セッターはチームの中心であり、司令塔でもあります。セッターに主導権があるようで、この呼び方を嫌う方もいるとは思いますが、その攻撃がスパイカー主導であろうとセッター主導であろうと、瞬間瞬間に攻撃を“選択”できるのはセッターなので、やはり司令塔と呼ばせていただきます。

男子チームの試合はまだ観れていないので、女子チームのセッターを見て行きたいと思います。


JTマーヴェラス
田中美咲選手
Vチャレンジリーグから復帰したばかりのシーズンですが、現在1位となっています。田中選手にとっては初めてのプレミアリーグですが、自分のコートはもちろん、相手のコートもよく見た丁寧なセットアップを心がけているようですね。要所でのミドルやバックアタックの使い方が上手く、低く速いトスでなくともブロックを1枚半以下にすることも多くあります。ボールがネットに近くなってしまった時や、どちらかのアンテナに寄ってしまった時に、その周辺から攻撃を仕掛けるケースが多くあるので、筋力をアップして、逆サイドや遠いところへ飛ばせるようになると、さらに一段上のレベルになっていきますね。


久光製薬スプリングス
中大路絢野選手
昨シーズンのファイナル3から正セッターを務める中大路選手は、今シーズンは世界クラブ選手権でも経験を積みました。優秀なアウトサイドが揃う久光ですから、サイドにセットが偏ることはある程度仕方ないですが、特にAパスが返らなかった時にサイドへのトスが低くなり打ちきれないというシーンが目立ちます。トカルスカ選手の加入や岩坂選手のブロード習得でミドルの打数も増えていますが、AクイックやBクイックがイマイチ得点源として活きてきません。パスが乱れた際に使う時にも、なるべく縦のクイックにならない使い方ができると、攻撃の幅が広がりそうですね。

古藤千鶴選手
昨シーズンの途中まで正セッターを務めていました。今シーズンはあまり出番のないスタートでしたが、劣勢となった岡山シーガルズ戦では途中出場し、上手くサイドの攻撃力を活かしてフルセットまで持ち込みました。ダブルコンタクトが気になるセッターですので、そこはもう少し丁寧にして欲しいですね。


日立リヴァーレ
佐藤美弥選手
長年正セッターを務める佐藤選手。パオリーニ選手の退団で不安な面もありましたが、ジャクソン選手とも徐々にセットが合い始めました。高い位置からのセットが魅力の選手ですが、今季は苦しい時にもアンテナまでしっかり伸ばしたセットやバックアタックをも絡めたゲームメイクをすると、小さなアウトサイドの選手達も楽になってくるかもしれませんね。


下平夏奈選手
セッターとして出場するのは初めて見ましたが、 柔らかいハンドリングが魅力です。ただし、直線のキツいトスが上がることが多いので、もっと丁寧にスパイカーに持って行って欲しいです。特にミドルに上げる際には、フワッと上げて欲しいですね。


NECレッドロケッツ
山口かなめ選手
全員が攻撃をしかけるスタイルのバレーで、観ていてとても楽しいゲームメイクをします。得点源の古賀選手や柳田選手が本調子ではないところが、4位にとどまっている要因だと思います。サイドが決まらなくなってくると、苦し紛れにミドルを使ったりサイドへ速いトスを上げたりするところもあるので、そこをクリアできると、さらなる上位進出が期待できそうですね。

正里奈選手
すっかりNECのバレースタイルがはまったようで、スパイカーに優しいセットをします。競った場面でも、スパイカーの選択をきちんとしていけると、山口選手をも脅かす存在になりそうです。


岡山シーガルズ
宮下遥選手
オリンピックを経験し、落ち着きました。今シーズンは、いい意味で、宮下選手が目立ち過ぎる試合が減りました。ただ、移動攻撃へのセットが直線的すぎるのと、サイドへのセットが短くなったり流れたりするところがあるので、もっと身体全身でジャンプセットも含めて上げて欲しいですね。


トヨタ車体クインシーズ
細川絢加選手
高いところからのセットが魅力的ですが、ブレるのが気になります。速くなったり短くなったりすると、スパイカーは苦しいので、もっと落ち着いてゲームメイクして欲しいですね。ラヒモワ選手の負担を減らして上げられればいいですね。

比金桃子選手
柔らかいハンドリングが魅力的です。ただし、まだ筋力が足らないのか、セットが短くなる傾向がありますので、きちんと飛ばして、得点源のラヒモワ選手に打ちやすいセットをして欲しいですね。


東レアローズ
田代佳奈美選手
アウトサイドが調子が出ておらず、厳しい戦いを強いられています。やはり決まらなくなると速くなる傾向があるので、そこは改善が必要です。カーリー選手にはもっと高いセットを上げても平気だと思いますので、意識してどれだけ合わせられるかがキーとなりそうです。

白井美沙紀選手
昨シーズンまでよりもかなり出番が増えました。スパイカーだった利点を生かして、もっとフワッとしたセットをして欲しいところですが、ブロックをふろうとキツいトスが上がっています。期待の大型セッターですので、丁寧にを心がけてやって欲しいですね。


PFUブルーキャッツ
松浦寛子選手
開幕戦では、以前NECにいた頃よりもいい意味で目立たなくなっていましたが、江畑選手に頼り過ぎている印象です。松浦選手の高さからドリス選手の高い打点へのセットは武器になるはずですから、江畑・ドリス選手以外のところでどれだけ得点させられるかが、チーム浮上の鍵となりそうです。





まだまだセッターには注目ですね!