映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

2022年ベスト。②

2023年12月29日 | 年間ベスト

さて。
2023年の年末に、2022年の映画のベストの発表です。

いつも通り、新しいものから古い作品まで、中には何度も見直している作品も含まれています。
ベストは、あくまで「私がこの年に見た映画の中のベスト」です。




2022年は、いつもよりも多くの映画を観たので印象に残っている作品も多いのですが、まずは個人的がっかりから。




・『ブロンド Blonde』 (2022年 アメリカ)

Netflixで公開された、マリリン・モンローの生涯を描いた作品。
賛否が分かれた作品で、私は正直あまり好きではなかったなー。描き方、映画としての表現の仕方が、結局これまでのマリリン・モンロー関係映画や作品をなぞっているだけの印象でした。



・『リコリス・ピザ Licorice Pizza』 (2022年 アメリカ)

映画館で鑑賞。前評判もよく、ミニシアター風情も懐かしく、楽しみにしていたのですが…私には全くハマらなかった。
ただ、バンド・ハイムのメンバー、アラナ・ハイムの佇まいやクーパー・ホフマンの垢抜けなさ(お父さんはフィリップ・シーモア・ホフマンというサラブレッドだけれども!)はすごくよくて、この映画を楽しみきれなかったことを悔やんでもいます。観るタイミングや年齢によって今後感想が変わる可能性を感じてはいて、今一度観てみたいなと思っています。



・『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 The French Dispatch』(2021年 アメリカ)

ウェズ・アンダーソンの映画は好きで、作品の8割は観ていると思います。犬が島もグランドブダペストホテルは大好きで何度も観ているほど。しかし、『ライフ・アクアティック』とか、稀に全然入り込めない作品があって、今回はまさにその系統でした。こちらも映画館で鑑賞。これも、あらためて見てみたらもう少しは楽しめるような気がしないでもない。



・『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢 The High Note』(2020年 アメリカ)

多分トレーラーが良すぎて、私の期待と想像が上がり過ぎてしまったのだと思う。



・『台風家族』(2019年 日本)

これは、作品がと言うことではなく…。草彅さんやMegumiさんととても魅力的な俳優さんたちが出演されている作品だったのですが、性犯罪歴のある服役中の俳優さんが出演されているんですよ。作品にはとても興味があったし見続けたかったのですが、個人的にその人が出演している、画面に映る時点でそれ以上観ていられなくなってしまいました。こういう感覚を経験したのは初めてのことで、打ち切りやお蔵入りでなくともこういう形で本来は観てくれていたであろう観客に見てもらえなくなることもあるし、それはその作品に関わったすべての人たちの努力を無駄にする行為でもあるんだな…と色々と考えさせられました。





次は、ベストには入らなかったけど面白かった、もしくはおすすめしたい作品。


・『リザとキツネと恋する死者 Liza, a rókatündér』(2015年 ハンガリー)

久しぶりのトンデモ映画でした。(←良い意味で!)
もしかしたら、初めてみるハンガリー映画だったかもしれません。

日本大使の未亡人のハンガリー女性を住み込みでお世話をするリザ。往年の日本歌謡のスター、トミー谷の幽霊と仲良しの彼女は、音楽が流れるとマイク片手に姿を現わす彼と踊りデュエットすることが唯一の心の慰め。お世話をしていた未亡人が亡くなった後、自分と関わる人々が次々と命を落としていくことに。きっとこれは、狐の仕業。私は狐につかれているんだわと悩むリザ。

話の前提からトンチンカンなんだけど、それがうまくはまっていて、監督の底知れぬ日本愛が散りばめられてもいて、トミー谷はデンマークの俳優デイビッド・サクライさんという日系デンマーク人。私は映画の中盤まで本気で賀来 賢人だと思っていた。苦笑



・『パワー・オブ・ザ・ドッグ The Power of the Dog』(2021年 イギリス・アメリカ・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア)

アメリカ・モンタナで牧場経営をする兄弟二人の話です。舞台は1925年なのだけど、そこに描かれているのは現在の日本が抱えている男尊女卑、家父長制、人権など諸問題そのものだったり、今でいう「ホモソーシャル」(女性及び同性愛(ホモセクシュアル)を排除することによって成立する、男性間の緊密な結びつきや関係性を意味する社会学の用語)の化身のような人物なのだけど、それが本人を苦しめていたり、セクシャルマイノリティーの生きづらさにも触れられていたり。設定こそ100年前の話なわけですが、現代だからこその切り口による描き方で、この映画で論文一本書けるんじゃないかと思えるほどの重厚さ。それでいて、昔ながらの「映画らしい映画」っぽさがあり、そのバランスもたまらない作品でした。主演の一人のカンバーバッチは、いろいろな役を演じている役者だけど、個人的に彼の「育ちの良さ」を感じることが多いのですが、この映画ではその真逆の役柄で、それも良い驚きでした。



・『ドント・ルック・アップ Don't Look Up』(2021年 アメリカ)
・『ハスラーズ Hustler』 (2020年 アメリカ)

こちらは同じ理由による選出なので2本まとめて。
『ドント・ルック…』のメリル・ストリープ、『ハスラーズ』のジェニファー・ロペスが、まさしく私が個人的に思い描いていた「きっとこの人たちはこんな人だろう」という勝手な決めつけがそのまま役になっていて、その役柄と配役だけでワイン3本くらい空けられそうなくらいにぴったりで小躍りした作品です。






やっぱり長くなったので、ベストの発表は次の投稿で!


『マディソン郡の橋 〜The Bridges of Madison County〜』

2023年12月20日 | 映画~ま~
1995年 アメリカ映画






公開されたのは高校生の頃で、ずいぶん話題になっていました。当時通っていた英会話学校で、2歳年上の高校生だったクラスメイトがえらく感動したらしくこの映画を推していたのですが、10代半ばだった私は「不倫映画の良さを、17歳がわかるわけがないだろう」と鼻白らんで見ていたのを昨日のことのように思い出せます。

私がこの映画を観たのは、多分大学生の頃だったと思います。

20歳を過ぎていても、この映画の良さや伝えたかったことは当時の私には届かなかったし、それを理解できるだけの人生経験なんてあるわけがありませんでした。確かに「好き同士なのに結ばれない二人」の関係に涙はするのだが、それ以上でもそれ以下でもありませんでしたし、どうしてこの作品がこれほどまでに取り上げられたのかもわかりませんでした。



数ヶ月前に、この映画がBSシネマで放送されており、なんとなく録画したままになっていたのを観ました。


ただの不倫恋愛映画だと思っていたこの作品には、人間らしさが詰まっていました。

その人間らしさとは、「人生には自分たちでどうにかできることとできないことがあること」で、この映画にはそれが散りばめられていました。




私は個人的に、「運命の人」は人生の中で何人も出会うと思っています。
何を持って運命と呼ぶかにもよりますが、私の中では恋愛相手に限定したものではなく、歴代の恋人や友人や同僚や同級生、家族たちも含まれている。人生の節目に関わった人、長く付き合いのある人、ほんの一瞬でもその後の人生に大きな影響を与えた人…。


しかし、おそらく一般的には、運命の人とはソウルメイト的なパートナーのことを呼ぶのでしょう。


出会ってから一緒に過ごした時間の長さに関係なく、一瞬でお互いを分かり合える、お互いを自分の人生の一部だと感じる相手というのが世の中には存在します。







映画の中で印象的だった写真家ロバートのセリフ。


”We are hardly two separate people now..."

