今回は、ウォーキングデッド シーズン2における、主人公リックの変化です。
シーズン2の内容が、ほぼネタバレになっています。
まだ観ていない方は、自己判断でお読み下さい。m(_ _ )m
シーズン1でリックの性格を前回は、こう書いて終わりました。
『このシーズン1の頃のリックは、自身の正義を信じて行動しており、人間は殺さないという価値感を持っていた善良な人物でした』
しかしシーズン2では、リックはウォーカーだけで無くて、生きている人間を3人殺す事になります。
このシーズンでのリックが人を殺す事になった経緯は、相手がリックに殺意を持って接して来た事によるものです。
いわば正当防衛的な状況でした。
そしてシーズン2では、直接的に殺意を持って迫りくる敵以外で
『明らかに、生かしておけばこの先には、リック達コミュニティの人間が襲われる可能性を持った人物』
に対しての対処という事(大きなリスクを背負い込んで、その人間を生かしておくかどうか?)で、リック達のコミュニティは選択を迫られる事になるのでした。
大まかな内容は、こうでした。
前半部分においては、リックの性格はシーズン1の頃と変わらず、ウォーカー以外の生きている人間は殺さず、危険な状況でも仲間の命を見捨てずに優先する姿勢を貫き通していました。
キャロルの娘であるソフィアが、ウォーカーの群れに遭遇して逃げ出した事でコミュニティから、はぐれて遭難してしまいます。
始めは皆で、幼い娘であるソフィアを懸命に探します。
そうした中で、広大で安全な敷地の農場へと一向はたどり着きます。
リックの息子カールが、シカ狩りをしていた農場関係者のオーティスが撃った弾がシカを貫通して被弾してしまい大怪我となり、その関係から農場に連れて来られて、獣医だったハーシエルによって手術を受けたのでした。
そこの農場主であるハーシエルという人物は、決して冷たい人間ではないのですが何故か? カールの術後の経緯が良くなるまでは農場にリック達を置いておくが、その後は出て行くように言うのでした。
農場を離れては、行方不明になっているソフィアの捜索も困難になる事から、リック達は何とかハーシエルに、農場に居させて欲しいと懇願します。
また、リックの奥さんであるローリーが妊娠した事も発覚します。
実はリックが死んだと思い、高校時代からのリックの親友であり、この世界になる前にはリック同様に保安官だったシェーンとも、ローリーは関係を持っていました。
こうした関係からローリーのお腹の子供は、リックの子供か? シェーンの子供か? 解らない状況でした。
この辺りの事情は、例えウォーカー発生により世界が崩壊していなくても、難しい心理状態におちいる状況です。
そこに輪をかけて、ウォーカーにより崩壊した地獄の様な世界で、一行はサバイバルをしていましたから、ローリーはこんな世界で子供を産み育てる事にも大きな不安を抱えていました。
農場に一時的においてもらうという状況の中で、リック達コミュニティの皆は大きな不安を抱えだしており、ソフィアがまだ生きていると無理に信じて、危険な状況の中で貴重な時間を捜索に割く事をあきらめようという心理状態にも、なっていました。
そんな中でも、リックとダリルだけは捜索をあきらめませんでした。
またリックは、ローリーの妊娠についても、産むことを恐れて一度はリックに黙って堕胎しようとしますが、ローリーに対して、出産の是非を決める事は共に考えて前向きに捉えようという姿勢を貫きました。
ギリギリの状況の中でも、自分の信じる正義を貫こうと、リックは務めるのでした。
ところが、ひょんな事から、ハーシエルが何故に窮地におちいっている状況のリック達に、農場を出て行けと言っていたのか? が、解ります。
なんとハーシエルは、どうしても妻や一部の家族がウォーカーになった事で、死んだのだという事を認められずに、病気による一時的な状況なのがウォーカーだと信じていて、農場の敷地内にある納屋に、ウォ-カーを閉じ込めて飼っていたのです。
その状況を、他人に知られたくないが為に、リック達に出て行く様に言っていたのです。
ウォーカーという危険な化け物に対する、大きな認識違いをしていたのです。
現実主義者のシェーンは、それを知るとウォーカーは危険だと訴えて、現実をハーシエルに付きつける為に納屋からウォーカーを出してしまいます。
当然にウォーカー達は、皆を襲い出します。
皆は、そのウォーカーの頭部を銃で撃つ事で始末します。
そして納屋から最後に現れたのは、行方不明だったソフィアでした。
リックは断腸の思いでソフィアの頭を撃ち抜きます。
