「マスター」 「?」 「なにかお任せでサラダ作っていただけます?」 「あ、良いですよ」 「じゃ、お願いします」 その翌日、 「マスター」 「?」 「昨日のサラダできますか?」 「ええ、出来ますよ。お任せ系は、2~3日すると何を作ったか忘れてしまう事が多いんですが、昨日の今日ですからね。まだレシピが頭に残っていますよ」 「じゃ、お願いします」 またその翌日、 「マスター」 「?」 「また、同じのお願いします」 「お、今日も行きますか!三日連続ですね」 「ふふふ、はい。あれ美味しかったもんで」 「そうですか、そんなにお口に合いましたか」 「ええ、お願いします」 そのあと二日開けて、 「マスター」 「?」 「あのサラダお願いします」 「かしこまりました」 一週間のうちに四度。 一日定休日が有るので一週間のうちに六分の四、O島さんは、そのお任せサラダを召し上がった。 (ご本人の了解を得ていないので”O島”とイニシャル表記にさせていただきます) そして、そのお任せサラダに私が付けた名前が「オーシマサラダ」。 ホワイトボードにメニューイン! 「マスター、オーシマサラダってなんですか?」 「O島さんていうお客さんがいまして、その方がお任せサラダを注文したんですけどね、一週間のうちに4回それを召し上がったから『オーシマサラダ』って名付けたんですよ」 「ははは、へぇ~~、それ下さい」 「かしこまりました」 ここんとこお店でこんな会話がよくあります。 そしてO島さん以外にも「オーシマサラダ」のリーピーターは、いらっしゃいます。 「マスターッ!なんですかこれは!!」 しばらく開けて来店したO島さん、ホワイトボードに「オーシマサラダ」を発見して驚愕の絶叫! 「はっはっは、O島さんの名前が付いたんですよ~」 「はっはっは、勘弁してくださいよ~・・・・・それお願いします」 「お!行きますか!!」 「ええ、お願いします」 その場に居合わせたお客様に私は言いました、 「皆さん、O島さんが『オーシマサラダ』を頼むという、貴重な瞬間ですよ~~」 「お~~」 店内がどよめく―――、O島さんが、 「マスタ~、勘弁してくださいよ~~はっはっはっは」 これが「オーシマサラダ」の物語。 *レシピを公開しましょう。 ・赤キャベツの千切りを敷いたお皿の上に、賽の目に切った大根人参モッツァレラチーズに自家製ドレッシングで味を付けて盛り付ける。 ―――簡単でしょ。 |