2018年3月31日(土)
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モンゴルから一時帰国中の千夏ちゃんに誘われて、千葉県南房総市の「馬森(まもり)牧場」に行ってきました
今回の訪問の目的は、
ホースマッサージ
を習うこと、です。
まず、馬森牧場の代表、Kさんから、お話を伺います。
「ご存知の通り、草食動物である馬は、雑食動物である人間のことが、怖いです。」
ここで実験をします。
Kさんから手渡されたバンダナで、目隠しをします。Kさんの声がします。
「うわああ、お馬さんだあ可愛いなあ触っちゃおうかなあ」
そして突然、足を触られました
うわああビックリした怖かった
「ビックリしたでしょう怖かったでしょう身体がビクッと硬くなったでしょうこれが馬の気持ちですよ。決して気持ちの良いものではないでしょうこんな相手に好感が持てますか持てないでしょう今感じたこの不快感を覚えておいてください。これが私たちが普段馬にしていることですよ。馬は不快感を覚えながらも、無言でじっと耐えているのです」
結構ショッキングなスタートです
「ホースマッサージと言っても、馬を癒してあげよう、この子を治してあげよう、という、おこがましい気持ちは持たないでください。馬をリラックスさせて、気持ち良くなってもらいたい、常に馬の気持ちになって接してあげてください。」
「私が馬を治してあげるというグイグイした気持ちは持たないでください。突然現れてグイグイ身体を触られて、癒してあげる、治してあげる、と言われても馬にとっては迷惑なだけです。馬に受け入れてもらい、馬が気持ち良くなって身体が楽になってくれればそれで良い。馬が嫌がることはせず、馬が身体をピクリとさせたり、緊張したり、触られるのを嫌がる場所は触らない。ここが痛いところなのねとグイグイ触らない。これを
消極的ホースセラピー
と呼んでいます。」
はい、分かりました
さあ、実践です。今回のモデルになってくれたのは、メリーさん。ここのスーパーホースで、マッサージに慣れています。
まずは挨拶から。馬のそばに立ち、匂いを嗅いでもらい、私という人間を受け入れてもらいます。匂いを嗅がれ、馬が落ち着いて来たところで、手の甲でそっと馬を撫で始めます。首から始めて胴、お尻、脚、蹄。その時の手の動きは
秒速5センチ
です。これ以上速くても遅くても馬の緊張を引き起こします。このゆっくりとした速度で、馬の身体に触れて、身体に悪いところがないか、熱を持っているところがないか、冷たくなっているところはないかを探ります。メリーさんの耳が身体を触る私の方に向いて、そして落ち着いていないのを感じます。
「馬は人の呼吸に興味があります。ゆっくりと深い呼吸をしてください。」
私が、ゆっくりとした呼吸をしただけで、メリーさんの緊張が解けるのがわかります。
いよいよマッサージの始まりです。馬のお手入れをする方はよくご存知だと思いますが、馬は突然何かに怯えたりするので、いつでも逃げられる距離を計算しつつ、近寄り過ぎない距離で触っていきます。
馬の肩甲骨、首筋をゆっくりと触っていきます。メリーさんが気持ち良さそうに口をモゴモゴさせています。
背中に行きます。馬の背中は、人を乗せているために、皮膚や肉が中心に寄ってしまっています。それをゆっくりと左右に広げていきます。馬は虫が皮膚に止まった事が分かる繊細な皮膚感覚の持ち主なので、馬のマッサージに力は不要です。
メリーさんがチューイングを始めます。受け入れてもらえた証拠ですね。嬉しいです。マッサージをする時は、常に馬の顔を見ながら、嫌がっていないか、気持ち良さそうにリラックスしているかを観察しながらやる事が大切です。
そして私の大好きお尻に。硬くなっている子が多いので、ここも慎重に力加減をしながらほぐしていきます。
胸。肋骨の隙間に指を入れてぐいっと持ち上げます。メリーさんは慣れているので、身体を硬くすることもなく持ち上げられるがまま。反っていた背骨が丸くなります。ほぐれたかな
最後に慎重に顔を伺いながら、馬の後ろ脚が届かない距離を測り、尻尾を持ち、後方に引っ張ります。メリーさんは協力的で、私が後ろに引っ張る力に合わせて、前に身体を向けてくれます。おかげで、メリーさんは猫や犬が伸びをするようにお尻が下がり肩が上がった状態になります。なので、背骨が伸びます。人が腰が痛い時に整形外科で受ける牽引のようなことですね。
これで終了。馬が飽きてしまうので、1回1回にはあまり時間はかけません。このソフトなマッサージを定期的に少しづつするだけで、効果があるそうです。
あくまでも主役は馬です。馬が嫌がることは一切せず、気持ち良がることだけをします。個体差がありますので、ここが気持ち良いはず、という固定観念も捨て、今触れているこの子にとって良いことを探っていきます。
楽しい体験でした
翌日、うちのクラブの馬にお手入れの最後にちょっとマッサージをしてみましたが、受け入れてくれて、チューイングをしてくれてました。時々馬が私を振り向きながら
「次はどんな気持ちの良いことをしてくれるの」
とばかりに、好奇心に満ちた目で私を見るのが可愛かったです。
マッサージが終わった後は、人間のお昼です。続く