「僕たちは二人のバラバラの人間じゃない。人生を賭けてこんなふうに感じ合える出会いを探し続けても、出会えずに人生を終える人もいる。そもそもそんな相手が存在しているとも思っていない人もいる」

「これまでの人生は、君とのこの4日間のためにあったんだ」

(どちらも意訳)




これだけなら、ただ恋愛に燃え上がってしまった二人のセリフとして片付けられるし、前回見たときに20代前半だった私はまさにそんな感想を持っていました。


今回あらためて見返してみると、結局二人は4日間を共にした後に別々の人生を歩むことを決めるのですが、直接会うことはなくても生涯を通じてお互いを思い続けていました。

ロバートが亡くなったときには、フランチェスカに愛用のカメラと一緒に過ごした4日間を収めた写真集が弁護士経由で送付され、フランチェスカは自身が亡くなる前に、子供達にロバートとの関係を記した日記を残し、思い出の橋に自分の遺灰を撒いて欲しいと頼んだのです。



初めは母の「不貞」を受け入れられず拒絶反応を示した40代になっていた息子や娘も、母の日記を読み進めていくうちに意識が変わっていきます。



母はロバートを想いながらも自分たちを愛を持って育ててくれたし、父に対しても同じで最期まで看取ったという事実を子供達は理解したのでしょう。
「家族以外の好きな人がいること=家族の誰よりもその人が大事で家族を裏切る行為」ではなく、ロバートを愛しながらも家族も愛していたこと、その家族への愛情がロバートとの関係で減ることがなかったこと、むしろ家族のためにロバートと一緒にならない選択をしたこと。さらにいうと、自己犠牲の精神から家族を選んだというよりは(当初はそれがあったかもしれないが)、家族・子供達はフランチェスカにとってかけがえのない存在だったことが、子供たち二人にも通じたということなのだと思います。

妻であり母であることを全うしたフランチェスカの告白に、子供たち二人が人生を見つめ直すきっかけを与えられた事がどれほどに大切なメッセージであったか。



そして、ロバートとフランチェスカは、再び出会うことはなくとも、ただ互いが存在しているというだけで互いに救われていたのでしょう。


これは私の理解だが、映画の中でロバートが言う「古い夢は良い夢だ。実現しなくても、見て良かったと思える」(意訳)とは、フランチェスカとの出会いのことを言っているように思えた。一緒にはなれなくとも、出会えたことが二人の生きる希望であり宝物になっていたのだと思います。






そりゃ、二十歳そこそこではわからなかったよな…、と今あらためてこの作品が話題になったことの意味が理解できるようになった気がします。



最後に、映画でとても印象的だったのが、ロバート(クリント・イーストウッド)の目の輝きです。
役柄では52歳の写真家ですが、フランチェスカと出会い喜びに満ちたロバートの目は輝きを増して、少年のように素直で純粋でキラキラとしていました。一つだけ好きなシーンをあげるとしたら、ロバートの目の輝きかもしれません。





(あと、全くの余談ですが、もしこの映画がリメイクされるとしたら、息子・娘役もそこそこ有名な俳優が演じるのではないかなと思いました。
この映画は90年代の作品ですが、昔って主人公以外の脇役って本当に見たこともないような俳優たちが配役されることが多かったように思います。その為、主役たちとの演技力の差が歴然で、脇役シーンになると一気に安っぽくなってしまうことがあったり。でも最近って、ほんの短いシーンや脇役でも、かなりの有名俳優たちを使うことが増えた気がしています。)





おすすめ度:☆☆☆☆☆

2022年ベスト。①

2023年12月13日 | 年間ベスト

年が明けてしまう前に、2022年ベストです。

まずは、鑑賞した作品の一覧から。



・Finding Banni: The boy my family tried to adopt | Chernobyl Documentary(2022年 アイルランド)
・ハウス・オブ・グッチ House of Gucci(2021年 アメリカ)
・ジュディ 虹の彼方に Judy(2019年 イギリス・アメリカ)
007 ノー・タイム・トゥ・ダイ No Time To Die (2021年 イギリス・アメリカ)
・リコリス・ピザ Licorice Pizza  (2022年 アメリカ)
・フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 The French Dispatch(2021年 アメリカ)
・Yuli:The Carlos Acosta Story(2018年 スペイン・キューバ・イギリス・ドイツ)
・ロスト・ドーター The Lost Daughter(2022年 ギリシャ・アメリカ)
・ドント・ルック・アップ Don't  Look Up(2021年 アメリカ)
・ドライブ・マイ・カー Drive My Car (2021年 日本)
・ファーザー The Father(2020年 イギリス・フランス)
・ガス燈 Gaslight(1944年 イギリス)
・ダブリンの時計職人 Parked(2014年 アイルランド)
・マネー・ショート 華麗なる大逆転 The Big Short(2015年 アメリカ)
・ハスラーズ Hustler (2020年 アメリカ)
・スポットライト Spotlight (2015年 アメリカ)
・パワー・オブ・ザ・ドッグ The Power of the Dog(2021年 イギリス・アメリカ・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア)
・セバーグ Seberg(2019年 アメリカ・イギリス)
・クイーン+アダム・ランバート・ストーリー: ショウ・マスト・ゴー・オン The Show Must Go On: The Queen + Adam Lambert Story(2019年)
・ある公爵夫人の生涯 The Duchess(2008年 イギリス・アメリカ)
・スキャンダル Bombshell(2019年 アメリカ・カナダ)
・ドリーム Hidden Figure(2016年 アメリカ)
・リトル・ダンサー Billy Eliott(2000年 イギリス)
・オールド・ガード The Old Guard(2020年 アメリカ)
・小さな恋のメロディー Melody(1971年 イギリス)
・オールウェイズ Always(1989年 アメリカ)
・ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 Darkest Hour(2017年 イギリス・アメリカ)
・ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢 The High Note(2020年 アメリカ)
・ニキータ Nikita(2010年 フランス)
・ひまわり Girasoli(1970年 イタリア)
・ライオン 〜25年目のただいま〜 Lion(2016年 オーストラリア・アメリカ・イギリス)
・インビクタス/負けざる者たち Invictus(2009年 アメリカ・南アフリカ)
・7月4日に生まれて Born on the Fourth of July(1989年 アメリカ)
・夢に行きた男 ベーブ The Babe(1992年 アメリカ)
・Mixtape(2021年 アメリカ)
・イミテーションゲーム Imitation Game(2014年 イギリス・アメリカ)
・スラムドッグ・ミリオネア Slamdog Milionaire (2008年 イギリス)
・僕たちはみんな大人になれなかった(2017年 日本)
・ブロンド Blonde (2022年 アメリカ)
・I used to be famous(2022年 イギリス)
・世界の中心で愛を叫ぶ(2004年 日本)
・エリザベス Elizabeth(1998年 イギリス)
・エリザベス:ゴールデン・エイジ Elizabeth Golden Age(2007年 イギリス)
・ロンドン、人生始めます Hampstead(2017年 イギリス)
・護られなかった者たち(2021年 日本)
・最高の人生のつくり方 And so it goes (2014年 アメリカ)
・冷静と情熱のあいだ(2001年 日本)
・パリの家族たち La fête des mères(2018年 フランス)
・人生スイッチ Relatos salvajes(2014年 スペイン・アルゼンチン)
・9人の翻訳家 囚われたベストセラー The Translators(2019年 フランス・ベルギー)
・大統領の料理人 Les Saveurs du palais(2012年 フランス)
・ゲゲゲの女房(2010年 日本)
・プロミシング・ヤング・ウーマン Promising Young Woman(2020年 アメリカ)
・裏切りのサーカス Tinker Tailor Soldier Spy(2011年 イギリス・フランス・ドイツ)
・木更津キャッツアイ日本シリーズ(2003年 日本)
・あなたのママになるために Ma Ma(2015年 スペイン)
・ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール God Help the Girl(2014年 イギリス)
・ある天文学者の恋文 The Correspondence (2016年 イタリア)
・コッホ先生と僕らの革命 Der ganz große Traum(2011年 ドイツ)
・ラビング 愛という名前の二人 Loving(2016年 アメリカ)
・旅立ちのとき Running on Empty(1988年 アメリカ)
・昨日何食べた?(2021年 日本)
・アイアムサム I am Sam(2001年 アメリカ)
・Coda 愛のうた(2021年 フランス・アメリカ)
・ビリーブ 未来への逆転劇 On the Basis of Sex (2018年 アメリカ)
・女神の見えざる手 Miss Sloane(2017年 アメリカ)
・永遠に僕のもの El Angel(2018年 スペイン・アルゼンチン)
・シェイム Shame(2011年 イギリス)
・シェフ!三つ星レストランの舞台裏へようこそ Comme un chef (2012年 フランス)
・パパが遺した物語 Fathers and Daughters(2015年 イタリア、アメリカ)
・きみがぼくを見つけた日 The Time Traveler's Wife (2009年 アメリカ)
・Ethel and Ernest (2016年 イギリス)
・台風家族(2019年 日本)
・シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg (1964年 フランス・西ドイツ)
・グリーンブック Green Book(2018年 アメリカ)
・僕の巡査 My Policeman  (2022年 イギリス)
・ボヴァリー夫人とパン屋 Gemma Bovery (2014年 フランス)
・リザとキツネと恋する死者 Liza, a rókatündér(2015年 ハンガリー)
・クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち Crazy Horse(2014年 フランス)
・ポーラーエクスプレス Polar Express(2004年 アメリカ)
・ラブ・アクチュアリー Love, Actually(2003年 イギリス)
・漁港の肉子ちゃん(2021年 日本)
・タルサ 俺の天使 Tulsa(2020年 アメリカ)
・Jenifer Lopez:Half Time(2022年 アメリカ)
・Love Goes, Sam Smith Abbey Road Studio(2021年 イギリス)
・One Direction  This is us (2013年 イギリス・アメリカ)
・大いなる沈黙へ グランシャトールーズ修道院(2005年 フランス・スイス・ドイツ)
・バレエボーイズ Ballet Boys(2014年 ノルウェー)
・U2 Live in London(2017年)




