『経済暴論』の出版記念パーティーを開いていただきました。以下は、その時の私の御挨拶の原稿です。ご笑覧いただければ幸いです。

 

 

塚崎でございます。

 

本日は、お忙しい中、私のパーティーにいらして頂きまして、まことに有難うございました。

 

出版記念パーティーなどというものは、功成り名遂げた名誉教授が退官記念に開くものだと思っておりましたが、今回は大杉様とブックハウスカフェ様のご厚意によりまして、僭越ながら開催していただく事になりました。大杉様とブックハウスカフェ様、有難うございました。

 

この本は、今まで様々な所で書いてきたものの中から面白そうな物を選んで本にしたもので、ベストアルバムといった感じですね。ベストアルバムなどと言うと、大物アーティストが出すもので、これまた僭越なことですが。

 

そんなわけで、新しい知恵は何も絞っておらず、大変コストパフォーマンスの良い本であります。こうした本を出させていただいた河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)様には、大変感謝しております。

 

読み手の中には、「どこかで読んだ事のある話ばかりだ」と思う方もいらっしゃるかも知れません。理論的には、そういう方がいてもおかしくは無いのですが、そういう方は少ないはずです。だいたい、私の書いたものを普段から読んでいるという人は少ないでしょうし、読んだ内容を覚えている人は更に少ないでしょうから。「買って読んだけれども、知っている話ばかりで、金を払って損をした」という苦情が来れば有難いですが、そういう事はないでしょう。

 

売れ行きは、大器晩成型ですね。当初の予定では今日が増刷決定祝いになるはずだったのですが、未だに増刷の連絡は来ていませんから。今後、皆様の口コミで爆発的に売れる事を期待しておりますので、よろしくお願い致します。

 

この本に関する話としては、先日、ネットメディアに本の内容を紹介する記事を書きました。「食べ放題のレストランが大食い客ばかりでも儲かる理由」という記事なのですが、なんとなんと、Yahoo!ニュースのアクセスランキング1位になりました。記事の最後に、「本稿は、拙著『経済暴論』の内容の一部をご紹介したものです。」と書いておいたことから、有難いことにアマゾンで品切れになったのです。一瞬増刷かと思いましたが、ほどなく入荷されて何も起きませんでした。

 

出版記念パーティーでは、出版の裏話をする人が多いと聞きましたが、特に面白い裏話はありません。一つあるとすれば、本の題名ですね。私は、無難な題名を考えていたのですが、出版社側は書店で目立つ題名にしたがったのです。本の表紙と題名は、原則として出版社に決定権があるので、従うしかありません。

 

よほどの有名人になれば、拒否権もあるのでしょうが、一般人が書く本はそういうものです。本の売れ行きを左右するのは内容ではなく題名と表紙ですから、仕方ありませんね。本というのは、最初の1週間で売れないと、書店の店頭から撤去されてしまうので、内容が面白くても読まれないのです。著者としては、悲しい限りですが。

 

経済暴論という題名の本は、知らない人が見ると「トンデモ本」だと思うでしょうし、私自身がトンデモ経済評論家だと思われても困るので、チョッと困惑しています。みなさん、この本に限らず、書店で本のタイトルを見て、著者の人格まで判断しないように気をつけて下さいね。

 

それから、今ひとつ困った事があります。大学での講義の参考図書に指定するつもりだったのですが、それが出来なくなってしまったのです。大学の書店では、教科書参考図書一覧という一覧表が張り出されますから、そこに「経済暴論」などという本が並んでいたら、他の先生から何と思われるかわかりませんから。

 

そんなわけですが、別に河出書房新書さんと関係が悪化したという事は全くなくて、実は来月も河出さんから新しい本を出す予定です。これは、まさに教科書そのもので、私からは「日本経済入門」という極めて平凡な題名を提案してあります。河出さんがどんな題名を付けるのかわかりませんが、今回は前回に懲りているので、河出さんから「塚崎に拒否権あり」という約束を頂いています。そこで、きっと教科書らしい題名を付けて下さると勝手に期待しております。

 

さて、今日は、本を出したいと考えておられる方もいらしていると思います。私からアドバイスできることは多く無いのですが、少しだけ考えている事をお話ししてみましょう。

 

まず、ブログなどで、文章をたくさん書きましょう。たくさん書くことで、確実に文章は上手くなります。もちろん、読者を意識して丁寧に書く事が必要ですが。

 

書いたものが増えて来たら、本のアイデアを企画書にまとめてみましょう。といっても、私の場合は「目次」と「はじめに」を書くだけですが。目次とはじめにと関連するブログを持って、出版社の人にお願いしに行くわけです。最近は、出版事情が厳しいので、なかなか通らないと思ってください。私も、「売れそうもないから」という理由で出版の企画がなかなか通らず、3社も4社もお願いして回った事があります。そういう本が増刷になったりすると、断った出版社に報告に行きたい気分ですね。

 

一番大変なのは、出版社の人と面識を持つことでしょうね。出版社の正面玄関から入ろうとしても、担当者に会わせてもらえませんから。そこで、今日のような機会に出来るだけ参加して、物書きの知り合いを増やしましょう。Facebookなどで物書き同士で友達になったりしても良いでしょう。物書きの仲間が増えてくれば、出版社に話を繋いでくれるかも知れません。知り合いの担当者に企画書のコピーを渡してくれるだけですが、それが大事なのです。

 

ブログを書いているうちに、誰かが見つけて面白いと思ってくれるかも知れませんし、他の物書きの人に友達申請する時の自己紹介メッセージとしても、ブログは役に立ちます。

 

本当は、こういう場で出版社の方にご挨拶出来ればよいのでしょうが、今日は、あいにく出版社の方はこられていません。河出の方はお招きしたのですが、日程が合いませんでした。他社の方もお誘いしようかと考えたのですが、ライバルの出版社から本を出したからパーティーに来て下さいとも言えないので、お誘いしていません。

 

しかし、マスコミ関係の方や著名な物書きの方は何人か来られていますので、名刺の交換をされておけば、何か良い事があるかも知れません。今日のパーティーが、少しでもみなさまの出版のお役にたてれば幸いです。

 

本の出版を考えておられない方々にも、様々な方とお知り合いになっていただき、素敵な御縁を広げていただければと思います。

 

改めまして、本日おいで頂きました皆様に御礼を申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。

 

有難うございました。