脱がずに男性の下半身をフェラチオするだけで、女装していれば男性とはわからないと言われたものの、わたしは騙されているのではないかという不安を感じていました。
わたしは男性に連れられ、駅の近くの喫茶店でお店の方を待ちます。
「本当に女性ではないのに雇ってくれるんですか?」
お店の方を待っている間不安になって男性に聞きました。
「心配しないでも大丈夫だよ」
男性は淡々と感情もなく言います。
しばらくしてサングラスの男性が店に入ってきて、わたしの隣に座りました。
「この娘、男には見えないな」
「かずえさんがまた女装サロンでスカウトしてきたんだ。いけるだろう?」
サングラスの男性がわたしの手を触り出しました。
「肌が柔らかいし、見た目も大丈夫だ」
「君、みくちゃんって言うんだっけ?女の子になってもらうけどいい?女装じゃなくて女の子になってもらえるなら採用するよ」
「男性のわたしでも大丈夫なんですか?」
「髪揃えたり、エクステしたり、女の子らしくなってもらえればね。これまでも何人かかずえさんに紹介してもらっているから安心しな」
「女の子より男性の方が体力もあるし向いているんだよ。女の子だと顎が痛くなったりする娘もいてね」
「それじゃあ、決まりでいいね。早速君には女の子になってもらうよ」
サングラスの男性がわたしを連れてきた細身の男性に何かを耳打ちすると、わたしを車に乗せて、お店に案内しました。
「店長を紹介するから、少しそこで待っていて」
サングラスの男性が言います。
わたしはお店の事務所のソファーにひとり座って、店長が来るのを待ちました。
事務所の端にセーラー服やカラフルなドレスが並んでいるのをみて、仕事の事は忘れて、どの服を着れるのかなと気持ちが高鳴っていました。
「こんにちは」
その声に振り向くと、店長はイメージとは違い、若い感じの良い方でした。
「男性でも女性らしく振る舞えば普通にできる仕事だから安心して」
店長はわたしの不安を取り去るように続けます。
「男の方がどうすれば男を気持ちよくさせるか理解が早くて、女性よりも指名がとれる娘もいたぐらいだよ」
「体型も顔も女性っぽいし、期待しているよ」
そう言うと、店長はお店の仕組みを説明してくれました。
時間でお金がもらえ、お客さんの相手をするとその分が追加になり、指名があればさらに追加でお金がもらえるという仕組みで、衣装はお店がタダで貸してくれるというとても良心的な仕組みです。
男性も何人か登録していて、男の人はお店の女性にわからないようにお化粧をお店の裏にある小さな部屋でしてもらうことになっていました。
わたしのように何人かの男性が女の子として働いていることには驚きでした。
この面接の一週間後からわたしはお店で働くことになり、お金のこともあったのでお店の紹介で部屋もお店が借りている借り上げのワンルームに引っ越すことにしました。