この年はいつもより多めの89作品でした。


感想やベストは次回に!


2021年ベスト。

2023年11月22日 | 年間ベスト
すっかり投稿を忘れていたので、今さらですが2021年に見た映画。


ずいぶん時間が経っているので、タイトルを見てもどんな作品だったか全く思い出せない映画もいくつもあるほど。当時の感覚とは異なるかもしれませんが、印象に残っているものを紹介します。



・インスタント・ファミリー Instant Family (2018年 アメリカ)
・Yoji Yamamoto, The renegades of fashion (2020年)
・パリス・ヒルトンの真実の物語  This is Paris (2020年 アメリカ)
・イーディ、83歳 はじめての山登り Edie (2017年 イギリス)
・パーフェクト・ケア I care a lot (2020年 アメリカ)
・アイ・アム 〜世界を変える力〜 I am. (2010年 アメリカ)
・バタフライエフェクト Butterfly Effect (2004年 アメリカ)
・Don't flush your freedom (2021年 アメリカ)
・Eat, Pray, Love (2010年 アメリカ)
・ジェリーフィッシュ Jellyfish (2007年 イスラエル)
・タルーラ 〜彼女たちの事情〜 Tallulah (2016年 アメリカ)
・ソウルフル・ワールド Soul (2020年 アメリカ)
・ジョーンの秘密 Red Joan (2018年 イギリス)
・サウンドオブメタル Sound of Metal(2019年 アメリカ)
・1917 (2019年 イギリス)
・ノマドランド Nomadland (2020年 アメリカ)
・パラサイト (2019年 韓国)
・ダークウォーター Dark Water (2019年 アメリカ)
・アワー・フレンド Our Friend (2019年 アメリカ)
・ヴィヴィアン・マイヤーを探して Finding Vivian Maier (2013年 アメリカ)
・ストップメイキングセンス Stop Making Sense (1984年 アメリカ)
・ファイトクラブ Fight Club (1999年 アメリカ)
・ロケットマン Rocket Man (2019年 アメリカ)
・パパと娘のハネムーン Like Father (2018年 アメリカ)
・モリーズ・ゲーム Molly's Game(2017年 アメリカ)
・ガール・オン・ザ・トレイン The Girl in the Train. (2016年 アメリカ)
・Lady Boss. Jackie Collins (2021年 イギリス)
・ラスト・ナイト・イン・ソーホー  Last Night in Soho (2021年 イギリス)
・秘密の森の、その向こう Petit Maman(2021年 フランス)
・スペンサー ダイアナの決意 Spencer(2021年 イギリス・アメリカ)
・消えない罪 The Unforgivable (2021年 アメリカ)
・ジェイミー Everybody's Talking about Jamie (2021年 イギリス)


ドキュメンタリー・ドラマ
・The Boyband con (2019年 アメリカ)
・アンディ・アイアンズ:神に愛された男 Andy Irons:Kissed by God(2018年 アメリカ)
・ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方 Britney vs Spears (2021年 アメリカ)
・Bad Influencer:The great Indra con (2021年)
・Naomi Osaka (2021年 アメリカ)
・Jamie, Drag Queen at 16 (2011年、イギリス)
・Nine Perfect Strangers (2021年 アメリカ)
・クラッシング  Crashing (2016年 イギリス)





期待していたけど、ちょっと違ったなーという作品は、こちらの2点。


・ソウルフル・ワールド Soul (2020年 アメリカ)
・ノマドランド Nomadland (2020年 アメリカ)




逆に、予想以上に良かった!と印象に残っているのは、この


・パリス・ヒルトンの真実の物語  This is Paris (2020年 アメリカ)

「お騒がせセレブ」として一斉を風靡した、パリス・ヒルトンのドキュメンタリー。
彼女のセレブライフは本当にはちゃめちゃで、日本でも一挙手一投足が報道されていましたが、なんだかずっと「どこまでが本当なの?」という疑念がありました。このドキュメンタリーでは、10代後半で入れられた寄宿舎学校で身体的・精神的虐待を受けた経験を赤裸々に公表し、その後のお騒がせセレブとなった理由が明らかになります。高く甘ったるい声で話していた彼女ですが、その声色も作り上げていたもの。そういうことだったのか…、と色々なことが腑に落ちる作品。彼女が声を上げることで、当時同じように被害を受けていた同級生たちのみならず、卒業生たちも声を上げられるように。また、権力により押さえ込まれるという経験からは一番遠いところにいると思われていた彼女が被害を受けていたという事実、そして声を上げたことで、ここから彼女の社会的立場や役割は変わっていくだろうし、彼女はその覚悟を持って行動に移したのだろうなと思った。本人がそれを望む望まずに関わらず、そういう大きな役割を持って生まれてくる人っているんだよね。



・パーフェクト・ケア I care a lot (2020年 アメリカ)

ロザムンド・パイクは、『ゴーン・ガール』同様、一見誰よりもまともで常識があるけど実は心の底から狂ってる、という役柄が抜群に合うなとあらためて。個人的にはこれは「インパクト勝負」の一本で、彼女が見せる狂気を心の底から腐っている演技は感嘆するほどに素晴らしかった。実は彼女は好きな俳優ではないのだけど、それでも認めざるを得ないほどの演技力。



・ダークウォーター 巨大企業が恐れた男 Dark Water (2019年 アメリカ)

マーク・ラファロ主演の実話を元にした社会派ドラマ。デュポン社の公害被害を突き詰め請け負った弁護士の話。色々な国や文化圏の映画や番組を見るけど、どこまで史実に忠実かどうかは別にして、ここまで実際の出来事(事件)を深く描き切るのはアメリカという文化だからこそできることだったりするのかな、と考えさせられたりもした。日本だと、ここまで実際の企業名を出してネガティブな事件を映画、ドラマにするというのは難しいのではないかな、と。マークに関しては、『スポットライト』でもアメリカのカトリック教会のスキャンダルを暴く作品に参加しているけど、こちらも含めて関心した作品。



・サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ Sound of Metal(2019年 アメリカ)

