天道公平の「社会的」参加

私の好奇心、心の琴線に触れる文学、哲学、社会問題、風俗もろもろを扱います。趣味はカラオケ、昭和歌謡です。

NHK Eテレ 「シャキーン」の面白さについて その2

2017-03-17 21:01:52 | 映画・テレビドラマなど
朝7時から、朝のゴールデンタイム(?)、Eテレの強力ラインナップとして、朝の支度をしながら、横目で見ている興味深い番組として、「シャキーン」をほぼ毎日引き続き見ています。
 「この番組は、「こども向けお目覚め番組」として位置づけられており、しゃべる樹木のジュモクさん、電子映像のネコッパチの不動のキャラクターに加え、その他のMC(番組進行役)は、一昨年4月から、めいちゃん(小学校中・高学年くらいですか)という利発そうな女の子が務めており、同時に、特筆すべきは、モモエ(年齢がつかみにくいが、確かに女の子でしょう。)というトリックスター(かきまわし役)が登場したことです。この試みは、確かに新しいものでした(感心しました。)。」と、前回挙げましたが、2月下旬から、「モモエ」にからむ新企画が始まりました。

 「逆にパワー」という群舞のダンスです(モモエと思い出野郎Aチーム、出演というテロップが入ります。)。
 モモエ自身にコメントしてもらえれば、「物事は逆に考えればいいことじゃない」ということであり、失敗したこと、ふさいだこと、評価されなかったことなどあったとしても、「マイナスの極値までいきゃ、後はプラスになるばっかりよ」(本当のところはよくわからないが、と私は思うが)という彼女の意見表明の歌なのですね。
 したがって、特に悩むことはなく(?) 表裏のない彼女はいつもの衣装です。全身をすっぽり、はすの花びらが飾られたような濃いピンクの着ぐるみで同様な頭巾をかぶり、ピンクのタイツでピンクの靴と、左右の、お供に同じ格好をした女の子を従え(どこから探してくるのだろうか。)、エキセントリックな高い声(私は嫌いではありません。)で、歌いながら、出口の校門から、その日あった学校での一日を巻き返します。他の学校舞台の群舞ダンスと同様に、演奏バンドの大人たちがこどもの仮装をし、朝寝坊、友達と殴り合いのけんかをしたこと、テストの点数が悪かったことなどをも巻き戻します。実際の学校で、自然光のもとで撮影されているようで、地味ですが、学校生活が自然に見えます(このグループは、以前から小学高学年のこどもたちを主人公にした、歌い踊る学園ドラマを何度も演じています。)。

 一般的に、こども心に、あるいはおとな心に、今日あったことを全部巻き戻したいという願望はいくらもあるのですね。それぞれの人性でめぐりあうことで、よく、理解できます。
 群舞で、楽しく踊っている姿を見ていると、私たちの日常で、つまらないこと、忘れたいこと、やり直したいこと、面白くなかったことなど、ふさいでことが一時的にはどちらでもよくなってくるのです。これはモモエ流の、日常での「負性を優性に変える」契機を獲得し、もう一度がんばりましょうという、アジテーションなのでしょう。
 クラスや学年を超え大人数で、モモエの主導で行われる、モモエたちの奇矯な踊りが、最後には、こちらでも楽しく意義深く思えてくるので不思議です。学校の怪談ならぬ、青銅の銅像も一緒に踊っているのが笑えます。

 昨年から、始まった「鬼Tube(チューブ)」というのも、なかなか面白いものです。
 赤鬼、青鬼、黄色鬼と三者が、テーブルについて、その日のお題、「人間とは何か?」にあわせ、思うことを、コメントします。論点を、鬼の立場で微妙に外すのが、売りとなっています。黄色鬼が逸脱者、青鬼が常識家、真ん中の赤鬼が、親方として、周囲(両方の鬼)から持ち上げられます。全員、顔と手をきちんと塗りたくり、鬼らしく応分の扮装をしています。
 最初は、ぶすっとして、おやじくさい保守的な答えを繰り返していた親方(赤鬼)が、最近悪乗りしだました。その淡色のあいまいさからなのか、トリックスター(いたずらもの)なのか、親方を煽動していた、まだら黄色鬼によって操作され(二人とも二本角で相互に親近感を覚えるのだろうか。)、鬼としての範を超える言動をし始めました。その逸脱を、調整者で常識家の青鬼が必死で止めますが、その勢いがなかなかとまりません。ただし、それらの一連のやり取りが割り当て時間内できちんと了わるのが笑えます。

 前から疑問だったのですが、結局、この番組の力強い推力はなんのだろうか、という点なのですが、このたび判じてみれば、それはやっぱり、「おやじ」のユーモアなんですね。
 それは、普段、こどもたちと過ごせないおやじたちが、こどもたちに指し示す、懸命な努力なんですね。当然に、こどもたちの意向や反応は彼らによって番組にキチンとフィードバックされています。また、ITなどのシステム技術、コンピューターグラフィックを駆使したクイズなど、フツーのおやじにはついていけないところがあって、その努力と労力に感嘆しています。
 そのあたりを、MC見習いの、かわいげのあるメイちゃんと、破壊者のモモエが(当然おやじどもの厳しい突っ込みがあり、一定の範囲ではあるのですが)活躍するスペースをもらっているというのがこの番組の強みです。さながら、総員の格闘による、擬制の家族ドラマなのです。当然、小学生であろうメイちゃんも、モモエも週のうちの出演回数は限られているところですが。
 また、最初に戻ってしまいますが、「実際のところ、Eテレで、素のあるいは装ったさまざまなこどもたちがみられることは、興味深いところです。色々と、こどもたちからのこどもらしい投稿もあるし、結構人気のある番組ではないかと思いますが、それぞれの大人感覚・こども感覚の組み合わせの妙もあり、こどもたちのみならず、多くの大人にもおすすめです。」、当面、それが結論ですね。

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