たぱぞうの米国株投資

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奨学金を借りて資産運用をするのはどうか

奨学金は低利で借りられるのが魅力だが・・・

 私たち普通の人がお金を借りるのはそんなに簡単なことではありません。借りるためには相応の理由が必要です。相応の理由として大きなものは2つです。

  • 住宅ローン
  • 奨学金

 この2つです。いずれも用途がはっきりしており、理由も固いので事業融資などに比べると借りやすくなっています。奨学金にしても、住宅ローンにしても1%を切るものが少なくありません。

 

 下記資料、令和2年度の日本学生支援機構の奨学金の場合、利率固定の貸与型で0.15%~0.27%を推移しています。利率見直し方式、つまり変動金利に至っては0.00%台に張り付いており、非常に魅力的な水準になっています。

奨学金、貸与利率

奨学金、貸与利率

 これが事業に伴う銀行借り入れですと、よほど銀行からの信用が厚く、取引実績のある例でも0.5%前後がミニマムでしょう。平均すると1%前半から2%前半ぐらいの肌感覚になります。もちろん、銀行と条件によっては3%あるいは4%近くというところもあります。

 

 恵まれた条件、非常に低利で借り入れできるのが奨学金ということになります。ちなみに海外でよく言われるscholarshipは給付型、本当の奨学金ですね。日本の場合は給付型のscholarshipは限られており、実質的には貸与型が殆どです。

 

 この貸与型というのは、分かりやすく言うと「教育ローン」です。つまり借金です。奨学金を借りるならば自分のポテンシャルや将来性を考えて借金をしないと、たちまち延滞、返済不可能となりデフォルトします。

 

 そういう意味では事業融資に似たところがあります。事業も立ち行かなくなればデフォルトします。将来への投資という意味においては共通するものですね。さて、こうしたことを踏まえて奨学金に関するご質問をご紹介します。

奨学金を限度額まで借りて資産運用をしたい

 はじめまして。いつもブログを拝見しております。


 当方、この春に大学に入学したばかりの者です。資産運用に興味を持ち様々な情報があふれる中、理路整然とご意見を述べられているこのブログを、大変参考にさせて頂いております。

 

 今回は、奨学金を限度額まで借りて運用することについて、ぜひご意見を伺いたくメールさせて頂きました。

 

具体的には

  • 将来の資産を増やすために奨学金を投資にあてることの是非について
  • どのようなポートフォリオを形成すべきか
  • リスクを下げるために投資を行う時期は分散するが、どのように分散させるか
  • さらに第二種奨学金も借りて運用すべきか

について意見を伺いたいです。

 

 私は現在、実家を離れ大学の寮で1人暮らしをしており、また奨学金を最大月51000円まで無利子で借りれることとなりました。しかし寮はほぼ家賃や食費がかからず親からの仕送りとアルバイト代のみで生活することができ、奨学金を借りる必要はない状況です。

 

 また大学の制度も整っているため生活のみだけではなく海外留学なども生活費のみで可能となり、いわゆる自己への投資を行うために奨学金を借りる必要はありません。そのため奨学金を生活費などに回さずTやJNJなどの増配当が続いている大型高配当株に投資し、トータル・リターンを増やし、卒業後の奨学金の返済を配当金と給料とそれまでに借りた奨学金で行いたいと考えています。

 

 また投資の時期ですが、毎月1銘柄に行うことで、時期的なリスクを分散させたいと考えています。

 奨学金の額についてですが、修士2年まで大学に在籍する予定ですので、卒業後の毎月の返済額は15,300円(貸与総額36,720,000円を240回払い)となります。


 第二種奨学金(貸与総額57,60,000を240回払い)も借りた場合はさらに月の返済は32,297円増えて、合計47,597円となります。

 

 長々とこちらの状況を述べさせていただきましたが、奨学金の運用に関して、ご意見賜れれば幸いです。よろしくお願いいたします。

無利子の奨学金は非常に魅力的だが、ノーリスクではない

 まず、無利子の奨学金は非常に魅力的ですね。これに関しては私は繰り上げ返済をする必要は無く、直接投資のみならず、自分の価値を高めるための投資に活用すればよいと思います。

 

 また、金額も367万円と限られます。返済額も無理がないですね。おそらく大学の様子から推察するに、普通にしていればすぐに取り戻せるご属性ではないでしょうか。ただし、自分の高属性に胡坐をかいてはいけませんよ、大変老婆心ですが。

 

 また、配当金で奨学金を返すという発想も非常に面白いと思いました。普通の学生はこんなことを考えません。人が考えないことを考える。そのこと自体に価値がありますね。ただ、これからの相場はボラティリティが高いことが見込まれ、やや難易度は上がると思っていたほうが良さそうです。

第二種奨学金の金利と不確実性を伴う資産運用

 次に、第二種奨学金をどう考えるかというところですね。冒頭の利回りに見るようにかなり低利ではありますが、やはりリスクはありますね。

 

 株式というのは変動が大きすぎて、実は銀行評価は出にくい資産です。せいぜい資産価値の半分程度とする銀行もあります。それほどにリスク資産と思われているのですね。実際やってみると分かるのですが、1日に1%以上動くこともザラです。

 

 ではなぜ事業融資、あるいはハードアセット投資は2~3%の高金利融資でも借りることがあるのかということです。これは、例えば太陽光や不動産などは比較的電卓をはじいて「パチッ」と利回りが計算できるからです。もちろん100%ではないですが、株式よりはよほど計算できます。

 

 例えば、10%の実質利回りの不動産を買ったとして、銀行融資を3%とします。ここでは話を単純化させるために融資期間は省きます。すると、「パチッ」と利回りの差が7%と出ます。

 

 これを金利差、イールドギャップと言いますが知識と経験が深いほど誤差は小さくなります。キャピタル部分はやはり変動があるのですが、インカムは地域を加味してかなり計算できます。

 

 株式投資をするにあたっての借り入れはいつの時代も賛否がありますね。不確実性が高いからです。人によってはコツコツ返済をし、期限の利益を取っていく人もいます。そうかと思えば、繰り上げ返済をする人もいますね。

 

 昨今は大変株式も好調かつ金利も低いため、繰り上げ返済を選ばず、コツコツ返済していく人が多い印象です。とはいえ、就職事情も勘案して考えていく必要がありますね。

 

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