聴覚を失っていくミュージシャンの葛藤と、その事実を受け入れていく様を描いた作品。リズ・アーメッドのビジュアルがこれ以上ないほどに役にピッタリで、ミュージシャンとしてのファッション的なかっこよさもある。しかし作品自体は、心の動きにフォーカスを当てた静かな作品。そのギャップもいいなと思う。また、パキスタン系であるリズが、西洋国(この場合はアメリカ)で憧れられる「かっこいいミュージシャン」という役を演じたことは、実は映画史において結構大きな出来事なんじゃないかと思う。これは映画業界だけの話ではなく、社会の人種に対する見方がそれだけ変わってきていることを反映しているわけだけど、その選択自体を大々的にアピールするわけではないところも「世の中って確実に変わってきているんだな」というとてもポジティブな変化を感じたところでもあったし、何より彼の配役は抜群だった。



・ロケットマン Rocket Man (2019年 アメリカ)

エルトン・ジョンの伝記映画。先に紹介したパリス・ヒルトンのドキュメンタリーに通ずるものがあるのですが、この映画を見て「ああ、なるほどね。そうだよね」と彼に対してなんだかうまく処理できなかった感覚がわかりやすく説明された感じがした。主演のターロン・エガートンは劇中の歌を自ら歌っていて、かつてのエルトンを彷彿とさせるものもあったし、この映画の前後にはエルトンのコンサートに彼が飛び入りすることも何度か。また、成功している芸能人って皆多少なりともそうなのだろうけど、自分の人生のいわゆる汚点となることもここまでオープンにできる覚悟と心の強さにあらためて感心。主要な役所にジェイミー・ベルが出演しているのも嬉しかったなー。






2021年の個人的ベスト3の発表です。



第3位

『ラスト・ナイト・イン・ソーホー  Last Night in Soho 』(2021年 イギリス)

公開時に、映画館で鑑賞。
ロンドンのSOHOはとても好きな場所で、映画の中に出てきたような妖艶な雰囲気を今も持ち続けている歓楽街。主要な3人は皆好きな俳優でもあるし、それぞれの良さがうまく出ていたなと思う。個人的にマット・スミスは一見好青年風だけど、一筋縄ではいかない気持ちや思考のよじれのようなものがある、心の底に黒さを持った役柄がすごくハマる人だなと思うし、アニャ・テイラー=ジョイの壊れそうな繊細さのある完成された美しさは、夜の街で簡単に壊されていく様が悲しくもピッタリだった。トーマシン・マッケンジーの落ち着いているけど若く青臭さの残る雰囲気は、Sohoの煌びやかさに憧れる田舎の子の雰囲気を漂わせていて、街と他の役柄とのギャップが素晴らしかった。話の内容も面白かったけど、それよりも配役の絶妙なバランスと、今も変わらないソーホーのあの独特の雰囲気が描かれていることに心奪われた一作。



第2位

『パラサイト』 (2019年 韓国)

いやー。これはやっぱり面白かった。映画なんだけど、「どこまで作り話なんだろう」と思えてしまう。韓国の階級社会というかクラスの違いは、良い意味で観ながらとても居心地が悪く、ゾワゾワとした感覚を持ちながら見続けていくと、どんどん「嘘でしょ!?」という流れや出来事が矢継ぎ早に襲ってくる。これ以上ないほどに正しいエンターテイメント映画でもあって、見事!アッパレ! これまで見たことがある韓国映画は、「儚い女性と強い男」という美しい夢のような典型的ラブストーリーとか韓流人気がつき始めた頃に多かった軍事映画(といっても数えるほどしか見たことないけど)だったのだけど、パラサイトはそれのどちらでもなく、ある意味とても生々しい「これぞ韓国!」を出してきたし、間延びが本当になかった。テレビでやってたらまた見ちゃいそうな引力のある作品。




第1位

『1917 命をかけた伝令』 (2019年 イギリス)

私の中では、ダントツ。これ、本当に映画館で見たかった。
ここまで正統派な戦争映画って、近年では結構珍しいんじゃなかろうか。戦争に駆り出された人々の心情にスポットを当て丁寧に描かれている点では、伝え方は正反対のように見えるけど、『プラトーン』にも通じるものがあるように感じた。内容は、自分の兄を含む1600人のイギリス軍の兵士たちの命を救うために、作戦の中止の連絡を伝達することを命じられた二人の若い兵士の旅路を中心に描かれている。わかりやすい反戦映画というよりも、淡々とその戦争に参加することになった兵士たちの心の動き・揺れを一定の距離を保ちながら客観的に本当に丁寧に掬い取っていて、半ばドキュメンタリーを見ているような感覚にさえなった。また、主役級の俳優たちが惜しげもなくキャスティングされているけど、映画の性質上ほんの一瞬しか出てこなかったり。その使い方がたまらなくいい。いつかあらためてもう一度見直したいと思っているのだが、個人的にはアンドリュー・スコットとエイドリアン・スカーボローの役柄が本当に痺れた。特にエイドリアンは、長年「名脇役」として活躍してきた人で、今年見たイギリスのドラマ『クラッシング Crashing』にも重要な役どころで出演されている方(余談ですが、2022年には『警部補アーノルド チェルシー捜査ファイル』で初の主役を射止めています(アマゾン・プライムで視聴可)。戦争映画が苦手、という方にもぜひ見てほしい作品です。






『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ~No Time To Die~』

2022年01月10日 | 映画~な~
2021年 イギリス・アメリカ映画




公開が終わってしまう直前に、ギリギリ間に合いました。

コロナの影響で、公開が一年伸びてしまった本作品。
2021年10月にやっとお目見えとなりました。



この映画の公開をすごく楽しみにしていました。



が!



実は、この映画を観に行くのがすごくためらわれて…結局劇場公開終了ギリギリのタイミングに滑り込んだ次第です。




どうしてためらっていたかといいますと、理由はいくつかあります。

1.前回の『スペクター』が私好みではなかった。(感想はこちら

2.前評判、公開後の評価がとにかく良すぎた。

3.これまでの007映画での女性の描かれ方に強く疑問を持っていた。特に、『スペクター』ではその悪い部分が再び持ち出された印象があり、非常にがっかりした。

4.大好きな女優で脚本家であり監督でもあるのフィービー・ウォーラー=ブリッジが、ダニエル・クレイグの要請により脚本の見直しを行ったこと。だからこそ「絶対に良い映画になっていてほしい!」という思いが強くあった。





前置きが長くなりましたが、感想を一言で言います。


最高。




みなさんが本当にいい仕事をしてくれた。

前回の『スペクター』では、21世紀の西洋の先進国が作ったとは思えないほど昔のボンド映画そのままのセクシズム(女性蔑視,男性上位主義)を当然のものとして描いていて、言葉は悪いですが「胸糞悪かった」のです。もう007は観たくないとすら思ったほど。



しかし、今回の作品で、007は大きく書き換えられ、新たな時代に突入しました。



少なくとも、私の中ではこれまでのボンド作品とは完全に次元が違っていて、笑いあり、アクションあり、スリルあり、そして女性がただのお色気要員として登場するような箇所がなかったからこそ安心して観ていられました。


ダニエル・グレイグにとっては、これが最後のボンド作品。
これまで築いてきた彼のボンド像を、最後の作品で叩き壊し、新たな面を見せるというのは相当なギャンブルだったと思います。下手したら、全く別のキャラクターになってしまう、「ジェームズ・ボンド」ではなくなってしまう可能性のほうが高かったはずです。それは、ダニエル・クレイグのボンドだけでなく、007映画が何十年も受け継いできた「男性が憧れる男性像としてのジェームズ・ボンド」さえもぶち壊してしまう覚悟が必要でした。


しかし、実際はそれによりさらに多くの人を魅了し、ジェームズ・ボンドのファンを増やす結果となりました。
ジェームズ・ボンドの人間的な部分、ちょっと可愛くておちゃめな部分…「こんなボンド、見たことない!」「でも、余計に好きになった!」という人、多いです。


脚本の手直しをフィービーに要請したのは、なんとダニエル・クレイグ自身だったとのこと。

ちょうど007の25作目となる本作の制作に当たり、数年前に女性への性差別・セクシャルハラスメントに対する世界規模の反対運動「#Me Too」を受けて、プロデューサーもこの世界的な動きを映画に反映させるべきであるとの見解を発表。フィービーは手直しの際に、描かれているボンドはいまだに女性への扱いに問題があることを指摘し、"the important thing is that the film treats the women properly"(「この映画では女性を正当に扱うことが何より大切」)として大幅な変更を加えたとのこと。


