【「おんな城主直虎」は池田理代子の隠れた名作アニメと同じ手法だった】

 

【夢見るシャンソン人形】

 

既にツイートしましたが、昨日フランス・ギャルという女性が亡くなったとYahooで見て、

 

「フランス・ギャルって誰だっけ?」

 

と思い、調べました。

 

「夢見るシャンソン人形」F・ギャルさん死去(読売新聞) - Yahoo!ニュース

 

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180107-00050055-yom-ent

@YahooNewsTopics

 

「夢見るシャンソン人形」というお歌を検索して聞いてみたら、CM等で聞いた覚えがありました。

 

原題はPoupée de cire, poupée de son

 

かわいいけど、歌詞はかなり皮肉な内容だそうです。

 

ご冥福をお祈りします。

 

 

【隠れた名作「おにいさまへ…」と「プペちゃん」】

 

ところで、Poupéeでこのセリフを思い出しました。

 

「マ・シェリール・プペ。あなたに似ている…」

 

「ベルサイユのばらで有名な」池田理代子さん原作の

 

「おにいさまへ…」というアニメのセリフです。

 

「私の小さな(かわいい)お人形」

 

といった意味のようです。

 

こちらがウィキのページ。

 

「おにいさまへ…」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%95%E3%81%BE%E3%81%B8%E2%80%A6

 

下の方にレズビアンとか関連項目が出てますが、これが違うんです。

 

1992年だったかな?NHKのBSで深夜に放送されていた(多分再放送)のを偶然見つけて、

 

「NHKがこんなのを放送するの!?」

 

と驚いて見てみたのですが、シュールな内容と感動的ストーリーにひかれて最後まで見ました。

 

一見刺激的なレズ漫画なのですが、切なくなるような家族愛の物語でした。

 

 *離婚と連れ子再婚でできた複雑な家庭、

 *格差社会

 

など、現代的なテーマが先取りされていて、BGMなどちょっと大げさで笑ってしまう所もあるのですが、

 

池田理代子さんの隠れた名作と思ったものです。

 

後で詳しく書きますが、

 

「おにいさまへ…」の手法は「おんな城主直虎」と同じなんです!!!

 

脚本家の森下佳子さん、池田理代子作品に影響を受けて、脚本にうまく取り込んでいるようです。

 

それはちょっと置いといて、

 

今はもうないですが、ファンサイトでは劇中登場するフランス人形を「プペちゃん」呼び、

 

「ナイフ!ナイフ!ナイフ!」

 

と連呼するgif動画がある面白いサイトがあって、たまに見て楽しんでました。

 

今では「プペちゃん」はこのブログくらいしかないようです、さびしい。

 

プペちゃんとジカタビ
http://blog.goo.ne.jp/rino-de-porignac/e/1bf9032f416d6dd8b0a117d8c4c11cf3

 

懐かしさに誘われて、さらに「おにいさまへ…」で検索していたらYoutubeでOP曲、EP曲を見られました。

 

OP曲「黄金の器 銀の器」もEP曲「気まぐれな妖精」も作詞作曲が小椋佳さん!

 

Youtubeで予告編があったのでこちらも視聴。

 

1990年代にしても時代がかったナレーションで思わず笑ってしまいますが、

 

最後に出てくる主人公の奈々子の声に違和感がある!

 

おにいさまへ... 「予告編」.flv
https://youtu.be/HVIBFWUwWvw

 

そこでウィキをまた見てみると、パイロット版では水谷優子さん、本編は笠原弘子さんに変更となっていました。

 

懐かしさに誘われて、さらに「おにいさまへ…」で検索していたら、

 

バンダイチャンネルで第1話が無料でした!

 

「おにいさまへ…」 | バンダイチャンネル
http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=3260 #bchanime

 

ちなみに、バンダイチャンネルの回し者ではありません(^^)

 

 

【「おにいさまへ…」の「サスペンス」】

 

早速見てみたのですが、見事なストーリー構成に改めて、ううむ、と感嘆しました。

 

ストーリー全体を知っている目で見てみると、1話に主要人物がほとんど全員登場していて、伏線があちこちに張り巡らされているのです。

 

そして、登場人物の本質が怪しげで、先が読めないハラハラドキドキ、という広い意味での

 

「サスペンス」

 

の要素がふんだんに取り込まれています。

 

 

【ネタバレ注意注意報】ここから「おにいさまへ…」のネタバレです。
先に第1話を見てから読まれた方がいいかも。

 

 

 

 


御苑生奈々子は名門女子高青蘭学園高等部に入学し、美しくも謎めいた上級生や同級生たちに出会います。

 

上流階級が集うソロリティ(学内の社交クラブ)のメンバーとなった奈々子は、戸惑いながらもサン・ジュスト、薫の君、宮様といった個性的な女性たちとの関わりを深め、激しい対立を経験しながらもこれを乗り超え、精神的成長をとげます。

