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「第28課 王国の分裂とエリア預言者」『旧約のはなし』浦川和三郎司教

2018-03-20 07:08:06 | 新・旧約聖書まとめ
「第28課 王国の分裂とエリア預言者」『旧約のはなし』浦川和三郎司教

117 エロボアムの謀反

 ソロモンが死ぬと、北部の10族はシケムに集会しました。そして王子ロボアムの出席を求め、「あなたの父は、われわれに重い税を負わせ、苦しい夫役をわりつけました。もし、幾分でもそれを軽くしてくださったら、今後もあなたを王と戴きましょう。どうしてくださるか」と手堅い談判をもちかけた。ロボアムは3日間の猶予を請い、臣下の意見を聞きました。老臣らは、民の意に従い、優しい返答をするように勧めました。しかし、ロボアムは彼らの意見を聴かないで、むしろ年若い坊ちゃん育ちの臣下の言うところに従いました。
「父はなんじらに重いくびきを負わせたが、私は一層重くする。父はなんじらをムチで打ったがわたしは、鉄でたたくであろう。」と、荒々しい返答をしたので、民は一斉にたちあがりました。「じゃあ、我々はもうダヴィド家に関係がない。おい、皆めいめいのテントに帰るんだ」といって馳せ帰り、ただちにエロボアムという者を立て、王としました。ロボアムは車に飛び乗ってエルサレムへ逃げかえり、わずかにユダとベンヤミンの2族を集めて、この上に王となりました。このときから、国は2つに分かれ、北部はイスラエル国と称し、エフライムのシケムに都を定め、南部はユダ国と呼び、エルサレムを都としました。


118 イスラエルの金の仔牛

 エロボアムは10族に推されてまんまとイスラエル王になりました。しかし民が今までどおりエルサレムへ参詣して神様をまつっていると、いつしかロボアムに心を寄せるだろうと考え、彼らの足を引き止めるがために金の仔牛を2つ鋳造し、北の境のダンと南の端のベテルに建てました。「これが汝らをエジプトから救いだしてくださった神様じゃ」といって、自らこれを祀り、民にも礼拝させました。このようにしてイスラエルの民は次第にまことの神様を忘れて偶像教に溺れ、あらゆる罪悪を重ねました。このため、国勢が一向にふるわない。内政では、王位の奪回が始終繰り返され、外政では種々の敵が攻め入ってきて、民は一日も枕を高くして安らかに眠ることすらできないのでした。


119 アカブ王

 エロボアムが金の仔牛を鋳造したのは、もとよりそれをエホワとして祀るためでした。でも、紀元前918年に王位についたアカブは、シドン国の王女エザベルを妃にむかえ、その国の神であるバアルを尊んで、バアルの殿堂をサマリアに建てました。王の悪い業に倣い、いよいよ神様から遠ざかって、よこしまな道へ迷いこんでいくのでした。しかし、神様は、なお彼らをお見棄てになりません。なんとかして迷いの夢を醒まさせたいものと思い、多くの預言者をお遣わしになりました。


120 エリア預言者

 預言者のうちでも特に有名なのはエリアである。彼は、ある日、アカブ王の前へ出て「私が何とか申すまで、この国には雨も露も降りません」と言い棄てて立ち去りました。そして神様の命に従い、ヨルダンの支流カリトのあたりに隠れ、その水をすくってのどをうるおし、カラスが朝夕、くわえてきてくれるパンと肉で飢えをしのぐことにしました。やがてカリトの水も枯れ果てたので、エリアは再び神様の仰せを承り、イスラエルを出てチロとシドンの中程に位置するサレブタの町へ行きました。町の門に近づくと、一人の婦人が薪を拾っている。それはあわれな寡婦でした。エリアはこの寡婦に少しのパンを求めました。「私はパンを持ちません。ただ桶に一握りの麦粉とビンに少しばかりの油があるだけです。ただいま、私と息子のためにそれをパンに焼いて食べ、そして死を待とうかと思っているところであります。」「いや、あなたと息子さんのは後へまわして、まず、わたしのために小さなパンを焼いてください。そうしてくださると、雨がこの地に降るまで、桶の麦粉もビンの油も減ることがありません。イスラエルの神、エホワ様のお告げです」寡婦はエリアの言うがままにしました。はたして、桶の麦粉もビンの油もその日から少しも減りませんでした。そうしているうちに、寡婦の息子が大病にかかって死にました。エリアは、死体を自分の部屋に運ばせ、その上にのりかかるようにして、
「どうぞ、この子をよみがえらせたまえ」と神様に祈りますと、死んでいたその子はやがて息を吹き返しました。寡婦は限りなく喜び、エリアがまことに神の預言者であることを信じました。


