ユナイテッド航空のオーバーブッキングによる乗客引きずり下ろし事件で、思い出したことがあります。インドネシアのフラッグキャリアこと、ガルーダインドネシア航空のオーバーブッキングは昔からありました。とはいっても、今回のユナイテッド航空のような強引な力ずくの話は聞いていませんが、特に国内線ではよくあるようです。

 

私がジャカルタからジョグジャカルタへ行こうと、ガルーダインドネシア航空の国内線を予約したときのことです。出発当日スカルノハッタ空港に、予約した便の出発時間の30分前くらいに着いてカウンターでチェックインしようとしたら、そこでカウンターにいたガルーダの地上職員は、あなたが予約した便は満席になったのでもうジョグジャカルタへ飛びました、と言うではありませんか。私は狐に鼻をつままれた気分で、自分に起きた状況がしばらく認識できないでいました。インドネシアの飛行機は出発や到着時間が遅れることは日常でも、よりによって出発時間前に飛び立ったとはとても信じられなかったのです。

 

私は致し方なく次の便にチェックインしましたが、後日この話を日本人駐在員仲間に話すと、インドネシアの国内線を仕事でよく利用している某商社マンが笑いをかみ殺しながら、国内線はキャンセルが多いせいかオーバーブッキングの割合が尋常でないので、そういうことはよくあることだと言い続けてこんなことを話しました。

 

なんでもインドネシアにいる華僑(オランチナ)たちは、インドネシアの飛行機はオーバーブッキングで席が少なくなりそうなときに、チェックインさせてもらえないことが多いようです。そこでその被害にある前にチェックインの手続きをしよう、と出発予定時間よりかなり前に空港に来て、チェックイン開始とともに手続きを済ましてしまうと言うのです。

 

前に「オリンピック」のところでも書きましたが、ネイティブのインドネシア人であるプリブミと言われる人たちと、華僑であるオランチナとの確執は根が深いことがこういうことでもよくわかります。インドネシアの華僑の人たちは、過去に暴動があるたびに痛い目にあってきていて、いつでも国外に避難できるよう常にオープンのフライトチケットを持っているとか、自家用機を持っていて逃げる準備しているとかいう話も耳にしたことがあります。インドネシアは交通インフラがまだまだ不足しているにもかかわらず、昔からなんでこんな街にというようなところに飛行場があるのは、華僑の人たちが国外退避のために造らせたらしい、というまことしやかな話までありますがまんざら嘘でもないように思うのです。

 

(スカルノハッタ空港第3ターミナル)

 


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