 

ここから第1話で受ける(はずの)第一印象と、ドラマで明かされる実像を比較します。

 

サン・ジュスト(朝霞れい)
男装の麗人(青蘭学園は事実上私服登校)で、混雑したバスから降りようとする奈々子を引っ張り出して抱き上げ、奈々子に憧れられる。

 

雨の中濡れながら下向中に、車で通りかかった宮様から窓越しに傘を道に投げ捨てられ、狂気じみた笑顔で錠剤をかじる。

 

その後も壁が鏡だらけの一人暮らしのマンションにやってきた奈々子にキスしたり、宮様に異常な執着を示す。

 

「マ・シェリール・プペ。あなたに似ている…」

 

というのも彼女のセリフ。

 

後に、れいは宮様の異母妹であり、愛人の子であるために同居を許されず、母も亡くなったため、一人暮らしをしていることが判明(生活費は富豪の父から出ている)。

 

サン・ジュストはナルシストのレズビアンと見せかけて、ただ肉親である姉の愛を求めるあまり、深く傷ついた薄幸の少女と判明。その最期も悲劇的。

 

奈々子との関係も、姉からもらって大事にしているフランス人形に似ていることから興味を持ったらしい。

 

第1話の奈々子を抱き上げるシーンも、大事なフランス人形を抱き上げるような気持だった?

 

薫の君(折原薫)
男装の麗人で、サン・ジュスト、宮様と並ぶ青蘭学園のアイドル的存在。病気で長期休学していた。

 

サン・ジュストにとって、奈々子以外の唯一の親友。

 

後に、薫はかつて辺見武彦と恋に落ちたが、乳がんと判明したため身を引いたスポーツ少女だったと判明。武彦との恋の行方は後ほど。


宮様(一の宮蕗子)
生徒会長で、ソロリティの会長でもある青蘭学園の女王的存在。

 

迎えの高級車で下校時にサン・ジュストのそばを通りかかると、後部座席から無言で少し窓を開けて、道端に傘を投げ捨てて去った。

 

美しいが傲岸な印象も与える。

 

後に奈々子に異様な好意を示し強引にソロリティに参加させるが、後に対立し、奈々子を苦しめる。

 

少女時代に出会った人に一目で激しい恋に落ちるが、あきらめ、

 

「一週間で一生分の恋をしました」

 

と、恋をしないと誓っていたと判明。

 

異母妹のれいに肉親としての愛情はあるが、潔癖な完璧主義者でもあるために、愛人の子であることを無意識で嫌っている。

 

そのため時折不器用な愛情を示すが、近づくこともできず、れいをかえって苦しめることになった。

 

奈々子への好意は、自分がれいに贈ったフランス人形と似ていたためらしい。

 

和解した直後のれいが事故死した際には深く悲しんだ。

 

れいの言葉に想いをはせながら、もう恋をしないという誓いを捨てる。

 


御苑生奈々子
各話は「おにいさま」という人物への手紙の形式で、奈々子のナレーションで進む。

 

フランス人形に似た美少女だが、複雑な家庭環境を持つ。しかし母と母の再婚相手(大学教授)には深く愛されており、性格は優しい。

 

物心つく前に亡くなったという実父については、母から何も教えてもらっておらず、最後まで知らない。

 

第1話で青蘭学園への登校初日に、サン・ジュストに助けられ、あこがれる。

 

後に宮様の強い意向で戸惑いながらソロリティに参加するが、その不条理さに反発し疎外される。

 

奈々子は仲間たちの助けを得て救われ、蕗子はソロリティ解散を決断する。

 


おにいさま (辺見武彦)
第1話では奈々子から高校入学の知らせを受けて、プレゼントを贈ろうとするが、事情をよく知る親友(一の宮貴)から「大丈夫か」と心配される。

 

「おにいさま」は大学院生で、中学生だった奈々子が通っていた塾の講師、辺見武彦だった。

 

卒業直前に奈々子から「おにいさま」になってほしいとせがまれて引き受けた武彦は、奈々子の母と再婚した御苑生教授の実子だった。

 

第1話冒頭、雨が降る庭で傘をさして泥遊びをする奈々子から、

 

「あなたはだあれ?」

 

と尋ねられ、走り去る少年が武彦だったと判明。

 

武彦は両親の離婚後母に引き取られた後、かつて父と住んでいた家に一人で行ってみた。

 

しかし幼い奈々子を目にして、この家にはもう自分の居場所はない、と泣きながら走り去ったのだった。

 

その後奈々子とは偶然塾で再会し、その素性を知ったが、自分の素性は一切明かさず、「おにいさま」として奈々子からの手紙を受け取り続ける。

 

後に薫の元恋人であり、蕗子の初恋の男性であったと判明。

 

論文完成後、ドイツ留学することになり、片方の乳房を切除した薫の健康に不安があることを知りつつも、変わらぬ愛を繰り返し伝えた。

 