倒したウォーカーのうち、ハーシェルの家族や農場関係者、そしてソフィアは埋葬して弔い、他のウオーカーの亡きがらは焼却処理がされました。
現実を突きつけられたハーシエルは、それが終わると禁酒していた酒を飲み、更に抜け殻の様になり農場から出て行きました。
ハーシエルが行った先は、街の崩壊したバーでした。
しばらくして、ハーシエルがいない事に気が付いたリックとグレンは、娘のマギーに心当たりを聞いて、街のバーだと考えてハーシエルを探しに行きました。
バーには案の定ハーシエルがいて、一人で酒を飲み自らの過ちを悔いていました。
そこへ見るからに無法者と解る男が、2人でやって来ました。
その男達の話では、リック達が安全であろうと考えていた、軍の基地があるフォートベニングさえも、もはやウォカーに占拠されて壊滅状態だという事でした。
その男達も崩壊した世界を彷徨って来たと言いますが、リック達の身なりを見て近くに安全な生活の場所がある事を理解します。
そして、自分達もそこに連れて行ってくれと頼みます。
けれども、保安官をしていたリックには、彼らがどんな人種かが、風体や話し方から解った為に、安全な生活の場所などは無いと答えます。
それを聞いた相手の男の一人が、いきなりの銃を出してリック達を撃とうとしました。
リックは瞬間的に、男達2人を撃ち殺したのでした。
唖然とする、グレンとハーシエルでしたが、直ぐにリックの反撃で自分達が助けられた事を理解します。
しかし、直ぐにバーの表に殺した男達の仲間が現れて、銃撃戦になってしまいました。
何とか、銃撃戦の中でバーから逃げ出した3人でしたが、敵の中にいた一人のまだ若い青年が、屋根から銃でリック達を狙っていたのですが、滑り落ちてしまい鉄柵に足を突き刺してしまいます。
そこに銃撃戦の音でウォーカーが集まってきました。
ハーシエルもグレンも逃げようと言うのですが、リックはココでも正義感を出して
『まだ彼は子供だ。 このまま見捨てる訳にはいかない』
と言って、鉄柵から彼の足を引き抜いて、その場から離して、農場へ連れて帰りました。
この敵の青年をリックが連れて帰った事で、リック達のコミュニティでは、今後に人間性を問われる事態が発生するのでした。
連れて帰った青年の素性を、ダリルは荒っぽい方法で聞き出しました。
なんと彼の仲間はギャングで、これまでも出会って来た人間を、男は殺して物資を奪い、女には乱暴して来ていた事が解ります。
そんな青年を農場において置くのは危険だと判断して、農場から遠く離れた場所へ青年を連れて行き放置しようという事で、皆の意見は一致します。
シェーンは追い出すまでも無く、コチラは一度殺されそうになっているのだから、今すぐ殺してしまうべきだと言い、そんな甘い判断では今後、崩壊した世界で皆死んでしまうと主張します。
それでも、彼はまだ若く未来があるので、殺すまでもないだろう。
遠方への追放で十分だ。
彼に生きるチャンスをやろうと決まったのですが・・・
遠く離れた場所で彼を放置した瞬間に、青年はマギーの名を口にします。
なんと青年とマギーは同じ学校に通っていた過去があったのです。
青年は既にマギーの存在から農場のありかを知っていました。
このまま放置して、彼がギャングの仲間と合流すれば間違いなく敵は襲ってきます。
仕方なく、放置を止めて一旦農場に連れて帰る事になりました。
農場に戻り、青年を拘束しておいて、皆で青年の処置をどうするか?
話し合いが行われました。
ほぼ全員が、青年をこのまま生かして置く事は出来ないという事で、処刑するしかないとの答えをだしました。
今回ばかりはリックも悩んだ末に、皆と農場の安全を考えれば、この場所を知ってしまったギャングの一味だった青年を助ける事は出来ないと判断するのでした。
ところが、今度は年長者のデールが、こんな答えの出し方で良いのか?
彼はまだ、農場を襲って来た訳では無い。
これから起こるかも知れない罪で、彼に処刑という罰をあたえるというのか?
こんな判断をしていたら、今後も様々な難題が起きるだろう時に、皆が疑心暗鬼になるぞ。
それこそ、皆の今後の安全は保たれないぞ!
この様な演説をぶって、皆に他の答えは無いのか考える様に示唆します。
しかし、誰もデールの問いに対して明確に答えぬままで、今回はこの結論しかないという事になりました。
デールは、そんな皆の結論に対して、もはや我々のチームはもう崩壊だと言い残して家をでます。
デールが家をでた後で、アンドレアとリックは、デールの言い分が正しい。
崩壊した世界だからこそ、人々の心がすさみ暴挙にでる。
自分達がチームとして行動するなら、もう一度何か方法はないか?
