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<韓国報道>「トランプも何もできない…金正恩にだまされた」

2018-07-20 16:41:36 | 朝鮮半島有事・非核・南北朝鮮

「トランプも何もできない…金正恩にだまされた」

2018年07月19日14時48分    中央日報


 トランプは取引だ。『取引の技術(The Art of the Deal)』は彼の著書だ。彼の名声の土台と

なっている。しかしその評判はもつれた。6・12シンガポール米朝首脳会談の良くない成績のためだ。

会談から1カ月が経過した。米国は委縮した。会談前までホワイトハウスは決然としていた。「談判、速戦即決、

一括妥結」と言った。会談後、そのような語彙は押し流された。

  ドナルド・トランプ大統領の勢いは折れた。彼が「七面鳥料理論」を取り出した時からだ。

CVID(完全、検証可能、不可逆的な非核化)の圧力カードは蒸発した。

彼は17日、「(北朝鮮非核化の)時間、速度制限はない。急がない」と述べた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)

国務委員長の防御術は巧妙だった。康仁徳(カン・インドク)元統一部長官は18日、「トランプも何もできない。

金正恩にだまされたということだ」と話した。

小説家イ・ムンヨル氏の言葉は実感がわく。

「トランプ大統領が取引の技術者だというので見守ったが、結局、手腕は信頼できず、不足した事業家と明らかになった」。

 

 トランプは言い張る。「水面下で前向きなことが起こる、シンガポール合意文は美しい文書だ」。

それは弁解と自画自賛だ。彼は「この9カ月間、核実験も、ロケット発射もなかった」と言った。しかし北朝鮮に

核・ミサイル試験は必要ない。

北朝鮮は昨年末、核武力を完成した。取引の技術は取引の包装術に変わったようだ。


  若い領導者のイメージ変身は明確だ。彼は残酷な世襲独裁の視線から抜け出した。北朝鮮の核武装は国際的な

公認を受けたということだ。マイク・ポンペオ米国務長官は3回目の平壌(ピョンヤン)訪問をした(6日)。

彼は金正恩に会えなかった。「手ぶら」の帰国だった。それは北朝鮮の常套的な冷淡だ。

「踏み倒し(welsher)」は取引術の重要な要素だ。

  「北朝鮮は相手が楽観と幻滅・失望の間を行き来するよう交渉の過程を操作する。失望した相手は北朝鮮が次は

協調的な姿勢で出てくるだろうというくだらない幻想が膨らむ(『北朝鮮の交渉戦略』)。

その本の翻訳者はソン・スンジョン大田大教授(軍事学)だ。彼は「ポンペオ長官がそのような状況になったようだ」

と話した。

  北朝鮮の交渉術は不敗の神話だ。千英宇(チョン・ヨンウ)元外交安保首席秘書官は「米国は北朝鮮との交渉で

勝ったことがない」と言った。神話は拡張した。非核化交渉は難航だ。金正恩の時刻表の中で動く。

なぜこのようになったのか。なぜ米国の未熟さと挫折は繰り返されるのか。

原因は「知彼知己」の不足だ。「敵を知って己を知れば百戦しても危うくない」。 『孫子兵法』のその一節は例外がない。

  北朝鮮のトランプ研究は徹底的だ。トランプ大統領は直感と変則を駆使する。実務チームは彼の言語習慣、

取引方式を追跡した。金委員長は度胸と戦術を鍛えた。しかしトランプ大統領は北朝鮮に対する理解を怠けた。

元老北朝鮮専門家の康仁徳(カン・インドク)の分析はこうだ。「北朝鮮を相手にした経験もない状態で緻密な

戦術も持たずに出てきた。北との交渉はトランプの不動産契約とは違う。お金を持って駆け引きできない

微妙な部分がある」。ソン・スンジョンは孫子の軽敵必敗と分析する。「北朝鮮は核を保有したが、貧しいだけに

強大国の威勢で適当に押して口説けばよいと見下した」。

  金正恩-トランプの対座は反転のドラマだ。トランプはシンガポール会談を取り消した(5月24日)。

その直後、北朝鮮外務省第1次官の金桂冠(キム・ケグァン)の談話が出てきた。「朝米首脳対面(米朝首脳会談)が

どれほど必要か」。6月1日、金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長がワシントンのホワイトハウスを訪問した。

  トランプの取引原則は鮮明だ。「交渉をする時、最悪は切実に(desperate)映ることだ。

すると相手があなたの血のにおいをかいで、あなたは死ぬ」。トランプは勝機をつかんだと判断した。

シンガポール会談は生き返った。彼は楽観と期待値を高めた。「会談は成功するだろう」。

立場は変わった。いま「切実」な方は米国だ。首脳会談直前までポンペオはCVIDの圧力を加えた。

北朝鮮は瀬戸際で持ちこたえた。トランプはCVIDを放棄した。その代わり「韓半島非核化」に置き換えた。

  北朝鮮の「サラミ(salami)」戦術は進化した。彼らは時空間を分けて切る。トランプの「たった一度の機会」を

分けた。取引対象も分離する。核兵器・施設・物質に分散させる。彼らはミサイルエンジン実験場の閉鎖を流す。

米国の優先関心は大陸間弾道ミサイル(ICBM)。

北朝鮮の火星15型は米国本土に脅威を与える。それはトランプの「アメリカファースト」を狙った。

北朝鮮は終戦宣言を非核化交渉から引き離す。終戦宣言は平和協定、米朝国交正常化の出発点だ。

  トランプの取引の武器はレバレッジだ。彼の取引術は「レバレッジなしに交渉をするな」だ。しかしトランプは

自分の原則に背いた。韓米連合訓練のレバレッジを捨てた。彼は「ウォーゲーム(war games)を中断し、

我々は大きな費用を節減した」と主張した。

千英宇(元6カ国協議代表)は「韓米連合訓練の中断は北核凍結と連係するほどのレバレッジだが、

放棄という悪手を打った」と述べた。

  北朝鮮は韓米連合訓練を険悪に非難した。中断は先制的な譲歩だ。しかし北朝鮮は低く評価する。

「大きな譲歩のように広告したが…再開できる極めて可逆的な措置」。北朝鮮のこうした反応は常習的だ。

譲歩すればより多くの譲歩を要求する。トランプの過去の不動産の世界と違う。

北朝鮮の交渉はギブ・アンド・テイクではない。

 

