ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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『パズドラクロス』第66-67話 持続可能なドラゴーザ島のために

本当に守るべきもの

人間VS竜人VSモンスターVS星

『パズドラクロス』といえば、種族間の対立を描く作品。67話までの展開では、まさに竜人によって人間が虐げられる様子が描かれていた。

その中で、モンスターがないがしろにされていたのも印象的だ。


しかし、争いのない平和な世界を作る上では、生き物の住まう「星」の存在を忘れてはならない。それが今回、あらためて示された。

 

ドロップ・インパクトは星の出血

そもそも、以前から「ドロップ・インパクト」は星がけがをしている状態、ドロップは血液に喩(たと)えられていた。

ラーは星を守るために、星を穢(けが)す龍喚士を滅ぼすべきと主張する。

エースは、3つの種族の共存を願っており、ホルスと協力してラーに立ち向かった。

 

簡単なあらすじ

第66話、エースはランスとの戦いの末に倒れ、竜人の里ステラで目覚める。ドミニオンを発見したため、対抗しようとするが、エースは龍喚士の力を失っていた。


一方、ステラには、不吉なことが起こるとされる「月守の日」が訪れようとしていた。

伝説によれば、この日、特別な「マレビト」も訪れるのだという。そのマレビトこそが最初の龍喚士・ラーであった。

エースは、ラーが龍喚士の力を授かったとされる「ソルの山」に登り、龍喚士の力を取り戻そうとする。


第67話、エースが龍喚士の力を失ったのは、自らの拒絶反応だった。

龍喚士が醜い争いによって星を穢していることに怒るラー。3つの命がつながることを望んでいるエース。

ラーは争いを止められなかったエースを同罪だとして攻撃するが、ホルスは彼こそがこの星の希望だとしてエースを擁護した。

エースは、ラーの指摘を受けて決意を新たにし、龍喚士の力を取り戻す。

 

星を守ることは重要

そもそも、三者の争いの中に「星」が割って入ることに違和感がある人はいないだろうか?

星は生き物ではないし、いくら傷ついても問題ないのではないか?

いや、実は、長く続くことのできる社会のためには、星を守ることも重要である。

 

 

世界平和のために

星、それは国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にも挙げられている大事な要素だ。

People(人間)、Prosperity(繁栄)、Planet(地球)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)。

国連は5つのキーワードのもとに、発展途上国だけではなく、人類が一丸となって課題を解決することを決意している。

Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development .:. Sustainable Development Knowledge Platform

 

星の怒りは見えている

現実世界においては、星の怒りは干ばつや光化学スモッグのような自然現象によって可視化される。

パズドラクロスの世界観では、ドロップという龍喚士にしか見えない元素が存在しており、そのバランスがおかしくなると、ドロップ・インパクトが発生する*1


もちろん、それがドミニオンによって発生している場合もあるが、それは核実験で人工地震が起こるのと同じことだ。

あるいは原発事故によって放射性物質が大気中に漏れ出たこととも関連づけられるかもしれない。


いずれにしても、星を守ることは、平和を守るためには欠かせないことである。そうしなければ、生き物が暮らせない世界になってしまう。

エースは、ドロップの力ですべての命をつなごうとしている。水がすべての命をつなぐのと同じように。

 

パンが売れない世界に繁栄はない

ちなみに、長く続くことのできる社会には繁栄が不可欠だ。

66話では、パンが売れずに困っているという人も登場した。人間がいなくなって、売り上げが落ちたそうだ。

このことからも、人を差別せずに平和に生きることの重要性が手に取るようにわかるはずだ*2

 

他民族が経済を支える

現実世界でも、移民や観光客の振る舞いが気に入らないという人がいるかもしれない。

だが、彼らの労働市場における彼らの影響力は大きいし、全国の量販店も「爆買い」でもうけている。


実際、2013年には年間およそ70万人だった中国人観光客は、2016年には年間およそ550万人(約7.8倍)にまで増えている。

観光客全体で見ても、2013年にはおよそ800万人だった観光客が、2016年には約2100万人(約2.6倍)になっている。

(いずれも日本政府観光局調べ)

統計データ(訪日外国人・出国日本人)|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)


2016年に訪日外国人が日本への旅行(業務を含むすべての目的)で使ったお金はおよそ3兆7000億円(2013年は約1兆4000億円)であり、非常に多くの額が動いていることがわかる。

(いずれも観光庁の訪日外国人消費動向調査より。平成28と平成25年の年間値を引用。)

www.mlit.go.jp


商業的にも国民生活的にも、そうした観光客の存在は無視できなくなっているようだ。いざ彼らがいなくなれば、経済が大きな打撃を受けることだろう。

こうした経済的な事情からもわかるように、自分と異なる存在を排除しながらの繁栄は難しい。そんな状態でやっていけるのは、頑固なラーメン屋のオヤジぐらいだ。

 

命をつなぐ

PeopleがProsperityを享受しながら、Planetを守り、Peaceを実現するためには、Partnershipが不可欠である。それこそがエースの目指す「命をつなぐ」ことだ。


例えば、どこかひとつの民族が紛争や排除をするだけで、難民が発生する。

どこかひとつの国が環境保全に協力しないだけで、他の地域の人々がその影響を被る。

どこかひとつの国が国際条約に参加しないだけで、その条約が意味をなさなくなる。


国連で決められた持続可能な開発目標(SDGs)は「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す*3」ものであり、意志ある者、特定の思想をもつ者だけに物事を決めさせるものではない。


エースは、竜人たちを「取り残」すことなく、世界に平和を取り戻すことができるのだろうか?

 

まずは仲間をつなぐ

ドミニオンに反旗をひるがえしたエースの仲間たちは、ほとんどが行方不明になっている。まずは、彼らをつなぎ直すところから始めなければならない。

 

それから、「最初の龍喚士」の力を手に入れたとはいえ、世界を滅ぼしかけたという竜人の「原始化」に対抗できるかはわからない。

エースは多勢に無勢のこの状況を変えることができるのだろうか?

*1:ドロップが尽きると、星は滅亡する。

*2:以前もエクシオン焼きが売れないという話があったが、今回は竜人の店というのがポイント。竜人自身も人間排斥で損害を受けていることがわかる。

*3:外務省『日本 持続可能な開発目標(SDGs)実施指針』

SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発のための2030アジェンダ | 外務省 SDGs実施指針 日本語全体版より。

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