121 バアルの神主とエリア

 エリアがアカブ王に天罰を告げてから3年6ケ月の間というものは、はたしてイスラエルには一滴の雨も降りません。いたるところの川はひからび、草木は枯れ果て、見渡す限り焼け砂の荒地となってしまいました。王もほとほと困りぬいているところに、突然エリアが帰ってきました。そして王に申し出、バアルの神主450名、アスタルテの神主400名をはじめ、イスラエルの代表者をカルメル山に集めて、ひどく彼らの偶像崇拝を責めました。「いつまで二心を抱くのです。もし、エホワがまことの神様ならば、エホワにつきなさい。バアルをまことの神と思うならば、バアルに従いなさい。
と言ったけれども、民は道理に詰まって何とも答えません。エリアはなお続いて申しました。「エホワの預言者は私一人です。バアルの預言者は、450人からいます。で、こういたしましょう。2頭の牛をください。私も彼らも、一頭ずつを屠り、こまかに刻んで薪の上に載せ火をつけないで、めいめい、その信じる神様を呼びます。願いに応じて火を祭壇に降した神こそまことの神様です。そうしてはいかがでしょう?」民は皆、それに賛成しました。で、バアルの神主等がまず牛を殺して祭壇の上にそなえ、朝から昼までも「バアル我らに聞きたまえ」と大声に祈りつづけました。もとより、何のしるしもあろうはずがないので、彼らは気でもちがったかのように祭壇の周囲を踊りまわっています。「さあ、もっと大きな声で叫ぶのです。神様は誰かとお話中だろうよ。室内にとじこもっていらっしゃるのかな。それとも御旅行中だろうか。御昼寝あそばしておられるかも分らぬ。皆大きな声を立ててお起こし申すのだ」と、エリアがからかうものだから、彼らはいよいよ気をいらだて、はては我とわが身を傷つけ、生血をたらたら滴らせながら「バアル我らに聞きたまえ」を繰り返しました。でも、物音一つありません。犠牲は、やはりもとのままです。

 今度は、エリアが祭壇を築き、その上に薪を置き、犠牲をのせ、水を桶4杯も注ぎかけ、それから心をこめて神様に祈りますと、たちまち火が天から降って犠牲も薪も焼き尽くし、祭壇の石までとろとろに溶けてしまいました。民は驚いて顔を地に伏せ、「エホワは神様じゃ。エホワは神様じゃ。」と叫びました。エリアは彼らに命じて早速バアルの神主等をとらえさせ、ふもとを流れるシソンの河原に引き下して、残らず殺させました。それから、山の頂に登って神様に祈りますと、てのひらくらいの雲が海の中から立ち上りました。みるみるうちに、その雲が墨を流したように、すうと空一面に広がり、やがて篠つく大雨は、瀧でも切って落としたかのように、ザアザアと降り注ぎました。


122 40日の修行

 エザベルは、この日の出来事を聞いて大いに怒り、エリアを殺させようとしたので、エリアは恐れて国を逃れ出て、シナイ山方面へ高飛びをしました。途中でひどく疲れ、とある木蔭に倒れて、ぐっすり眠りこんでいると、天使が現れてエリアの体に手をかけ、「起きて食べよ」と申します。目を覚ましてあたりをみまわせば、頭もとにパンと水ビンが置いてある。エリアは起きて、そのパンを食べ、その水を飲みましたが、またじきに眠ってしまいました。天使は再び彼を揺すり起こし、
「起きて食べなさい。まだ、これから、遠い旅をせねばならぬのだから」と申しました。エリアは、そのパンと水にすっかり元気を回復し、40日の間も旅行を続け、ついに、「神の山」と呼ばれるホレブ山にたどりつきました。エリアは、その山で神様のお告げをこうむり、再びイスラエルに取って返し、エリゼオを自分の後継ぎに定めました。それから両人連れだってエリコのあたりへ行き、その道を歩いていると、突然、ほのおの馬車が現れて、2人の間に割り入ったかと見る間に、エリアはその馬車に乗せられて、旋風の中を天に昇りました。


123 教訓

 エリアは、天使の与えたパンに元気をつけられて、40日間も荒野を歩き、「神の山」にたどり着きました。このパンは、聖体の前表で、よく聖体を拝領すると、悪と戦って疲れきった霊魂もたちまち気力を回復します。現世の荒野を無事にわたって「神の山」である天国にたどり着くことができるのであります。



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