俺が居ると話が出来ないと言われ
自分の部屋に戻ったものの
大野さんと知念君が
一体どんな話をしてるのか
気になって仕方なかった。

少しだけ部屋のドアを開けて
様子を伺ってみると
何やら、大野さんに知念君が
泣きながら責め立てているようだ。
話の内容までは分からないけど
「どーして?」
「うそばっかり!」
って知念君の声だけが聞こえてくる。

状況を分析してみても
知念君は一方的に
大野さんの事が好きなのは明らか…

大野さん困ってるのかな?
助け舟出してあげた方がいいのかな?
そんな事考えてたら
ドタドタと大きな足音立てて
俺の部屋の方にやって来るのが分かり
俺は驚いてドアを閉めて
慌ててベッドに腰を降ろして
平静を振舞った。

智「侑李、やめないか。ニノは関係無いって!」

侑「うそだ!」

智「侑李!」

ドンドンッ…
ノックと同時にドアが開いて
知念君が入って来た。
その後から困った顔の大野さんも…

和「え?な、何か?」

侑「あなたが大野さんのことたぶらかしたんでしょ?」

和「たっ、たぶらかすって…」

智「ほら、侑李、ニノが困ってるじゃない。
  落ち着いてあっちで話そうよ。」

侑「嫌だ、離して!」

和「ど、どうしたんですか?」

智「どうもしないって。ちょっとこの子
  勘違いしちゃってるんだよ。」

侑「勘違いなんかじゃないですよ。
  俺と大野さんは普通の関係じゃないんです。
  言ってる意味分かりますよね?」

和「か、関係?」

侑「だから、大野さんの事は
  悪いけど、諦めて下さい。」

智「ち、ちょっと、侑李ってば。んもう…
  ゴメンね。見苦しいところ見せちゃって。
  ほら、向こうでちゃんと話そうってば。」

大野さんは、興奮気味の知念君の
腕を引っ張って
リビングへ戻って行った。

関係って…やっぱりあの二人って
そういうこと?
でも、大野さんは勘違いしてるって…

はぁ…
もう、どうでもいいよ。
俺も何でそこまで大野さんのこと
気にしてるんだろ?
あの人は男だし…
俺にそういう感情だって
一切無いことだって
もう最初から分かってるから
俺はここで雇われてるのに…

俺には関係ない…関係ない…関係ない…

俺は何とか二人の事を考えまいと
カバンからゲーム取り出して
それに集中することにした。

それから20分程経って
部屋をノックして大野さんがやって来た。

智「ニノ?入るよ?」

和「え?あ、どうぞ…」

智「なんか、さっきはゴメンね。」

和「いえ…俺の事は気にしないで良いけど
  知念君は?」

智「たった今帰った。」

和「追い返したの?」

智「侑李の言ったこと…信じてないよね?」

和「え?普通の関係がどうとか?」

智「違うんだよ。聞いてくれる?」

大野さんは口を尖らせながら
俺の横に腰掛けた。

智「侑李は俺の先輩の紹介でね、
  アシスタントに来て貰ってたの。
  凄くいい子なんだけど、
  仕事も出来る子だしね。」

和「それなら、どうして辞めちゃったの?」

智「うん…それがね…
  凄く慕ってくれてたのは
  薄々気付いてたんだけど
  何ていうのかな…
  それって、俺に対してね
  恋愛感情が有ったから…みたいな。
  変でしょ?男同士なのに…」

和「ま、まぁ…その辺りのこと
  俺も正直、経験無いんで、
  何とも言えませんけど…」

智「有る日突然、俺、侑李から告られちゃって、
  侑李の気持ちには応えられないって
  ハッキリ断ったんだよね。
  そしたら、ここで3日間も
  引篭もっちゃってさ…
  部屋から一歩も出ないんだ。
  仕事もボイコットするし、
  俺が困ってるのを見かねて
  潤君が侑李のこと、なんとか
  説得してくれて、その後
  自分から出て行くって言い出したの。」

和「気持ちに応えられないのに
  どうして関係なんて?」

智「ちっ、違うよ。誤解だって。
  侑李は俺に告白した時に
  一方的に…その…あの…」

和「一方的に?」

智「強引にだよ?強引にチューしてきたんだ///」

和「えっ?何?そ、それだけ?」

智「そう、それだけのことを
  あいつ、普通の関係じゃないだなんて…
  驚いちゃったよ。」

和「フフフフッ、フハハハッ…
  そりゃ、大野さん、責任取って
  結婚してあげなきゃ(笑)」

智「何だよ?チューしただけで
  責任取んなきゃなんない
  決まりでも有るのかよ?」

和「さ、さぁ(笑)男女ならそういうの
  無いですけどね。男なら、
  有るかもしれないでしょ?」

智「そんな単純な話なんだ?」

和「えっ?(笑)」

智「そんじゃ、今から、ニノにチューして
  責任取るわ…」

和「はっ?ええっ?」

智「だって、俺、侑李なんかより
  ニノの方が良いもの…」

和「えっ…やっ///その…大野さん?」

大野さんが真剣な表情で俺を見つめ
俺の肩を抱きながら
ゆっくりとその顔が
近付いてきた。






続く






  
  
  


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