成長に伴い生活の変化は必然だけど
生活の音って不規則で予想がつかない。
ドン!、バタバタバタ、ガラガラガラー、ガシャーン、ウェーーン。キャハハハッ。
イタズラ盛りの子どもたちが作り出す音はトラブルの象徴でもあるけど、楽しみを表している面もある。
だから一定のリズムで寸分の狂いもなく聞こえてくる音は、質感や音量に関わらず、それだけで異質だ。特徴のない音だからこそ目立ち、こびり付くように耳に残る。
プシューッ、コォォー、プシューッ、コォォー。
無機質で抑揚のない音。感情の機微は感じられないから、どのように思いを寄せて良いか戸惑ってしまう。治療が目的なら尚更だ。
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1日数時間、シュウは人口呼吸器を付けるようになった。
4月頭からだっただろうか、脈拍が160回/分を超えることが多くなり頭を悩ませていた。熱なし、嘔吐なし、肺の呼吸音も綺麗とあって、往診レベルでは原因の解明ができず、病院での検査を勧められた。
病院では血液、尿、レントゲン、心電図に脳波チェックとボリューム満点、まるで検査のデパートだ。通常であれば入院になるのだけど、幸か不幸かベッドに空きがなく、僕たちの希望もあって複数回に分けて外来での対応となった。
検査を終え心身ともに疲れたと、妻。そりゃそうだわさ。
結果は異常なし。つまり、菌やウィルスが悪さをしたわけではなく、成長に伴い筋緊張が強まったことが原因で、脈拍が上がったという。緊張を緩和するお薬の量を調整していきましょうという話になった。
お薬を増やして数日、脈拍下がってきてる!原因不明というのは何とも気味が悪く、良くないことばかり想像してしまものだ。そういった意味でも、沢山の検査を受けた甲斐があった。
でもなぜ呼吸器を付けるようになったかというと、こんなロジックらしい。
1、シュウは元々嚥下障害があるため鼻水や唾液が気管を塞ぎやすい。気管が狭くなると当然、酸素を求め呼吸がより強くなる。
2、気管を支えている軟骨はもろくやわらかいため、負荷に弱い。
3、1と2が組み合わさるとどうなるかというと、マックシェークを飲む時と同じです。強く吸えば吸うほどストロー(気管)が狭くなり、シェーク(酸素)が飲めなくなる。
4、それでも今までは吸引してあげればよかったのだけど、今回から筋緊張が加わり呼吸することで更に気管へ負荷がかる、という悪循環に陥っていた。
5、で、ついた病名は【気管軟化症】。外部から酸素を送り気管に負荷かけることなく呼吸させるために、人口呼吸器が導入されたのだった。
この症状、行き着く先は気管切…いや考えるのはやめときます。1日1日、目の前のことを丁寧に、ですもんね。
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また1つ医療機器が追加されたというわけで、タコ足配線が半端ない。1回線じゃブレーカー飛ぶ危険性もある。あと床に這うコード類がトラップになって、躓くことも多い。色々と、早急に改善しなきゃ。
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呼吸器を装着するのは嫌がるかなという心配もあったのだけど、呼吸が楽になるからなのか意外にもスムーズに導入できた。付けてあげると脈拍は一層落ち着き、すぐ寝ようとする。やっぱり普段は呼吸が苦しいんだね。穏やかになれのはいいことだ。
一方で、呼吸機は鼻に早着するタイプのものなのでその姿はとてもブサイクだ。治療とはいえ正直、ブタに見えてしまう。接続部が三角形なので余計にブタを連想してしまう。ブタブタ連呼して恐縮だけど、医療機器ってほんと遊びがないよなあ。どうせならシリコーン樹脂で形どって塗装も施して、リアルなブタ鼻にして欲しいなあ。それくらい振り切ったものがあると、生活も少しは楽しくなると思うのだけど。まあ、どうでもいいですね。ふふふ。
長女はシュウちゃんがブタになったーとニヤニヤしてた。
次女はその姿が可愛くないということで、リボンをつけようと提案してきた。
ピンクにレースのリボンて。
一応、男の子なんだけどなあ。。。