浮世絵を好きになったのは高校生の頃だっただろうか。
独特のデフォルメや版画の質感、あっさりした色調、題材の江戸文化そのものにも惹かれていた。西洋美術に与えた影響も大きいことも気になっていた。
最近では熱海に行った際、葛飾北斎の『冨岳三十六景』をMOA美術館で観たのがとても良くて、また浮世絵の展示を観たいな、と思っていた。
そ、し、て・・・ついに!!
上野の国立西洋美術館で『北斎とジャポニズム』(HOKUSAIが西洋に与えた衝撃)という企画展が開催されることに。
これはどうしても行かねば!!
開催日程は、2017年10月21日(土)〜2018年1月28日(日)。
まだ余裕はあるが、ギリギリにはならないよう、よし、行こう!と行ってきた。
久しぶりに降り立った上野。
黄色く色づいたイチョウの並木道が、美術館に到着するまでの散歩を楽しくさせてくれた。
チケットを買うのに並んでいる間、一緒に来た娘と交代で外の彫刻を観た。
ロダンの『地獄の門』よく見ると、中央に”考える人”くっついとる。
彫刻もいいな〜。
美術館に入り、音声ガイド(ナビゲーターは俳優の重松豊さん)も入手、順番に見ていく。
葛飾北斎の絵とそれに影響を受けた西洋の絵が並べてあり、解説もあるので、どこがどんな風に影響を受けているか、似ているかがよくわかった。
例えば、ドガの”踊り子”は北斎の描く相撲の力士が腰に手を当てている構図そのものだし、メアリー・カサットの”青い肘掛け椅子に座る少女”は北斎漫画のおっさんの座り方に影響を受けているらしい。こんなところで大好きなメアリー・カサットに出会えるとは、意外だった。
2016.9.2ブログ:メアリー・カサット展
当時の西洋の方が”ちゃんとした絵”とか”倫理的な縛り”みたいなものがあったせいか、あらゆる日常の動きや花鳥風月はじめ、動物、植物、春画など、北斎を通じて表現の自由さや構図の斬新さにびっくりして、夢中になって集めた画家も多かったらしい。
そこからだんだん北斎チックな表現が増えていくって訳だな。
モネなんか、食堂の壁一面に浮世絵飾ってた写真があって、「どんだけ好きやねん!」ってツッコミ入れちゃったよ。
あと、『冨岳三十六景』のように同じモチーフでシリーズ化する、っていうのもあって、アンリ・リヴィエールの『エッフェル塔三十六景』はエッフェル塔をいろんな角度から捉えていて面白かった。
北斎の波と富士山を描いた作品に影響を受けたものもあり、ザッバーとひたすら海のすごい波書いてた作品もあった。
クリムトが春画の影響を受けていたということも初めて知った。
木立の間から向こうの景色が見える、というのもそんなに真似したくなる構図なのか、なんてのも実際に並べて見られるからわかることだ。
など、いろいろ並べて比べて見られるのがわかりやすくて面白い、待ってました(^^)の企画展。
見応えずっしり、面白くて満足な美術展でした〜。