  平壌はポンペオを懐柔しようとしている。「強盗的な非核化要求だけを持ち出した(8日、外務省)」。

暴言は心理戦だ。

「共産主義者は事を完成させようとする西洋人特有の早急性(impatience)を利用する」

(C.ターナー・ジョイ著『共産主義者はどう交渉するのか』)。ジョイは1953年の休戦交渉の米国代表だった。

その本は対北朝鮮交渉の失敗と挫折の凄絶な告白だ。侮辱は早急性を誘導する手法だ。

  「論点を曇らせろ(red herring)」。ジョイ提督が看破した北朝鮮の戦術だ。米朝遺骨送還交渉がそれだ。

遺骨は非核化の本質でない。

北核専門家ロバート・ガルーチが警戒した「おとり商品(bait and switch)」だ。北朝鮮は

争点を別のところにそれとなく変えようとする。

  このような状況は米国の自業自得だ。自他熟知を怠けた代価だ。交渉チームの経験・貫禄で差が大きい。

金英哲(72)は海千山千すべて体験した。彼がデビューしたのは1990年(南北高官級会談)だ。

金桂冠(75)は水面下にいる。1980年代初期から本格的に登場した。平壌オールドボーイのノウハウは

再生産されて続く。北朝鮮実務チームは激しくて執拗だ。交渉は彼らに戦争の別の手段だ。

  ポンペオ(55)は秀才だ(ウェストポイント・ハーバード大ロースクール首席卒業)。しかし彼は北朝鮮に

慣れていない。彼のそのような面が露出した。彼は金正恩を「Chairman Un(恩委員長)」といった。

ハングルの姓・名の順序を勘違いしたのだろうか。

2014年のガルーチの反省は有効だ。「当時(1994年のジュネーブ米朝会談首席代表当時)我々は北朝鮮に

対して無知だったし今もそうだ」。その後もホワイトハウス・国務省の担当者の大半は北朝鮮を知らない。

  平壌の交渉力は無敵なのか。崩れたことも何度かある。彼らも予測不可能、奇襲、逆発想にやられた。

  1984年9月、集中豪雨が降った。北朝鮮は韓国の被災者を支援する考えを表した。北朝鮮は誤認した。

韓国がこれを拒否すると信じた。ノ・シンヨン安全企画部長(現国家情報院長)の逆発想は絶妙だった。

「韓国の経済力が北朝鮮より優れていることを国際社会が知る。救護品の受諾で体面を汚すことはない。

自信を見せる機会だ」。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は逆襲に出た。「救護物資を受ける」。

平壌(ピョンヤン)は慌てた。経済難の中で物品の確保に苦労した。北朝鮮の暗い実情が暴露した。

物資提案は金正日(キム・ジョンイル)のアイデアだった。北朝鮮は意表を突かれた。

 

  独裁体制のアキレス腱は統治資金だ。2005年9月、米財務省はそこを狙った。

マカオのバンコ・デルタ・アジア銀行(BDA)に金融制裁をした。BDAの北朝鮮口座が凍結した。

そこに金正日の秘密資金が入っているようだった。平壌は奇襲を受けた。金桂冠は「非常に苦しい」と訴えた。

しかし彼は「資金凍結が解除されなければ6カ国協議は難しい」と言った。相手は国務省のクリストファー・ヒル次官補。

金桂冠の瀬戸際圧力にヒルは押された。2007年6月に口座凍結は解除されたた。北朝鮮はBDAの足かせから免れた。

  1953年6月の反共捕虜解放は李承晩(イ・スンマン)式の瀬戸際決断だ。当時、米国と中国・北朝鮮は

休戦に弾みをつけた。李承晩大統領の反撃は緻密だった。世界が驚いた。米国は李承晩をなだめた。

韓米同盟体制(相互防衛条約締結)が構築された。それは北朝鮮の戦後構想に致命的な打撃を与えた。

同年11月、リチャード・ニクソン(副大統領当時)は韓国を訪問した。『ニクソン(大統領)回顧録』は

「老政治家の賢明」を記憶していた。「共産主義者と取引するうえで『予測不可能性』が重要だ

(importance of being unpredictable)という李承晩の洞察は…」。

米国は後退した。しかし再逆転の機会はある。それは非核化のロードマップ交渉だ。

 

 米国は無数の交渉失敗と沈滞の経験を持つ。ジョイ、ガルーチ、ヒルのノウハウは説得力があり豊富だ。

それがトランプ政権に学習効果として伝授されなければいけない。トランプは韓国人の支援を受ける必要がある。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「韓半島運転手」との提携も活発でなければいけない。

北朝鮮の取引手法に同じ民族の韓国人は慣れている。韓国は北朝鮮をよく知っている。

  パク・ボギュン/中央日報コラムニスト

 


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