実際の映画では、全く素人の私でさえ彼女が手な直ししたであろうキャラクター設定やセリフ、シーンなどを認識することができました。その変更は男性を糾弾するものではなく、「女性=男性より下」という扱いがなくなったということ。


そしてそのことで、個人的にはキャラクターの一人ひとりが以前よりもしっかりと「キャラ立ち」しているように感じました。
だって、「女性との比較」による強さ・有能さ、「女性を手懐ける」ことで表現していた男としてのセクシーさが使えないわけですから。性別を超えて、皆一人ひとりの存在が際立っていました。



今回の映画では、今まで以上にお客さんからの笑い声も多かったのも印象的でした。



この映画のヒットにより、これからの007のみならず、「女性=弱い存在、お色気要員」としてしか扱ってこなかった他の映画にも、それ以上に映画界全体にも大きく影響を及ぼすことになるのではないかと思います。




ちょっとセクシズムの点に集中しすぎてしまいましたが、内容もテンポもひとりひとりのキャラクターも抜群です。



また、ちょっとネタバレになってしまいますが、「日本的要素」も少し盛り込まれています。
もしかしたら、これは監督が日系アメリカ人のフクナガさんであることも関係しているかもしれませんが、ボンドの土下座の仕方がちゃんとしていて、日本人としてはそんな妙なところに感心しました。でもこういうちょっとした要素、すごく大事ですよね。昔、チャン・ツィイー主演の『SAYURI さゆり』を見たときに、日本人役の俳優たちの作法が目も当てられないほどひどく、映画自体に集中できなかったことがありましたから。


また、個人的にはQ(ベン・ウィショー)とCIAのパロマ(アナ・デ・アルマス)の二人の演技とキャラクターがすごく良かったなー。
パロマのような笑いを誘う(でも仕事できるしかっこいい)キャラクターって、007映画の中ではかなり珍しいのでは。



とにかく、最高に良かったです。
観はじめて20分で、「この映画は2022年の個人ベスト5には絶対に入る」と確信したほど。


そして、ダニエルのボンドはこれで最後ですが、次回の007も楽しみになりました。
次期ボンドは、一体誰なのか?





これまでの007シリーズの感想はこちら。

「007 慰めの報酬 ~Quantum of Solace~」
『007 スカイフォール ~Skyfall~』
『007 スペクター ~Spectre~』





最後に、私が大好きなフィービー・ウォーラー=ブリッジについて。日本の皆さんにももっと知ってほしい!
ぜひドラマシリーズ『フリーバッグ(Fleabag)』や『キリング・イブ(Killing Eve)』をご覧になってください。アマゾンプライムやNetflixにあるはず。双方とも彼女が脚本、監督を手掛けた作品で、それぞれが全然違うテイスト(コメディーと本格スリラー)。そしてどちらもとんでもなく面白くて中毒性があります。『フリーバッグ』の主役を務めているのも彼女。本当に多才な方で、ドラマも心の底からおすすめ。






おすすめ度:☆☆☆☆☆+α

『Spencer(原題 スペンサー)』

2021年12月22日 | 映画~さ~
2021年 イギリス・アメリカ・ドイツ・チリ映画




2021年12月に映画館で鑑賞。


この映画を一言で説明するなら、「サイコスリラー」だと思いました。

ドキュメンタリーや自伝映画ではなくとも、実在の人物をある程度の史実に基づいて描いた作品を「サイコスリラー」と説明しなければならないのは、ある意味とても悲しいものです。


ダイアナ妃の皇族としての生活、葛藤、苦しみ、人間関係などを描いた作品です。



スペンサーとは、ダイアナ妃の旧姓です。
プリンセスと、そうではない本当の自分(スペンサー)、素の自分の間での葛藤を表すのに良いタイトルだと思います。




主演のクリスティン・スチュアートはアメリカ人ですが、イギリス人のダイアナ妃を演じています。


彼女の英語の王室アクセント、すごく良かったです。



一般的に、アメリカ人がイギリス人役を演じるのはとても難しいと言われています。その理由の一つは英語のアクセント。
関西出身でない俳優が頑張って関西弁を話そうとしているようなもので、どうしても不自然になってしまう事が多いのです。逆に、関西出身の方が訛りなく標準語を話すように、イギリス人がアメリカ訛りで演じることは多々あり、違和感も少ない傾向があります。



クリスティンが今回話していたのは、「王室英語」です。

イギリス人が話す英語を一般的には「イギリス英語」といいますが、実はイギリスには標準語が存在しません。ですから、皆が皆それぞれの「訛り」があります。イギリスの王室の方たちが話す英語は「クイーンズイングリッシュ」(王室英語)といわれる独特の話し方。もちろん練習をして習得することは可能ですが、王室の者以外がこの英語を話すことはありません。話してはいけないわけではありませんが、多分「だいぶ変わった人」扱いされます。苦笑




その独特の王室英語発音ですが、クリスティンはすごくうまかったと思います。


そして、ダイアナ妃独特の話し方をしっかり表現していました。
さらにいうと、ダイアナの立ち振舞、走り方も本当にそっくり。



かなり独特な話し方なので、慣れない人が聞くとかなりわざとらしく感じるかもしれません。


しかし、ダイアナ妃の話し方って実際にこんな感じでした。







皇室という独特の「社会」で、皇太子妃という特殊な立場に立たされた彼女の人生。


この映画は、皇室批判ではなかったと思います。(今のイギリスのロイヤルファミリーに対する批判は大いにある)



長い歴史を持つ皇室ですから、風習も常識も異なります。
そこに溶け込んでいける人たちも大勢います。その存在自体が良い悪いというのがポイントではなく、さらにチャールズ皇太子の裏切りやカミラの存在、自分の子供時代など(映画では描かれていませんが、ダイアナは父親、義母と確執があった)の様々な背景により自分が自分でいられる場所をなくして行った一人の女性の姿を描いている作品です。




ちなみに、公開時は上のポスターが多く使われていましたが、こちらもいいですね(初めて見た)。






日本では、2022年公開だそう。

個人的には、ハリーとチャールズ役は、もう少し外見がにている人が良かったな、と。





おすすめ度:☆☆☆☆

2020年ベスト。

2021年12月08日 | 年間ベスト

2019年に見た映画の一覧が見当たらないので、先に2020年をご紹介。



・天気の子(2019年 日本)
・君の名は(2016年 日本)
・言の葉の庭(2013年 日本)
・千年女優(2001年 日本)
・きみに読む物語(Notebook, 2004年 アメリカ)
・泣きたい私は猫をかぶる(2020年 日本)
・ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語(Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga, 2020年 アメリカ)
・ワンダー 君は太陽(Wonder, 2017年 アメリカ)
・アロハ(Aloha, 2015年 アメリカ)
・雲の向こう、約束の場所(2004年 日本)
・聲の形(2016年 日本)
・奇蹟の輝き(What Dreams May come, 1998年 アメリカ)
・マレフィセント2(Maleficent: Mistress of Evil、2019年 アメリカ)
・BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(The BFG、2016年 イギリス・アメリカ)
・マトリックス(The Matrix、1999年 アメリカ・オーストラリア)
・ラフ・ナイト 史上最悪! ?の独身さよならパーティー(Rough Night、2017年 アメリカ)
・ダンプリン(Dumplin'、2018年 アメリカ)
・アイ アム マリス(I Am Maris: Portrait of a Young Yogi、2018年 アメリカ)
・アンソニー・ロビンズ -あなたが運命を変える(Tony Robbins: I am not your Guru、2016年 アメリカ)
・ワン・オブ・アス(One of us、2017年 アメリカ)
・レディー・ガガ:Five Foot Two (Gaga : Five Foot Two、2017年 アメリカ)
・恋人まで1%(That Awkward Moment、2014年 アメリカ)
・スティーブ・アオキ I’ll Sleep When I Dead(I’ll Sleep When I Dead、2016年 アメリカ)
・ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実(The Game Changer、2019年 アメリカ)
・マイストーリー(Becoming、2020年 アメリカ)
・ミニマリズム: 本当に大切なもの(Minimalism: A Documentary about the important things、2016年 アメリカ)
・フェアウェル(Farewell、2019年 アメリカ)
・ザ・シークレット(The Secret、2006年 アメリカ)
・クインシーのすべて(Quincy、2018年 アメリカ)
・これからの人生(The Life Ahead、2020年 イタリア)
・ダイアナ妃の告白(Diana in her own words、2017年 イギリス)
・思いやりのススメ(The Fundamentals of Caring、2016年 アメリカ)
・Dolapo is Fine(原題、2020年 イギリス)
・彼女が目覚めるその日まで(Brain on Fire、2016年 アメリカ・カナダ)