検討しようといいます。
しかし、残りの皆の答えは変わらず、多数決でこの青年は処刑が決定します。
皆の話し合いによる決定という事で、リックは青年を小屋で射殺しようと銃を構えます。
しかし、そこにカールが処刑を見ようと現れます。
そしてカールは
『ダディ、撃って』
とつぶやきます。
コレに動揺したリックは、青年を息子の前で撃つことが出来ずに、一旦処刑は取りやめになります。
辺りが薄暗くなった農場内を一人で建物から離れて行くデールに、突然ウォーカーが襲いかかりました。
デールは何とか噛まれる事の無いように抵抗をしますが、噛まれない代わりに腹を引き裂かれてしまいました。
大きな悲鳴を上げたデールの叫び声に、皆が集まって来て襲って来たウォーカーを退治します。
しかし、デールは腹を引き裂かれて内臓が飛び出していて、今にも死にそうになっていました。
リックは大声でハーシエルを呼びますが、ハーシエルは現状を見て首を横に振ります。
このまま、苦しんで死を待つ事に終止符を打つべく、リックが銃を振るえる手で構えます。
横からダリルが、リックを制してデールに
『悪いな、兄弟』
と語りかけて、頭を撃ち抜きました。
翌日デールの死を弔った後で、彼は最後まで人間性を訴えた。
彼に経緯を表して、今回は青年を生かして拘束しておこうという事になりました。
しかしシェーンはこの件に納得しておらず、こんな甘い考えではリックは、自分も愛したローリーもカールも守れないと考えて、青年を無断で連れ出し殺してしまいます。
そして、リックに青年に襲われて逃げられた。
今から逃げた方へ案内するから、一緒に来てくれと言い、リックを暗闇の森の中へ誘います。
リックはシェーンの真意が自分の殺害にある事を理解しながら、最後までついて行きます。
そして、シェーンがリックを撃とうとすると、落ち着けと静かに話しかけながら近づきます。
そして、おもむろに持っていたナイフでシェーンを指して殺してしまいます。
リックは泣きながら
『お前がこうさせた。お前が俺を殺そうとしたからこうなった』
と絶叫して頭を抱えます。
生きている人間を殺さない。
こう考えて来たリックでしたが、このシーズンでは正当防衛とはいえ、3人の人間を殺してしまいました。
そして、後悔の念に叫ぶリックの後ろで、ウォーカーに噛まれてもいないのにシェーンがウォ-カーとして蘇り、気付いていないリックに向かって来ました。
その時、リックとシェーンの後をこっそり追いかけて来たカールが銃を構えてシェーンの頭を撃ち抜いてリックを助けたのです。
その銃声に大量のウォーカーが集まって来て、農場はもはや安全な場所でなくなってしまいました。
数名の犠牲が出てしまいアンドレアとは、はぐれてしまいながらも、残された皆はハイウェイのソフィアの為に物資を残していた場所へ集まりました。
アンドレアは誰も死亡を見ていない為に、行方不明でしたが
『無事なら逃げただろう』
と言って、リックはアンドレアの捜索というリスクを冒す行動には出ませんでした。
その後に、リックはシェーンに殺されそうになり返り討ちに合わせた事や、何故か噛まれていないのにウォーカーになったシェーンを、ついて来ていたカールが撃った事を皆に話しました。
そして、シーズン1の最後で、CDCにて研究者のジェンナーから、こっそりと
『みんな感染している』
という言葉を聞いていた事も話します。
つまり、今まで皆が認識していたウォーカーに噛まれたら、ウォーカーに転化するという事実以外に、誰もが何かの感染源により侵されていて、いかなる理由でも死ねばウォーカーに転化する事実を告げられた訳です。
だが皆には、こんな不安で絶望的になる事は確信が持てずに話せなかったが、シェーンの転化で確信が持てた。
このリックの告白に、ローリはリックをにらみつけて愛想なく無視をします。
他の皆も不安に駆られてアレコレと言い出すと、リックは苛立って
『殺されそうになってシェーンを殺した。 今まで皆を守ってきた。 今後も守って欲しいなら、俺に逆らうな』
と、声を荒げて皆を恫喝するのでした。
このシーズン2では、リックが自分の正義感や、生きている人間を殺さないという価値観、そしてリーダーは皆の意見を聞くものという考え方を捨て、やや暴走気味に自分の仲間を守る為なら何でもするから俺の言う事を聞け、という独善的な判断をする。
という決意を固めたシーズンでした。
しかしまだまだ、ある程度の以前の世界の価値観を引きずりながらの危うい変化で、今後のシーズンで更なるキビシイ現実を見せられて行く事になります。
ウォーキングデッド 登場人物達の変化 ③ リック(シーズン1)
ウォーキングデッド 登場人物達の変化 ③ リック(シーズン3)1
ウォーキングデッド 登場人物の変化 ③ リック(シーズン3)2