★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇アルテュール・グリュミオーのヴァイオリン名曲集

2022-07-04 09:40:27 | 室内楽曲(ヴァイオリン)


~ヴァイオリン名曲集~

クライスラー:愛のよろこび/愛の悲しみ/美しきロスマリン
モーツァルト:メヌエット
マスネー:タイスの瞑想曲                   
ドヴォルザーク:ユーモレスク                
ベートーヴェン:ト調のメヌエット
シューマン:トロイメライ
モーツァルト(クライスラー編):ロンド
シューベルト:セレナード
アルベニス(クライスラー編):タンゴ
フォーレ:夢のあとに     
ドヴォルザーク:わが母が教えてくれた歌
シューベルト:アヴェ・マリア

ヴァイオリン:アルテュール・グリュミオー

ピアノ:イストヴァン・ハイデュー

録音:1973年、アムステルダム

発売:1977年

LP:日本フォノグラム(フォンタナ・レコード) PL-23

 私は「クラシック音楽がどうして好きなのですか?」問われたら、昔はむきになって、ベートーヴェンが如何に素晴らしいかを喋り、シューベルト、ブラームス、シューマン、ショパンなどあらゆる作曲家の名を挙げ、そしてそれらの名曲について語ったものだった。しかし、今同じ質問が来たら、多分何も答えず、アルテュール・グリュミオーの弾く、このLPレコードの最初の3曲「愛のよろこび」「愛の悲しみ」「美しきロスマリン」を聴いてもらうことになるのではないかと思う。何故かというとグリュミオーの弾くヴァイオリン演奏には、クラシック音楽の持つ美しさが凝縮され、しかも誰が聴いても分りやすいからだ。それにクライスラーが作曲したこれらの曲は、郷愁にも似た感情を、聴いたものすべての者に抱かせることができる、不朽の小品だからでもある。「百聞は一見に如かず」という言葉があるが、グリュミオーの弾くヴァイオリン演奏を聴くと「百聞は一聴に如かず」という思いが自然に湧き上がってくるほどだ。これらの3曲を含んで、このLPレコードに収められたグリュミオーの演奏の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいものがある。グリュミオーの弾くヴィブラートはヴァイオリン演奏史上最も美しいと称される。自然なボウイングでヴァイオリンを奏で、そこから紡ぎだされる音は珠玉のように美しい。フランコ=ベルギー楽派を代表する大ヴァイオリニストなのである。アルテュール・グリュミオー(1921年―1986年)はベルギーの出身。シャルルロワ音楽学校を経た後に、ブリュッセル王立音楽院で学ぶ。その後、パリに留学してジョルジュ・エネスコに師事している。第二次世界大戦後、その名は不動なものとなり、世界的な名声を得るようになる。特に、ピアニストのクララ・ハスキルをパートナーに迎えての演奏活動は、当時の多くの聴衆を魅了した。グリュミオーは音楽界への貢献が認められ、1973年に男爵に叙爵されている。美を極限まで追求したグリュミオーのようなヴァイオリン演奏は、LPレコード特有の柔らかくも温かみのある音質によって聴くことで、はじめてその真価が聴き取れるのである。その意味でこのLPレコードは貴重な存在である。そしてピアノのイストヴァン・ハイデュー(1913年―?)との絶妙なコンビを書き落とすとしたら、片手落ちになろう。イストヴァン・ハイデューはハンガリー・ブタペスト出身。1957年にオランダに移住し、その翌年からグリュミオーの常時の共演者を務めた。(LPC)


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