「おつ~!」
「カツーン!」
 ビールグラスの音が響きます。
 本日もカレンさんちの小さなバル開店です。
「いやー!のぞみくん!海の日?だっけ?今日?」
「はい、カレンさん。海の日です。自然感謝の日ですね」
「そりゃさ、わたしら海有り県はわかるけど、山梨とか埼玉とか群馬とか海無し県はどうしてんだろうね?山の日とか川の日とか作ってあげないと片手落ちなんないじゃない?はては森の日、湖の日、池の日、沼の日、湿地の日、温泉の日、火山の日、断崖絶壁の日、とか、もっともっと日本の自然に感謝せねば!と思うわけよ!」
「なるほど。はい、できましたよ。カレンさん」
「お!ニトスキ大好きね!」


「はい。『ニトスキでキムチとエビのフリッタータ』です」
「フリフリ?立った?」
「イタリアのオムレツです。ニトスキを使ってキムチとエビをオリーブオイルで炒め、パルメザンチーズを混ぜた卵液を流し込み、200度のオーブンで25分焼きました。焼き立てですから、まだ膨らんでいます。お味はいかがですか?」
「アチッ!熱いね!これ!でもおいしい!キムチがピリッカラッ!エビがプリッシャクッ!タマゴはホワッウマッ!て、いい感じになってるわ!イタリアンとコリアンがジャパンで出会って仲良くなっちゃったわね!これ!」
「それはよかった。ところで参院選、あんな結果になってしまいましたけど、カレンさんはどう思いました?」
「あー、まー、あんなもんじゃない?そいや、のぞみくんが言ってた3分の2だっけ?自民党とかが取っちゃったね。議席」
「そうなんです。これで憲法改正の発議が出せます」
「で、国民投票でしょ?その後」
「はい。過半数の賛成で改正です」
「じゃー、とうとう変わるのかー!憲法」
「それはどうですかね?どうなるかはわかりません」
「なんで?自民党とかを選ぶひとが3分の2もいるんだよ」
「それは今回の投票率が54%しかなかったからです。投票率が低すぎます」
「低いね。たしかに」
「今回、選ぶ政党が10もあった。これが投票率を下げる原因の一つになっています」
「ほー、なにゆえに?」
「『ジャムの法則』です」
「ジャム?なんでジャム?」
「例えば、ジャムを何十種類も並べてあるスーパーと、数種類しか置いていないスーパーがあるとします。すると客は種類の多いスーパーより種類の少ないスーパーから購入する割合が多くなるんです。たくさんあるジャムの中から選ぶこと自体、客があきらめてしまうからです」
「あー、そりゃ、わかる。わたしもメンドくさくなるもん。いっぱいあると。それで投票率がのびないんだ」
「そうです。しかも投票に行った場合でも、たくさんある政党の中から、必ず一つを選ばなければいけない。どの政党の政策も似たり寄ったりでわかりづらい。そうなると自ずと自民党を選ぶひとが多くなるんです」
「え?なんで?」
「例えば、カレンさん、吉野屋行ったら何食べます?」
「牛丼頭増しご飯少な目ツユダク!これテッパン!」
「ですよね。どんなにメニューが増えても、結局のところ定番メニューが一番人気なんです」
「うん!そりゃそうだ!だって、目新しいのはなんかよくわからないし!500円かそこらのお昼ご飯で冒険したくないし!定番の牛丼がうまいてのもわかってるし!あ!そうか!自民党は定番メニューか!」
「そうなんです。でも、これが国民投票だと話が違ってきます。憲法改正『賛成』か『反対』かの2択しかないんです」
「あ、それだと投票率のびそー!」
「ですよね。しかもいつも自民党を選んでいたひとたちまで自民党と同じ考えになるとは思えません」
「そうだね。こりゃ、やってみないとわからんわ。あ、イギリスのEU離脱も予想外だったもんね」
「そうなんですよ。おそろしいですよ。2択の国民投票は。だれもはっきりとした予想を立てられません」
「なるほど!あ!今度の選挙で気づいたことがあったんだ!わたし!」
「なんですか?」
「当確したひとたちがさ、『バンザイ!』てやるじゃん」
「はい。しますね」
「あれ、なに?特に女性!ちっちゃく両手を顔の高さに上げてさ。『これぐらいの魚が釣れました』みたいにさ!あれが万歳か!ての!どいつもこいつも五十肩か!ての!万歳は手のひらを見せて!大きく振り上げて両手を上げる!バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!て!ね?」
「そこですか」
「なに?なんかおかしい?セッカク大切な国民の票をいただいてさ。議員に選んでもらってさ。そんな国民の前で礼儀は正しくした方がよくない?これ大切なコトだよ!そう思わない?」
「ですね」


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