津波は目の前に広がるばかりではありません
 
津波から逃れるために備えようとすると
どうしても ...
どれぐらいの高さで
どれぐらいの範囲で
どれぐらいの時間で
どれぐらいの威力で ということが気になるものですが
 
津波は避難する皆さんの
目の前にばかり現れるのではありません
 
きっと 地区ごとに出ている津波のハザードマップには
津波の到達時間 予測される高さや範囲等が
数字で記載されていると思います
 
その数値を基準にして
避難に備える方が多いと思いますが
数字はあくまでも目安であり
自然災害において
確固とした予測はできるものではありません
津波というものは人間の想像を遥かに超えたものです
 
避難する際の状況は予測された数値からは見えません
 
大きな地震の後
マンホールが道路から飛び出した地域があります
車を運転中に地震にあい
避難行動の判断に迷った人が大勢います
ペットを探して避難行動が遅れた人もいます
子供を迎えに学校へ急いだ人もいます
年老いた父母を逃がそうと
職場から自宅を目指した人がいます
看護や介護の仕事をされていて
患者さんを逃がそうと必死だった人がいます
消防や警察に勤務し
最後まで避難の手助けをした人がいます
中には 
絶対に津波が到達しないと予測された地域に住み
自宅避難をし 休んでいる際に
側溝からあふれ出た津波の水の音で
初めて津波の到達を知った人もいます
 
皆が その時 その場所 
その時置かれた状況からの避難行動でした
 
当時 津波の経験が無かった私には
津波が川を逆流して登ってくることは知っていても
普段蓋がされた側溝から
津波の水が襲ってくるという知識はありませんでした
調べてみたところ 目に見える津波より先に 
側溝から水があふれ始まった場所も多いようです
 
誰かに数字で予測してもらえば
ご自分が体験したことのない
津波への不安や恐怖は軽くなるかもしれませんが
それは 人間の大きな錯覚であり勘違いです
 
津波が襲う 
そうなったとき 命を守るためには
様々な知識とぎりぎりの判断が必要になります
 
ご自分と遠い世界の話ではありませんので
津波の経験をした人から
当時の様子を聴けるチャンスがありましたら
どうぞ 逃さずにお聴きください
 
知らないことほど怖いことはありません
災害に対する無関心で後悔する人が
皆さんではありませんように
 
災害は常に穏やかな日常を襲うものです
切に 切に お願い致します
 
災害の姿を知っていただくために
皆様のお心に触れる何かがございましたら
シェアをお願いいたします
語り部佐藤麻紀