★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇デ・ロス・アンヘルスが歌う珠玉の歌曲小品集

2022-12-19 09:43:17 | 歌曲(女声)


~デ・ロス・アンヘルス 歌の世界~

メンデルスゾーン:歌の翼
グリーク:汝を愛す
ブラームス:子守歌
ドヴォルザーク:わが母の教え給いし歌(「ジプシーの歌」より)
マルティーニ:愛の歓び
アーン:恋する乙女
ドリーブ:カディスの娘
古謡:アイルランドの子守歌
サデロ:シチリアの子守歌
イラディエール:ラ・パロマ
オヴァーレ:青い鳥
ルーナ:スペインからやってきた娘(サルスエラ「ユダヤの若者」より)
チャピ:カルセレラス(サルスエラ「セベテの娘」より)

ソプラノ:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス

指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス

管弦楽:シンフォニア・オブ・ロンドン

LP:東芝EMI EAC‐30187

 ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス(1923年―2005年)は、スペイン・バルセロナ出身の名ソプラノ歌手。1947年のジュネーヴ国際音楽コンクールで優勝して一躍脚光を浴びる。その後、ザルツブルク音楽祭、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場など国際舞台で活躍し、名声を得る。1992年、バルセロナオリンピックの閉会式ではカタルーニャ民謡「鳥の歌」を歌った。その歌声は、透明感があり、美しく気品に溢れ、その上暖かさを持った表現は実に見事なものである。このLPレコードの第1面は、歌曲の珠玉の小品を収めてあるが、そんな彼女の歌声の特質が存分に発揮されている。例えば、第1曲のメンデルスゾーン:歌の翼を聴くと、その伸びやかで気品のある歌声にうっとりと聴き惚れてしまい、暫し間、時の経つのも忘れてしまいそう。第2面は、民謡をベースとした歌が多く集められているが、やはりスペインものになると、その説得力は一層輝きを増すようである。伴奏オーケストラの指揮は、同じくスペイン出身のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(1933年―2014年)。ウィーン交響楽団およびモントリオール交響楽団の音楽監督のほか、スペイン国立管弦楽団の音楽監督も長く務めた。2004年からはドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者を務め、さらにベルリン・ドイツ・オペラ音楽監督、ベルリン放送交響楽団首席指揮者などを歴任。2012年からは、デンマーク国立交響楽団の首席指揮者を務めていたが、病気のため引退することになる。ここでのラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスの指揮は、伴奏という枠を越えて、デ・ロス・アンヘルスとの共感に溢れた演奏を聴かせている。特にスペインものの歌曲では、2人の呼吸はピタリと合い、極上の香りがする音楽を送り届けてくれる。このLPレコードのB面には、「ラ・パロマ」のほかは、普段あまり聴くことのない曲が収められている。「アイルランドの子守歌」はチャールズ・スタンフォードがアイルランドの民謡を採譜・編曲した曲。「シチリアの子守歌」は、ジェニ・サデロがシチリア民謡から採譜・作曲した曲。「青い鳥」は、ハイメ・オヴァーレがハンディラの詩に作曲したブラジルの民謡風の曲。「スペインからやってきた娘」は、パブロ・ルーナのサルスエラ(スペイン独自の軽歌劇)「ユダヤの若者 EI Nino Judio」のヒロインが歌う歌。「カルセレラス」は、ルペルト・チャピのサルスエラ「セベデの娘」の中で歌われるアリア。(LPC)


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