【その他、テレビドラマ】

・クイーンズ・ギャンビット(The Queen's Gambit、2020年 アメリカ)
・After Life/アフター・ライフ(2019年 イギリス)
・I May Destroy You(原題、2020年 イギリス)





2020年は、34本の映画を鑑賞しました。
通常の半分くらいかもしれません。

映画から長らく遠ざかっていた時期で、この年の前半は『天気の子』以外は観ていなかったと思います。



また、日本のアニメ映画を多く観た年でもありました。
これは『天気の子』を見た影響も強かったと思います。そのくらいこの作品は私にとって印象が強く、日本のアニメ映画の美しさ、深さ、アニメだから表現できることなど、あらためて気付かされました。そこで、これまでに観たことのある作品、旧作新作を含めて何本か観てみました。





そして、ワタシ的2020年ベスト5。



第五位 レディー・ガガ:Five Foot Two

ガガのドキュメンタリーです。
この年はドキュメンタリーも多く観たのですが(そう言えば、テイラー・スウィフトのも観た気がする…)、この作品は「結構正直だな」と感じたのです。

「ドキュメンタリー」と銘打っていても、人が作った作品なのでそこには撮る側の視点や思想、思考がどうしても入ります。「ドキュメンタリー=真実」では決してない。そして、最近の特にセレブリティたちを扱ったものに関しては、マーケティング要素が強く人の共感を引くための「長い広告」である場合も多々あります。

このガガの作品もそうした側面が皆無とは言いませんが、他のセレブの作品に比べると「これは映さないほうが好感度が上がるのでは?」と思うような場面もいくつか観られたのです。アーティストとしての気難しさ、エゴ。それは、プロとしてのこだわりといえばそうなのかもしれません。しかし、思い通りに行かないフラストレーションを人にぶつけるような場面もあり、人としては一般的には非難される側面でもそのまま作品に残したところに、彼女の覚悟や自分をそのまま受け入れる、人にどう見られてもこれが自分(だから何をしても良いということではなく、自分にマイナス面があることも認めるという意味)という姿勢が逆に彼女の大きさを垣間見せていたように思いました。




第四位 アンソニー・ロビンズ -あなたが運命を変える

こちらもドキュメンタリーです。
これは、トニー自身というよりは、彼の「仕事、役割」に主に焦点を当てています。簡単に言うなら「ライフコーチ」。しかし、彼のスケールはその言葉にはとどまらず、イベントはさながらロックコンサートのよう。アメリカだからこそできる形体かなとも思います。実はわたしは彼と似たような業界で仕事をしているのですが、正直個人的にはこの「ショー」には参加したくない(苦笑)。しかし、それは彼のやり方を批判しているのではなく、自分にはストレスが掛かりすぎるので向かないのでは…といこと。逆に言うと、自分にとっては「ありえない」方法でもこれに救われる人たちが大勢いるということ。多くの人々が救われ、突き動かされ、自分の足で立って再び歩き始める様は、自分が参加したいかどうかはさておき、人が人生を舵を大きく切っていく方法は一つではなく、すきな方法を取ればいいということを学ばされた気がしました。

また、自信家で身体も大きく、ズバズバと人を斬っていくのが彼のスタイルですが、その根底には情熱と人に対する大きな愛があるように思いました。




第三位 マトリックス

2020年のベスト5ですが、1999年の作品がランクインです。
いつか観なければいけないと何度もチャレンジしたのに、挫折を繰り返した作品です。もともとSFに対しての苦手意識が合ったのも理由の一つかもしれませんし、内容を理解するのがとても難しかったというのもあります。2時間半の作品ですが、わからない部分は毎回停止をし、旦那に説明を求め、一つ一つ理解しながら観進めて行ったため、結局3時間以上かかりました。笑

しかし、「観なければいけない」と感じていた理由がわかりました。
それは、映像の面白さだけではなく、なんと言ってもその内容の深さ。
いまさらですが、本当に観てよかった。




残りは2作品ですが、どうしても順位をつけることができなかったため、双方を一位とさせていただきます。



第一位 ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語

映画を見ながらここまで本気で爆笑したことってなかったかもしれません。
ユーロビジョンというのはヨーロッパの国別対抗歌合戦のことです。実際に行われているイベントなのですが、ただの歌唱コンテストではなく、得点獲得には国の情勢、立場、他の国との関係、歴史、経済状況など深く政治が絡んでくるといういわくつきのイベントです(苦笑)。本気で勝ちを取りに来る国もあれば、私が住むイギリスのように全くもって勝つ気のない国もあります。

この映画の素晴らしいところは、このコンテストの独特の雰囲気(胸焼けするような大げささ、わざとらしさなど…これが人気の秘密でもあったりしますが)をしっかりと描ききっているところ。それだけでも充分に私のベスト1に手が届くくらいの完成度でした。しかし、さらに感心したのは、これがアメリカ映画であるということ。ユーロビジョン文化を知らないアメリカ人が、ここまで異文化のイベントやそれを楽しむヨーロッパ人たちの視線を理解して描ききっているのは、正直信じられないレベル。

実は、この映画が好きすぎて、この年に2回観ました。笑
今後何度も見返しては、毎度爆笑するのだと思います。




第一位 天気の子


もう一つの第一位は、こちらの作品。ユーロビジョンとは全く種類の違う映画ですが、私にとってはとても大切な一本となりました。こちらは映画館で鑑賞したのですが、嗚咽するほどに泣いたのはこの作品が初めてかもしれません。そのくらいに、鑑賞時の自分には強烈なメッセージのある作品でした。自分に与えられた能力を認めること、それを人のために使うこと。しかし人のために自分を犠牲にできるのか。そしてそれは正解なのか。もしかしたら、この作品で言いたかったのはそういうことではないのかもしれません。しかし、私にはこの部分が一番響きました。

ユーロビジョンと違って、こちらは今後繰り返し観たいか…と言われると、そうではないかもしれません。

しかし、今後の人生で長らく忘れることがないであろう一本となりました。









2018年ベスト。

2021年12月08日 | 年間ベスト
アメブロへの引っ越しを試みたのですが、やっぱりこちらで続けることにしました。




こちらの記事は、アメブロに2019年11月10日 に掲載したものです。




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2019年もそろそろ佳境に入りましたが、まだ更新していなかった2018年に見た映画のリストを掲載しておこうと思います。



*新作のみならず、何度も見ている映画も入っています。





・ダンスウィズウルブズ(Dance with Wolves、1990年 アメリカ)

・昼顔(2017年 日本)

・湯を沸かすほど熱い愛(2016年 日本)

・しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(Maudie、2016年 アイルランド・カナダ)

・ライフ!(The Secret Life of Walter Mitty、2013年 アメリカ)

・シェイプオブウォーター(The Shape of Water、2018年 アメリカ)

・宵花道中(2014年 日本)

・ヤング・アダルト・ニューヨーク(While We’re Young、2014年 アメリカ)

・ロブスター(The Lobster、ギリシャ、仏、アイルランド、蘭、英)

・さざなみ(45 Years、2015年 イギリス)

・フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project、2017年 アメリカ)

・JIMI:栄光への軌跡(Jimi: All is by myside、2013年 イギリス・アイルランド)

・犬ヶ島(Isle of Dogs、2018年 アメリカ)

・ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(God Helps the Girl、2014年 イギリス)

・胸騒ぎのシチリア(A Bigger Splash、2015年 イタリア・フランス)

・Monsieur Lazhae(原題、2011年 カナダ)

・リリーのすべて(The Danish Girl、2015年 イギリス・アメリカ)

・The Silent Child(原題、2017年 イギリス)

・しあわせはどこにある(Hector and Search for Happiness、2014年 イギリス)

・セレンディピティ(Serendipity、2001年 アメリカ)

・SPY/スパイ(Spy、2015年 アメリカ)

・Dina(原題、2017年 アメリカ)

・ネバーランド(Finding Neverland、2004年 イギリス・アメリカ)

・ぼくたちの奉仕活動(Role Model、2008年 アメリカ)

・ノーザン・ソウル(Northern Soul、2014年 イギリス)

・ブレックファスト・クラブ(The Breakfast Club、1985年 アメリカ)

・小悪魔はなぜモテる?( Easy-A、2010年 アメリカ)

・デンジャラス・バディ(The Heat、2013年 アメリカ)

・もののけ姫(2001年 日本)

・パッション(Passion、2012年 フランス・ドイツ)

・ゲスト(The Uninvited、2009年 アメリカ)

・いま、輝くときに(The Spectacular Now、2013年 アメリカ)

・Being Blacker(原題、2018年 イギリス)

・ペントハウス(Tower Heist、2011年 アメリカ)

・君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name、2017年 米、ブラジル、伊、仏)

・ある過去の行方(Le Passe、2013年 フランス)

・戦場のピアニスト(The Pianist、2002年 仏、独、ポーランド、英)

・フレンチ・ラン(Bastille Day – The Take、2016年 イギリス・フランス・アメリカ)

・アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya、2017年 アメリカ)

・40歳からの家族ケーカク(This is 40、2012年 アメリカ)

・レディ・バード(Lady Bird、2017年 アメリカ)

・オーバー・ザ・ブルースカイ(The Broken Circle Breakdown、2012年 ベルギー)

・グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman、2017年 アメリカ)

・天空の城ラピュタ(1986年 日本)

・クコリコ坂から(2011年 日本)

・カサブランカ(Casablanca、1942年 アメリカ)

・クワイエット・プレイス(A Quiet Place、2018年 アメリカ)

・ムーンライト(Moonlight、2016年 アメリカ)

・パディントン(Paddington、2014年 イギリス)

・Mother’s Day(記憶にすら残っていない…苦笑)

・素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life、1946年 アメリカ)

・コンスタンティン(Constantine、2005年 アメリカ)

・ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(Dancer、2016年 イギリス)

・LUCY/ルーシー(Lucy、2014年 フランス)

・シザーハンズ(Edward Scissorhands、1990年 アメリカ)

・ジョイ(Joy、2015年 アメリカ)

・アナと雪の女王(Frozen、2013年 アメリカ)

・きっと、星のせいじゃない(The Fault in Our Stars、2014年 アメリカ)

・Always at the Carlyle(原題、2018年 アメリカ)

・万引き家族(2018年 日本)

・カメラを止めるな!(2018年、日本)

・オーシャンズ8(Oceans 8、2018年 アメリカ)

・ベイビー・ドライバー(Baby Driver、2017年 イギリス・アメリカ)

・ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody、2018年 イギリス・アメリカ)

・Katie said Goodbye(原題、2016年 アメリカ・フランス)

・ビューティフル・マインド(A Beautiful Mind、アメリカ)

・エンジェルウォーズ(Sucker Punch、2011年 アメリカ)

・Bros:After the Screaming Stops(原題、2018年 イギリス)

・ロミオとジュリエット(Romeo+Juliet、1996年 アメリカ)









全、69作品。



以前に比べると、映画への熱量が下がっているように感じていたのですが、意外と見ているものだなと。







通常はベスト5を選ぶのですが、今あらためて見返してみると、とてもじゃないけど5つに絞れない!





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2021年12月8日追記


数年ぶりにこちらのアカウントを確認しました。
しばらくこのブログから遠ざかっていたのですが、また気まぐれに更新したいなと思っています。


2018年に鑑賞した映画を今あらためて振り返ってみると、かなり当たり年だったように思います。
それはこの歳の新作という意味ではなく、私が見た映画画という意味ですが。

数年たった今も印象に残っている作品が多い年でした。




2017年ベスト。その②

2019年06月08日 | 年間ベスト
皆さん、いかがお過ごしですか?


気づけば、2019年も半分が過ぎ去ろうとしておりますが、このブログ、2017年のベストが書きかけのまま放置状態でした。
今更ですけど、続きを書いておこうと思います。


2017年ベスト。その①





まず、ベスト5には入らなかったけど、おすすめしたい映画を紹介。



The Second Mother(2015年、ブラジル)

生活のために自分の子どもたちを家に残し、他人の家に住み込み家政婦・乳母として生活する女性。その家族との関係、そして10代になった自分の子供との関係。日本ではあまりこういったシチュエーションって無いかもしれませんが、イギリスに住んでいるとこういった家族や仕事の形を目にすることがあります。こういった状況で生じる人生の矛盾ややるせなさ、喜びなどがうまく描かれている作品。



ラブレース(Lovelace 2013年、アメリカ)

これ、ある意味一番驚いた作品かもしれません。実在した、今で言うAV女優の半生を描いた伝記映画です。主演が、アマンダ・セイフライド。彼女が、本当に体当たりの演技です。マンマ・ミーアやレ・ミゼラブルなどですでに十分な名声を得た後に、この役に挑戦したということに一番驚いたのですが、女優魂を見せられた気がします。作品は、ラブレースの生い立ち、家族や夫との関係と歪、アダルト業界での名声、そしてそのキャリアを得た後には女性を守るためAV反対の立場を取った彼女の半生を描いています。当時の時代背景、男女のあり方、常識…人間社会のいろいろな側面を描いた作品です。



宵花道中

安達祐実さん主演の映画です。私の中の安達祐実さんは、子供の頃にカレーのCMに出ていたり、家なき子だったりのイメージだったのですが、この映画で初めて安達さんの演技力の凄さを見せつけられました。花魁でたくさんの後輩を抱える立場であるにもかかわらず、誰よりも初々しく生娘のような表情を見せたかと思えば、客に啖呵を切るシーンでは仰け反りそうになるくらいの凄みで完全に圧倒。安達さんの演技をもっと見たい!と一気に彼女の才能のファンになりました。







さて、やっと2017年ベスト5です。(笑)




第5位 トレインスポッティング2 


厳密に言うと、オリジナルの『トレインスポッティング』より面白いかと言われると、正直そうでもないです。オリジナルは超えていません。でも、そもそも越えようと思って作られていないところが、清いなと(笑)。『トレインスポッティング』が本当に大好きなんですが、あの続編を作れと言われたら、これ以外に作りようがないよな…という納得の出来。そして、相変わらずの登場人物たちのグダグダ加減や、イギリスの文化を知っている人には多分物凄くリアルです。ほんと、キャストが豪華。でも、インディー作品的な空気が流れているところも、また好き。




第4位 ラ・ラ・ランド

もともと、ミュージカルやミュージカル映画が苦手なのですが、ここ数年好みが変わってきました。なんと言っても、エマ・ストーンが素晴らしい。そしてライアン・ゴズリングの抑えた演技も本当に素敵で、画面に広がる色彩の美しさ、サントラの良さ、そして甘すぎないビタースイートな物語も良かったなー。




