「おつ~!」
「カツーン!」
 ビールグラスの音が響きます。
 本日もカレンさんちの小さなバル開店です。
「いやもう、暑いね~!のぞみくん。こりゃもう梅雨開けた?開けちゃった?」
「はい。カレンさん。そんな感じですね。はい、できました。今日は旬のこれです」
「な、なにこれ~!」


「『らっきょうと鶏もも肉の煮物』です」
「え~?らっきょう?煮ちゃいました?のぞみくん!」
「はい、煮ちゃいました。カレンさん。お味はいかがですか?」
「おお~!やわらかホクホクのらっきょうなんてはじめて~!なんかちょっとクセのあるお芋?だねえ。これ。それに鶏もも肉もらっきょうの成分のせいかジューシーになってるね~!おもしろ~い!」
「それはよかった。あ、そう言えば、録画した『真田丸』。カレンさん、観ました?」
「観たよ。北条氏滅亡して天下統一しちゃったねえ。秀吉。でも、一人息子死んじゃってかわいそ~。て、あれ。秀頼って次の子?だっけ?」
「そうです。側室の淀君は二人、子どもを生みます。でも不思議なんですよね」
「なにが?」
「実は秀吉には側室が14人ぐらいいたらしいんですが、正室の北の政所を含めて、誰も子どもを生まなかった。生んだのは淀君だけなんです」
「あ~!そりゃ、秀吉。妖怪タネナシだわ。んで、その子は別のタネだね。まちがいない。茶々役の竹内結子も小悪魔的だもん」
「そのようですね。秀吉の子どもがたくさん生まれてたら歴史も変わっていただろうと思います」
「だよね~。しかし、あのドラマ。いい役者そろえてるよね。ま、NHKだからなんだろうけど。秀吉役の小日向さんなんか、なんか今までの秀吉役で一番、似合っているような気がする。サルぽいし」
「そうですね。小日向文世さんは一見お調子者、しかし内実は恐ろしい天下人、豊臣秀吉を見事に演じてますよね」
「うんうん。だけど堺雅人がやってる真田信繁てさ、真田幸村じゃないの?なんで名前がちがうの?」
「それは、いろんな説があるんですが、どうやら後世のひとが勝手に名前を変えて物語に仕立てあげたようですね。それでいつの間にか幸村の方が世間に知られるようになったようです。嘘が通れば道理引っ込む、て事です」
「ふうん。そんなもんか。でも、信繁より幸村の方が真田正幸の息子って感じがするよね。幸つながりで。お兄さんも信幸だし」
「そうですね」
「あ、そうそう。わたし的には真田正幸役の草刈正雄が好きだな。めっちゃおもしろい。いろんな策を考えて危機を乗りきっていくけど、あのシーンが好きだった。本能寺の変があって日本中が混乱して信幸役の大泉洋に『父上のお考えを教えてくだされ』って言われて」
「はい。『わしの考えを知りたいか?』と正幸が答えて信幸が『はい』と答えると…」
「『さっぱりわからん!どうすればいいのじゃ!源三郎!わしゃ一体どうすればいいのじゃ!』って肩をつかまれた大泉洋が目ん玉まん丸にして『なに言ってるんだ?このヒト』って感じで見つめてるんだもの。おかしかった!」
「さすが、三谷幸喜さんの脚本ですよね。史実には忠実だけど、そのルールの中で遊べるだけ遊んでいますよね。だから笑える場面が多いんですよね」
「きり役の長澤まさみとの会話もおもしろいよね。夫婦漫才みたい」
「そうですね。彼女だけ現代語なのも三谷さんの遊びですね」
「正幸の奥さんの高畑淳子と草刈正雄。あのふたりの会話も夫婦漫才よね。公家出身って雰囲気も出てて、田舎侍の夫とのギャップが笑える」
「生まれや性格が、まったく違う男女が二人、会話をしただけで笑いが生まれる。それを三谷さんは熟知しているように思われますよね」
「笑えるって言えば徳川家康。内野聖陽が役やってるけど、実際あんななの?なんかオドオドしてさ、伊賀越えの時とか、もう必死で逃げてさ。なんか、後の天下人って感じしないね」
「それは三谷さんの考えで、家康も何度も失敗をくりかえして成長する普通のひとにしてあるんでしょうね」
「なるほどね。あ、信繁も『ヒノモトイチノツワモノ』だっけ?あとで、そう言われるんでしょ?」
「そうです。『日本一の』です」
「なんかえらく強そ~だけど。まだまだ今はそんな感じがしないね~。信繁。でも、これからどんどん活躍して、そんなふうになるまで観てくの。楽しみだねえ。『真田丸』」
「ですね」


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