(side satoshi)





両親がハワイに移住することになり
今日からいよいよ
俺とカズの二人っきりの生活が始まる。

まさか親の再婚から
こういう展開になるなんて
誰が想像してただろう?

好きな人との同棲生活・・・
確かに憧れはあったけど
こんなにトントン拍子に
話が進んじゃうなんて
自分でも正直驚いてる。

カズはすっかり
俺の恋人になっちゃったし
全然お互いに違和感とかなくて
むしろ自然過ぎるくらい自然で
『好きな事は当たり前』・・・みたいに
なっているのが
実はちょっと怖かったりする。 

それでも
俺は新婚生活の始まりのような気持ちになって
なんだかソワソワしながら
仕事に向かう。

よしっ・・・
今日は頑張って、
少し早目に仕事切り上げて
カズのバイト終わる頃に
あの不動産まで
迎えに行こう・・・


俺は残業を1時間で終わらせて
19時過ぎに会社を出た。

カズのバイトは20時迄だから
まだ少し時間があったので
駅前のスーパーに寄って買い物をした。

そして俺は帰宅途中にある
相葉不動産へと向かった。

そろそろ終わる頃だな・・・。
ガラス扉から中の様子を伺って
半被姿のカズを見付けた。

本当にここでバイトしてんだな・・・。

客ももう居ないようだったので
俺は扉を開けて
店の中に入った。


相 「いらっしゃいませ・・・あっ、大野さん?」

智 「こんばんは」

相 「こ、この前はゴメンね」

智 「マジで勘弁してよぉ・・・
  おいら酷い目に遭っちゃったよ。」

相 「カズくんに聞いたよ(笑)ホントにごめんね」

智 「もう、そろそろ閉店だよね?」

和 「あれ?智・・・今帰り?」

相 「カズくん、今日はもうイイよ」

和 「あ、もうこんな時間か・・・」

智 「カズがホントお世話になってます」

相 「こっちもね、凄く助かってるの」

智 「へえ・・・そうなの?」

和 「なんだよ。俺ここに来て既に
  3件契約取れてるのよ・・・」


そんな話をしていたら
1人スーツ姿の見覚え有る男性が
店内に入ってきた。


相 「あっ・・・翔ちゃん・・・」

翔 「よっ・・・たまには飲み行こうかと思って・・・」

智 「しょ・・・翔君?」

翔 「ああああっ・・・智君?何でこんなとこに?」

相 「え?あれれ?知り合い?」

翔 「うん・・・あ~ビックリしたぁ・・・」

智 「おいらもビックリ・・・」

翔 「懐かしいなぁ。
  ね、良かったら一緒に飲みに行かない?」


それを聞いたカズが
俺の袖口を摘まんで引っ張って
不安そうな目で

和 「ね・・・誰?」


って小声で俺に聞いた。



智 「ん?ああ・・・幼馴染なんだ」

和 「へぇ・・・」

智 「ゴメン、今夜はちょっと用事あるから
  また今度・・・」

翔 「そうかぁ、雅紀と知り合いなんだよね?
  それなら、また連絡するよ」

智 「うん・・・」




俺とカズは店を後にした。


和 「よかったの?」

智 「えっ?何が?」

和 「久し振りだったんでしょ?あの人に逢うの?」

智 「う、うん・・・まあ」

和 「随分イケメンだったけど・・・」


カズが面白く無さそうに
口を尖らせたのを見て
直ぐにヤキモチ妬いてるのに
気付いた・・・。


智 「いいから、帰ろう・・・今夜はもう
  俺達しか居ないんだから・・・」


そう言って俺はカズの左手を握った。








つづく










   
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