老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

B G M

2016-08-23 16:40:18 | 俳句
入院検査をするまでは、命のことを真剣に考えていた。

もしもの事があれば、私 悔いのない生き方をやってきただろうか?
やり残したことは無いか?
等々と真面目に考えた。

初めは三泊四日の検査入院であった。
その検査をやる前に、誓約書なるものを書く。
もし、検査中に、血管を傷つけたり諸々のハプニングがあっても、承知おき下さいと言う誓約書に署名捺印をする。

若いイケメンの先生は、詳しく検査の手順や、失敗はないように注意を払って検査をやります、ああします、こうしますと説明をして下さる。
「おまかせします」としか答えようがないではないか。

さて、入院をして二日目に心臓カテーテルの検査を。
冠動脈造影は、腕の付け根に局所麻酔を行い、カテーテルという細い管を血管の中に挿入し、心臓まで到達させて、心臓を栄養している血管の狭窄や閉塞の程度を評価するらしい。

俎板の上の魚。
先生にお任せして手術室に入る。
主治医のイケメン先生のほかに医師らしい方が五、六名。
看護師が五、六名。

大きな機械に身体を安定させて、麻酔を右腕に打ち検査の始まり。

皆さんの話声は全部聞こえる。
全身に麻酔をやると、血管が固まって硬くなっていた場合はドリルで血管を広げるらしい。
その時、塵のようなものが、頭の血管に飛んだ場合、全身に麻酔をかけていると、患者の意識がいつの時点でなくなった判らないので、局所麻酔だそうである。
スタッフの話が全部聞こえてくる。
先生が、
「M さん、緊張をしないべ下さい 」と声をかけてくる。
「大丈夫です。音楽を聴いています」と答える。
看護師さんが
「スムースにいっています。心配しないでください」と耳元で囁いてくださる。

私はもう開きなおっていて手術室に流れている BGM に聴き入っている。
ポップス調の音楽で、最初はトルコ行進曲に似た旋律。しかし途中から全く違った曲想になる。
この BGM が何度か繰り返して流れている。

困った。
鼻の頭が痒くなった。
痒い、痒い。
両手は、自由が利かない。
痒い、困った。
音楽に耳を集中させて、痒みを忘れようとこころみる。

痒みが何となく消えた。
次はくしゃみが出そうになる。
必死でこらえる。何とかおさまる。

検査は旨くいったらしく一時間くらいで終了。

先生が
「Mさん、終わりましたよ」と声をかけてくださる。

検査は無事終了。

BGN は今後、どこで耳にしてもすぐわかるだろう。
無機質な検査室では 俳句の(は)も思わなかった。


ここで夫が診察室の先生に呼ばれる。




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