第3位 Lucy/ルーシー

こちらも、これまでの私の好みとは異なる作風。もともとSFもあまり好きではないのですが、この作品はもうすでに数回見てます。人間の可能性(映画では薬によるものだけど)、ワンネス、覚醒…など、監督リュック・ベッソンの独特の視点からわかりやすく作品の中で語られているように思います。そして、主演のスカーレット・ヨハンソン。大好きな映画『ロスト・イン・トランスレーション』のイメージが強いのですが、こういうSFも行けるのか…と意外さにも驚いた作品(その後いろいろなSFに出てますけどね)。




第2位 博士と彼女のセオリー

2000年代前半までの「伝記映画」って、出来事を忠実に盛り込もうとするあまり、エンターテイメントとしては正直ちょっと野暮ったいというか、テンポが悪くて間延びする作品が多かった気がします(個人の意見です)。それが、ここ10年ほどですごく変わったなと。この映画も、スティーブン・ホーキングの半生を描いた作品ですが、まずとてもテンポが良い。そして、当たり前ですけど、これでオスカーを取ったエディー・レッドメインの演技と言ったら!ちなみに彼も、ホーキング博士が研究を行っていたケンブリッジ大学の卒業生(イギリスの俳優は、有名大学出身者すごく多いです)。普段は、物語自体よりも作品のテンポと俳優の演技自体、映像自体に感銘を受けることが多いのですが、この作品はすべて楽しめます。




第1位 The Constitution (英題) (USTAV REPUBLIKE HRVATSKE)

もうね、これは本当に、ダントツで1位です。
ロンドンで開催された「レインダンス映画祭」で最優秀作品賞を取った作品なんですが、多分初めてみたクロアチア映画です。人生の喜び、悲しみ、辛さ、美しさ、愛、国、文化、偏見…すべてが詰まっているのですが、重くなりすぎず、かと言って軽いわけでもなく、絶妙なユーモアで最初から最後まで引き込まれた作品です。
かなりのインディー作品なので、日本ではなかなかこの作品のDVDなどを見つけることは難しいかもしれません(イギリスですら無い)。でも、本当に。機会があったら絶対に見てほしい一本です。




引き続き、充実した映画ライフを♡



2017年ベスト。その①

2018年03月11日 | 年間ベスト
2018年、映画生活を楽しんでいらっしゃいますか?


新年の挨拶もしないうちに、気づけば3月も半ば。

2月末に『シェイプ・オブ・ウォーター』を観に行ったんですけど(抜群に良かった。すでに今年度の私のベスト候補!)、その日はイギリスアカデミー賞の日だとそんなことすらすっかり忘れていて。毎年楽しみにしているイベントだと言うのに。

あー、もうこんな時期か…。去年のベストも発表していなかったなと思い出した次第です。



ということで、まずは2017年に観たの一覧です。

毎度のことながら、新作だけではなく、初めてのものや久しぶりに見たものも含まれています。


・夢と狂気の王国(2013年、日本)
・トレインスポッティング(Trainspotting、1996年 イギリス)
・R100(2013年、日本)
・極道大戦争(2015年、日本)
・ぼくの国、パパの国(East is East 1999年、イギリス)
・ベル、ある伯爵令嬢の恋(Belle 2013年、イギリス)
・パラダイス:愛 (Paradise, Love 2012年、オーストリア)
・The Second Mother(2015年、ブラジル)
・フラクチャー(Fracture 2007年、アメリカ)
・リトルマン・テイト(Little Man Tate 1991年、アメリカ)
・ウィークエンドはパリで(Le Weekend 2013年、イギリス・フランス)
・Pusher(2012年、イギリス)
・我が家のおバカで愛しいアニキ(My Idiot Brother 2011年、アメリカ)
・恋とニュースの作り方(Morning Glory 2010年、アメリカ)
・お家をさがそう(Away We Go 2009年、アメリカ)
トレインスポッティング2(T2 2017年、イギリス)
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ (A Street Cat Named Bob 2016年、イギリス)
・メッセージ(Arrival 2016年、アメリカ)
・Brother(2000年、日本・アメリカ・イギリス)
・マージン・コール(Margin Call 2011年、アメリカ)
・ハドソン川の奇跡(Sully 2016年、アメリカ)
・私はダニエル・ブレイク(I, Daniel Blake 2016年、イギリス・フランス・ベルギー)
・ラ・ラ・ランド(La La Land 2016年、アメリカ)
・フィラデルフィア(Philadelphia 1993年、アメリカ)
・ショート・ターム(Short Term 12 2012年、アメリカ)
・ふたりのパラダイス(Wonderlust 2012年、アメリカ)
・ラブレース(Lovelace 2013年、アメリカ)
・Lucy/ルーシー(Lucy 2014年、フランス)
・ジョン・ウィック(John Wick 2014年、アメリカ)
・今を生きる(Dead Poet Society 1989年、アメリカ)
・ペーパーボーイ 真夏の引力(The Paperboy 2012年、アメリカ)
・Girlhood(2014年、フランス)
・West(2013年、ドイツ)
・アイ・アム・ボルト(I am Bolt 2016年)
・シンディにおまかせ(Extract 2009年、アメリカ)
・ザ・コンサルタント(The Accountant 2016年、アメリカ)
・ゴースト・イン・ザ・シェル(Ghost in the Shell 2017年、アメリカ)
・シン・ゴジラ(2016年、日本)
・わたしに会うまでの1600キロ(Wild 2014年、アメリカ)
・ベイビー・ドライバー(Baby Driver 2017年、イギリス・アメリカ)
・クレイマークレイマー(Kramer vs Kramer 1979年、アメリカ)
・博士と彼女のセオリー(Theory of Everything 2014年、イギリス)
・黄金のアデーレ 名画の帰還(Woman in Gold 2015年、イギリス・アメリカ・ドイツ・オーストリア)
・ゾンビランド(Zombieland 2009年、アメリカ)
・Keeping Rosy(2014年、イギリス)
・ブロークン(Broken 2012年、イギリス)
・たまゆらのまり子(2016年、日本)
・I’m Not Here(2017年、アメリカ)
・ブライトン・ロック(Brighton Rock 2010年、イギリス)
The Constitution (英題) (USTAV REPUBLIKE HRVATSKE 2016年、クロアチア)
・Noise(2017年、日本)
・ボーイズンザフッド(Boyz’n the Hood 1991年、アメリカ)
・ブレードランナー(Blade Runner 1982年、アメリカ)
・ジョージ・マイケル:フリーダム(George Michael: Freedom 2017年、イギリス)
・プライドと偏見(Pride & Prejudice 2005年、イギリス・アメリカ・フランス)
・アンナ・カレーニナ(Anna Karenina 2012年、イギリス)
・キャプテン・フィリップス(Captain Phillips 2013年、アメリカ)
・海よりもまだ深く(2016年、日本)
・つぐない(Atonement 2007年、イギリス・フランス)
・ベイマックス(Big Hero 6 2014年、アメリカ)



今年は、60本。近年の中では、かなり観たほうです。





2017年は、実はあまりガッカリがなかったんですよ。
「面白くないな」と思う映画は、そもそも始めから期待せずにそういうものだと思って観ていたので、裏切られた感がなかったと言うか。あとは、あまりに面白くないと途中で見るのをやめるので、リストにすら上がってこない(笑)。



その中でも、敢えてガッカリを選ぶとしたら、



- ベイビー・ドライバー


これは、反対意見も多く聞こえてきそうですが(笑)、私の期待が多分高すぎました。この映画の監督の作品が好きだったんですけど、個人的には、キャストがしっくり来なかった。特に主役のベイビーのアンセル・エルゴートが。俳優業以外にDJもしている方だそうなので、役柄とぴったりなのはわかるんですけど、脇役の俳優たちのクセがつよすぎて、彼のキャラがかき消されているように感じました。あと、年の離れた夫婦役のジョン・ハムとエイザ・ゴンザレス。この夫婦の絆というか、カップルに見えなかった。その凸凹具合を狙った配役だったのかも知れないんですけど、私にはただ合わなかっただけに見えまして。個人的には、ウェイトレスのデボラ役のリリー・ジェームズが一番良かったなー。





長くなったので、ベスト映画の発表は次回に分けたいと思います!