あれから、2か月近く経ったのに、新看護師長は、全くNsセンターに、

来なかった



外来の第2診察室は、以前から、看護師長室のように、なっていた。

師長達は、そこで、引継ぎをしてるのだろう。

院長も、前の部屋の、レントゲン室に、いるので、昔話でも、

しているのだろう。



「新しい師長さんは、来ないね。」と、Tさんに、言った。すると、

「なんか、最近、休んでるみたいだよ。」と言った。




「そうなんだ。やっと、名前を、思い出したけど、顏が思い出せない

んだけど。」と言うと、

「そうそう、1度、ここに来たんだよ。来てすぐの昼頃に。

あんたはもう、食事に行ってしまってたよ。」

「あら、そうなんだ。」

「これから、よろしくねって、言ってたよ。」





そんな、話をして、間もなくの昼頃、ほとんどの人が、食事に

降りて、病棟は、シーンと、静かだった。


私は、廊下の隅の、精製水の機械の前で、汗をかきながら、

ヒビテン水を、作っていた。

廊下の中程にある、滅菌器の部屋の、ゴーゴーと言う音が、

聞こえるだけだった。




ずっと向こうの、反対側の廊下には、エレベーターがある。

窓から、ぎらぎらした、外の光が、差し込んでいた。




遠くから、誰かが、「おつかれさま~。」と言った。振り返ると、

エレベーターの前で、誰かが、こっちを向いて手を振った。

逆光で、人影しかわからなかった。



それは、新婦長だった。

次の、朝のミーティングで、師長が、

「新しい師長さんは、家庭の事情で、辞められました。」と言った。


                      続く・・・















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