奈々子がソロリティでの迫害から救われる頃に最終的に薫の同意を得る。

 

実父や「妹」奈々子の祝福を受けて結婚し、ドイツに旅立つ。

 

最終回では三年生になった奈々子に薫が無事子供を出産したことを手紙で書き、写真も奈々子に送った模様。

 

奈々子は返信で、自分にも少し気になる人ができた、と書き、

 

「でも、瞳の色が暗褐色…という訳ではありません」

 

で締めくくる。

 

同時に三年生になって大人びた菜々子の姿を映して物語は終わる。

 

以上です。


最終回最後のセリフを探していたら、御苑生奈々子さんアカウント発見!
@m_nanako_bot 
https://twitter.com/m_nanako_bot/status/878206918279348224

 

ありがとうございました。(^^)

 

 

まとめると、

 

レズビアンと思われた女性たちは肉親を愛するか、男性への恋愛感情を押し殺した人々でそれぞれに説得力のある描写がなされていました。

 

一方、登場人物たちの両親は離婚、再婚、不倫、浮気などをしていて、それを正当化できる人々でもない。

 

彼らが身勝手な大人たちに翻弄されるところが、少女漫画でありながらきれいごとだけではない複雑で残酷な世界を描いていて、一種のリアリティがあります。

 

しかし怪しげに見えた人々がそれぞれに人間的な事情を抱えていたのだ、と分かり、それが感動的な結末によって救われるのでした。

 

メロドラマ的な展開を笑ってしまう人もいるとは思いますが、自分を含めちょっとだけ似た境遇の人たちが周囲にいるので、ぼくにとっては笑いごとや他人ごとではなく、切ないドラマです。

 

 

【ネタバレここまでです】

 

 

【「おんな城主直虎」のサスペンス要素】

「おんな城主直虎」も、登場人物が何をしでかすか、あの歴史的事件はどう扱われるのか、予備知識があるほどハラハラドキドキしたのではないでしょうか。

 

小野政次
瀬名
氏真ぼったま
寿桂尼
瀬戸方久
豆狸殿家康
近藤さん
酒井忠次
信長(AB長) 魔王?


今日は詳細はやめておきますが、悪役かと思われる人々の人間的な魅力が明らかにされました。

 

そしてあの槍ドン! 最強のサプライズでした!!!

 

あ、そういえば井伊直親だけは「スケコマシ」と判明して落とされてましたねw

 

でも憎めない男です。(^^)

 

悪行もあり、業を背負った人々が沢山いました。

 

そして、大半は負け犬として人生を終わりました。

 

でも、戦国に一生懸命に生きた人々がいたと感じられるドラマでした。

 

人生の一滴一滴が、井伊直政の誕生と徳川家の新たなる旅立ちの大河へと結実していった。

 

「おんな城主直虎」は正に「大河ドラマ」でした。

 


【まとめ】

 

ということで、

 

「おにいさまへ…」を見て、「おんな城主直虎」を名作にしたのは

 

1. 「サスペンス」要素
2. しっかりとした物語の構成と伏線回収
3.  人間的魅力にあふれた登場人物の丁寧な描写
4. 感動的な最終回に結実する群像劇

 

だと改めて思ったのでした。

 

これからの大河ドラマを作る人々は

「直虎」の魅力をしっかり理解して制作するのですよ。
(上から目線で訓戒)

 

 

【OVA沈黙の艦隊「夢の渚」も名曲】

 

おまけ。

 

御苑生奈々子を演じた笠原弘子さんは

 

OVA沈黙の艦隊のED「夢の渚」で美しい歌声を聞かせてくれました。

 

こっちも懐かしいです。

 

自分の人生にもちょっとした思い出エピソードがありまして。

 

 

【これから書くものについて】

 

「おにいさまへ…」と「おんな城主直虎」の記事は以上です。

 

元々

 

1.『評伝今川氏真』を完成させようとしていたのに、寄り道だらけ (^^;)

 

「おんな城主直虎」総集編の面白さのあまり、

 

2.「おんな城主直虎」の振り返りレビュー、

3.「直虎」続編でやってほしい「徳川四天王 井伊直政」のアイデア集、

 

をこのブログで書くことにしました。

 

・・・しかし、先週から

 

4.織田信長の「天下布武」の印文の謎解きにはまってしまっていたところに、

 

「おにいさまへ…」を思い出してこの記事作成。

 

まあ全部趣味の世界なので、誰が困るわけでもないからいいけど。

 

これから 4>2>3>1 の順で書いていきますね!

 

あ、そうだ。

 

5.奥浄瑠璃「田村三代記」

 

がDB、ジョジョ、封神演義を混ぜたみたいなぶっ飛んだ内容なので、これも脚本みたいなのを書くのでした。

 

4>2>3>1時々5

 

の順で行きます! お楽しみに!