合奏中にチューナ一使いますか | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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吹奏楽部の練習、合奏中にもチューナーつけて吹いてる人、バンドによってはけっこういたりします。

何のためにチューナーをつけているんでしょう?
 
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 
 
チューナーが教えてくれるもの
 
チューナーが示してくれるもの、チューナーが教えてくれるものって、なんでしょう?
それは、絶対的ピッチですよね。その音の高さです。
さて、チューニングにも言えることですが、
音って、絶対的ピッチがぴったりになったら合うの?
合うとは全然限りませんよね。
 
チューナーは、合っているかどうかは絶対に教えてくれないんです。
 
 
 
合奏のピッチは動いている
 
ではなぜ、絶対的ピッチがピタリでも、合うとは限らないのでしょうか?
それは、合奏のピッチは一定とは全然限らないからです。
 
以前こんなことがありました。
オーケストラの本番、そのホールは照明がとても暑かったのです。
ホールの照明って、暑くなるのとそうでないのとあるらしく、音楽専用ではないそのホールの照明は、
とっても暑くなるものだったのです。
曲は第九だったのですが、管楽器のピッチはどんどん上がり、逆に弦楽器は下がり、
4楽章になる頃には、ものすごい隔たりになっていたのです!
それからそのホールは改善されて、あんなことはなくなりましたが…
 
なにしろ、チューニングした時のピッチがずっと変わらないとは全然限らないのです。
 
 
何のためにチューナーつけてるの?
 
さて、それでは何のために、合奏中もチューナーを見ているのでしょうか。
確認のため?
なんの確認?
だって、チューナーは合っているかどうかは絶対に教えてくれないんですよ!
自分の絶対的ピッチが正しいかどうかの確認?
でもそれって、なにか意味あるの?
だって、大切なことは、合奏の中でまわりと合うかどうかなんですよ!
自分のピッチが正しいかどうかではないのです。
 
合奏の中でもチューナーを見ながら演奏している、それってなんだかまるで…
『まわりに合わせるつもりはないよ』
『ほかの人の音程は信用してないよ』
『合奏の中で合ってなくてもいいよ』
って言っているみたいじゃないですか。
 
 
 
チューナーはまわりと合うためには役に立たない
 
チューナーって、合奏やアンサンブルの中でまわりと合うためには役に立たないんです。
まわりの音と合っているかどうか、隣の人にくらべて高いのか低いのかは、全然教えてくれないんです。
そして、絶対的ピッチが合っていることは、音が合う条件では全然ないのです。
絶対音感が合奏やアンサンブルをするのに役立たないのも、同じ理由です。
 
なにしろ、チューナーを見ながら吹いても、合奏の中で合うようにはならないんです。
むしろかえって合わなくなるでしょうね。
音を聴かなくなるから…
 
 
じゃあチューナーって何のためにあるの?
 
それでは、チューナーって何のためにあるのでしょう?
チューナーは、ピッチを確認するためにあるのですね。
楽器や吹き手には、いろいろな癖があるでしょ。それを確認するためにあるのです。
その確認を合奏の中でやっているようでは、すでに手遅れかもしれません。
そしてチューニングでは、演奏しやすい管の長さに調整するために使うのです。
 
たとえば、名古屋から新宿駅に行きたいとしましょう。
それがどこにあるのかもわからず、あてもなく移動していても、着きませんよね。
そこで、地図やナビが役に立つ。
チューナーっていうのは、東京都、せいぜい新宿区がどこなのかを示してくれる程度の地図です。
新宿駅の場所までは示してくれません。
しかも、合奏の中の新宿駅の場所は、移動したりするのです!
 
そして、チューナーは確認するためのもの。チューナーに合わせるわけではないのです。
 
 
 
合奏の中で合うためには
 
それでは、合奏やアンサンブルの中で音が合うためにはどうすればいいのか…
聴いて合わせることです。
それをせずして、音が合うことは絶対にありません。
もし、チューナーを使うことでかえって、聴いて合わせることをしなくなるのだとしたら、
チューナーを使うことで、むしろ音は合わなくなるでしょう。
チューナーを使うことが、音が合うためにマイナスにさえなるのです。
チューナーを見ながらやっていることは、合わせることではないのです。
何度でも書きます。チューナーは、合っているかどうかは絶対に教えてくれないんです。
音は、自分の耳を使って聴いて合わせるしかないのです。

でも、最初からそれができる人はいません。
最初は聴いたってわからない。
それでも聴いて探して合わせる練習をしていくうちに、少しずつわかるようになっていくのです。
その訓練を、チューナーを使うことでしなくなるのだとしたら…
 
 
あなたは合奏の中でチューナーを見ながら吹きますか?