、車中に光が差し込みドライバーの顔が映ります。

光と影を使った緊張感の演出!実に見事です。

また高速で走る車の外、街のネオンや対向車のライトがぼやけて映ります。
これらの景色は多くの人が日常で目にした事のあるものです。
その何でもないものも使い方が上手ければこんなに美しく見えるものなんですね。

とにかくこの映画は光と影の使い方が上手い。
車のシーンもそうですが、エレベーターのキスシーン!あそこは秀逸ですね。
エレベーターの室内灯のオレンジが2人を映したり隠したりします。

ま、光が差し込んだ先に映るのがゴズりんやキャリーマリガンだから美しいわけで...これが普通のおっさんならどうなの?と思ったでしょ?思いますよね?

これが美しいんです。
普通のおっさんどころか、98%ゴリラのロンパールマンを同じように映してるんですが、不思議とあのゴリラが美しい。

お兄さん、女性を口説く時には車の中に光が差し込んだ瞬間が狙い目ですぜ。

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これから始まる世界は不安がいっぱい
大人は危険な動物だし 場合によっては人も殺すぜ

この言い方は不謹慎にあたるかもですが

暴力が美しい…オサレ。 

この映画、暴力描写が結構多いのですが、静か動でいえば静。

全体的に流れる雰囲気はとても静かです。
静かですが、いつバイオレンスがおとずれてもおかしくない空気感。
日常でもありませんか?
特に何かあるわけではないのに、なんか嫌な予感がする...というあのピリピリ感。
あれです。

そして突然訪れる暴力、自らが侵す暴力。
これらは瞬間的に起こり、そのあとにはまた静寂が訪れます。

なんといいますか、居合抜きのような美しさといいましょうか。
抜刀した後には切り裂かれた暴力という結果が残るのに、その瞬間の鮮やかさと刀を再び納めた時の静けさに目を奪われます。

様式美...そう様式美という美しさとオサレがこの映画にはあるのです。

そして主人公は進んで暴力を振るうタイプの人間ではありません。
しかし自身に危険が及んだ時、大事にしているものが奪われようとしている時、その時は躊躇なく暴力を執行します。
眠れる獅子を起こすな、牙はいつでも磨かれている...という感じですかね。

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シャレオツ
やっぱり最高じゃないオサレ 

最後はやはりストーリーが美しい...オサレ

オシャクソ映画とクッソお洒落な映画の決定的な違い、それはやはりストーリーにあります。

お洒落に見せる為にストーリーがあるのではなく。
ストーリーを魅せる為にお洒落にする!なのです。

包装紙だけがお洒落でも中のお菓子が不美味ければそのお菓子は失敗でしょう。
逆にお菓子は美味いのに包装紙がクソダサい、そのお菓子は成功ですが売れないでしょう。
まず本体をしっかり創る、そしてその素晴らしさを伝える為に包みを飾る。
この考えの元にドライヴは創られています。

三つの顔をもつドライバーはもちろん昼の顔を大事にしたいのですが、生活の為、夢の為に夜の顔を持たざるを得ない。
しかしそのドライビング技術が認められ金になるのは夜の顔。
不満を抱えながらもドライバーは三つの顔を平行して使い続ける。

そこで突然の出会い。
孤独に闇の中で生きてきた男の前に心を奪う女性が現れます。
しかしその女性は人妻であり子供もいます。
彼は彼女の家庭を壊そうとはしません。
逆にどうしようもないクズの旦那をなんとか助けようとします。
自身が持つ夜の顔を使って...
それが全てを飲み込む漆黒の闇の入り口だった...

なんて素敵に汚れた美しい世界。
こんなストーリーを抱えて陳腐な包装をする訳にはいきません。
それで監督はこの脚本に全力で応えたのでしょう。
そしてこの傑作が生まれたのでしょう。

 

どうでしょう?

 

乱雑にこの映画のオサレポイントをあげてみましたが

クリームブリュレをカチカチ叩いてるだけのオシャクソ映画や
メガネのボタンダウンインテリやさ男が恋するオシャクソ映画などとの違いが伝わりましたでしょうか?

この映画を観てしまって以降、僕は以前にも増してオシャクソ映画に厳しくなりました。
オシャクソ映画撲滅委員会の会長を務めるほどに。
皆さんも是非この会に参加してみませんか?
会員条件はただひとつ

「ドライヴ」を観ていること。

それだけです。

 

追伸、付け足すようで申し訳ないのですが、この映画に使われてる80’sエレクトロのような音が映像にマッチしていて実にオサレですね。

ドライヴ [Blu-ray]

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 最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・レオン
・セブン
・トゥルーロマンス

www.anomaly3-movie.com